★極私的長文レビュー★

無人島物語

スーパーファミコン/KSS/96年1月26日発売/シミュレーション/6点

●良かったところ
無人島での生活をシミュレーション化した作品で、PCからの移植作です。
最初は小さな島の一端から始まり、日数をかけて無人島の全体を探索するのが目的。
探索はいかにもSLGという手法で、隠されている部分を、カーソルで一定範囲かこって(ドラッグしてって言った方が分かりやすいかw)、画面上に島の全貌を徐々に露わにして行きます。
その一定範囲というのが一日の作業になります。
その途上でキャラと出会い、ダンジョンや食料・燃料などを発見しながら、島からの脱出を試みていくのです。
面白いのは、食料・燃料が底をつかないように、工夫して労働し、生活していくことのプロセスをシミュレーション化していることでしょう。
特に、水の確保は絶対で、最初は持ち合わせている量しかないので、水の補給場所を真っ先に探さないと大変です。
後は、脱出のための経路がいくつか分かれていることで、材料に何が必要か、設計図を書くまでは分からないし、その材料がどうやって作れるのかが不明瞭のため、偶然これだと思うものが作れた時の喜びは一入です。
一度のプレイで最良のエンディングを迎えることは大変に困難ですが、何度かやればコツをつかめるハズです。

●悪かったところ
最良のEDの条件が余りにもシビアで困惑させられました。
時間的にも、材料的にも分からないことが多過ぎるので、攻略サイトでも見ないと解けないことでしょう。
マルチEDは嫌いじゃないですが、一度のプレイ時間が長いので、何週もしているとどうでもよくなってきてしまいがちです。
材料が足りなくなることもあって、そのために何度リセット押したことか分かりません。
こういうゲームでは、時間的条件で足枷にするよりも、脱出するための乗り物等で何をつくれたかによって、EDを変えるべきだったのではないか、と思いました。
普通にプレイしていると、キャラ同士のコミュニケーションが円滑に進まず、本作独特の、「キャラの機嫌」が悪くなるとそれだけで最良のEDの足枷になったり、アイテムが作れなくなったりするのですが、こういう点のシビアさも、なくして欲しかったと感じます。
もっとシンプルに、無人島からの脱出だけを楽しませてくれれば良いのに、瑣末な所でプレイヤーの「機嫌」を損ねているのではないでしょうか。
コンセプトは良いと思うので、次回作(CSではPS)以降、遊びやすくなったシリーズをやってみたいと思わせる作品でした。レビュアー:サトー

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