東京〜栃木〜東京・250km('99.7.24〜25)




ちんたは峠が苦手だ。苦手なので下調べ・・・というか地図読みだけはちゃんとしていくことが多い。ま、それでも峠までの距離とか、その程度だけど。

で、ここで立ちはだかっているのは老野越峠だ。桐生川ダムでけっこうな休憩をとったが、やっぱり峠はこえー(^^;)。桐生川ダムから峠までは8km。とりあえず8km我慢して走れば峠なのである。目をつぶって(いや、つぶっちゃいけないのだけど)、我慢の子だ。

とりあえず、こぎはじめる。とりあえず距離8kmだけインプットされていたので8km登りが続くのかと思ったら、意外に平坦だったりする。ゆる〜いなが〜い坂道が続くような感じ。峠でこういうのは初めてだ・・・というかそもそも峠道に入っていないのかもしれない、そのうちにこれまでの平坦さを補うほどの急峻な坂道が・・・などなど、頭の中にはいろいろな思いが駆けめぐる。

確かに坂道は急になっていく。が、いちおうは我が対坂道用秘密兵器27Tリアスプロケットのおかげでなんとか上れている。あっついことはあっついままで、それはそれでちょっと苦しいのだけれども。

しばらく登ったところで車の列ができていた。車の列を縫って前の方に進むとどうやら工事区間で片道交互通行になっているらしかった。だがしかし、「工事の都合で10分くらい止めてるんです、すみません」とガードマン氏の言葉。ありゃりゃりゃ。ま、こちらとしては不可抗力で途中ストップというのは別に峠に負けたわけではないからいいか・・・などとあまり意味の無い勝負にこだわってみたりする。

ホントに10分間、感覚的にはかなり長い時間が経った後、信号機が青になり進んでいいよと言うことになった。

進んでびっくりしたのは、工事区間に入ってから50mのまさにそこが峠の頂だったこと。おいおい、この峠、ここだったのか・・・なんとなくうらめしい(^^;)。が、その次の瞬間とんでもないことに。なんと峠を越えて下り坂になってしばらく行ったところは舗装がはがされていて砂利剥き出し状態。うおお、こんなところまともにつっこんだらパンク一直線である。もうすでに荒川でスペアタイヤは無くなっているのだ。減速してゆるゆると進む。左側が水に濡れてどろどろなのでちょっと中央寄りに自転車を進める。と、そこにブラインドから自動車が現れた、うええ、フルブレーキ!ブレーキをかけても下は砂利、タイヤがロックするだけでそのまま車に向かって進んでいく我が自転車。ぶつかってたまるかとばかりに、思いっきりタイヤを滑らせて自転車の方向を変える。あと10cm、間一髪接触を避けて踏みとどまる。ほっ・・・・・・。さ、気を取り直して出発だ。

 ぷしゅうううう。

 (;_;)・・・・パンク。そりゃそうだわな、砂利道で猛烈なテールスライドやらかしたんだからな。というわけで、つい4時間前に交換した新品タイヤ、昇天。

 あ、スペア無いよ・・・・・。

 ここは老野越峠ど真ん中。桐生まで戻るには20km、田沼町まで進むにも20km。どうすればいいだこら?どうしようもないわけで、自転車を引きずりながら田沼町に向けてとぼとぼと峠を降りるしかない。なんだなんだ、苦労して峠を登っておいて下りは無しかい?(;_;)

 かくなる上は・・・ということで、なんとか通過する車を停めて街まで載っけてもらおう。気分は猿岩石、もう一人は自転車だけれども。が、通過してくれるはずの車がいっこうに来ない(^^;)。ちょっとまてそりゃどうしたこったい。とりあえず車が現れるまではとぼとぼと自転車を引いて歩いて降りる。心の中はドナドナがリフレインしている。

 それにしてもこの峠、なんでこんなに車の通りが少ないんだ・・・・。

 なん十分か歩いた後に、一台のワゴン車が後ろから峠を下りてきた。ワゴン車に向けて手を振るちんた。ラッキー、車は止まってくれたようだ。これこれこういう事情で・・・と説明するちんた。もう説明も必死である。それが通じたのか運転手のおじさんは「よし、じゃあ、乗って行けよ」と快く乗せてくれた。車は一家3人の家族連れだったようで、後ろには奥さんと子供が一人。ちんたの自転車はその後ろに積んでもらう。ありがたやありがたや。

