あした 順子・ひろし

東京の寄席に出る漫才では最強のコンビといっていいと思う。

絶妙な間や、 踊りも達者な順子さんのしなやかな身のこなし、 それとは対照的なひろしさんのぎこちない動き、 ベテランでありながら流行に敏感なところなどは、 もちろんすごいと思う。 しかし、このコンビが寄席の色物として優れているのは、 邪魔にならないという点だろう。 夫婦でないせいか生活臭を感じさせない。 社会を鋭く風刺して客を考え込ませることもない (そういう漫才も嫌いではないが)。 個性は強いがくどくはない。 大いに受けるが、必要以上に余韻を残さない。

この人たちが目当てで寄席に行くということはないけれど、 メクリに名前が出るとちょっと嬉しくなる。 私にとって「順子・ひろし」とは、そういう存在である。 (2001-08-30)