 とりあえず、「自転車屋まで」ということで運んで貰えることになった。自転車屋に行けばチューブラータイヤも売っていることだろう。問題はそれを売っているかどうかではあるけれど。

 しかし、行けども行けども自転車屋らしきものは無い。峠から一番近い街は田沼町で、そもそもそこに行くまで20km近くあるのだ。結局、その途中に自転車屋らしきものは見あたらず田沼まで乗せてもらってしまうコトになる。は〜しかし、車の中はクーラーも利いていて快適快適。結局、この20kmをこのクーラーが利いた車で20分ちょっとで行ってしまうのであるから、楽ちんといえば楽ちんなわけで、なんか得した気分だ。

 田沼の街に着いて自転車屋が見つかった。訪ねてみるとチューブラータイヤは扱っていないとのこと。「あ〜、もう2年前くらいから仕入れてないねぇ」う、うそ〜〜(^^;)。「佐野の方なら売ってるんじゃないかな?」佐野の方ならって、佐野なんか10km近くも向こうの街じゃないですかぁ・・・。しかし、今度はこれを聞いたワゴン車のおじさんの方に火が入ってしまった。「じゃあ、佐野に行こう!タイヤが見つかるまで行ってやる!」うわぁ、ホントかいな(^^;)。もうちんた、恐縮しまくりである。が、すでに車は佐野に向かって爆走中。うひゃあ、す、すみませんねぇ(^^;)。

 佐野に着いたのはそのさらに20分後。駅前の中心部に行くと一軒の自転車屋が見つかる、が、売っているはずの佐野でもタイヤは売っていない。仕方なく、別の自転車屋を紹介してもらう。とにかくそっちへGOである。200mと離れていないその店はMTBなんかも置いてあってなんか期待ができそうだ。これはもうあるだろう・・と思い店先で「チューブラーありますかぁ?」と聞くと「あ〜2時間ほど前に売り切れちゃったんだよねぇ」との何とも悲しい言葉。しょうがなくさらにもう一軒の自転車屋を紹介してもらう。

 ワゴン車のおじさんはまだ火が入りっぱなしなので「見つかるまで行ってやる」とのこと。「ここでおろしたんじゃ俺の気がすまないからね」・・・ううう、ありがとうございますう、あなたがいなければちんたはいまだに老野越峠でドナドナですぅ・・・(;_;)。

 街の反対側まで走っていったところに紹介された自転車屋はあった。なんと店先にロードレーサーがこれでもかと陳列されている専門店だ。うおお、こんな店が佐野にもあるなんて。聞いてみると当たり前のようにチューブラーの在庫があるという。よっしゃー。ありがとうございますと何度もお礼をしながらワゴン車から自転車をおろすちんた。なんかまともにお礼もできないうちに、ワゴン車は走り去っていってしまったけど・・・うう、ほんとにほんとにありがとう・・・・(;_;)。

 しかし、この自転車屋もすごいねー。ホントに専門店だぁ。店のご主人はちょっと恐そうだけど、話をしてみると意外に話しやすい人。「この辺りではこういう店はうちぐらいだからねぇ」「今売ったミシュランタイヤはいいぞ、日本であまり手に入らないけど」「それでも結構売れるんだよ、ロードレーサー、こないだもC40(←とても高いあこがれの自転車(^^;))を20本仕入れたら全部売れちゃったからねぇ」「老野越峠はよく行くぜ、走りやすいだろ、あそこ」などなど。ちんたがタイヤ交換をしている間にいろいろな話をする。

 さぁ気を取り直して出発だ。ただいま16時30分。あと1時間で栃木市まで行かないことには待ち合わせの時間に遅れてしまう。図らずも休憩はばっちりとった、爆走ちんた君である。

 ・・・と最初の30分は威勢が良かったものの、やはり暑さにやられ、後半30分はへろへろのちんた。車で何回か来たことのある道で、べたべたの平地続きだと記憶していたところがことごとく緩く長い上り坂だったりする。「あと*km」と看板が出ているが、この残り1kmがつらいのなんの。

 17:20、栃木市某所のカートサーキット場に到着。とりあえずのビールを1本もらって今日はおしまい。ぶひ〜。聞くところによるとこの辺りの最高気温は39度だったとか。暑いはずだよそれじゃあさ。そんな猛暑の中150km(と車で40km)も走ったちんたはえらいね、自分で自分を誉めちゃう(^^;)

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