北海道ツーリング・7日目
日高〜貫気別〜門別・115km('99.8.27)

山間を下る道
日高から貫気別へ
お馬はみんな♪
牧場の村を往く
感動のちゃんとしたメシ
「ライダーハウス味処西陣」の夜


日高から貫気別へ

 午前2時頃、ふと起きたら、リビングで缶ビール握ったまま寝ている自分に気が付いた。いつの間にか寝てしまったらしい。当然のように回りにいたみんなはいなくなっていて、灯りも消してあった。

 誰か起こせよ!(^^;)

 む〜いつのまに寝ていたのか。いい気になって女子大生としゃべっているうちに寝ていたのか。超かっちょわり〜ちんた(^^;)。ま、それはそれとして寝直し寝直し。

 で、朝起きたのは5時半。外は明るくなっていた頃。もう、この頃になると、4時、5時に起きるのが習慣化しているというか旅行中にずいぶん体内時計が狂ってしまっているらしく、目覚ましが無くともこういった時間に起きてしまう。だいたい、いつもライダーハウスで一番の早起きがちんただったりする。とりあえずもそもそと起きて、TVを見たり、マンガ(←ライダーハウスには得てしてマンガがたくさん置いてある)を読んだりして他の連中が起きてくるのを待つ。外を見ると、とてもいい天気。前日雨だっただけに、よりいっそう草木が輝いている感じ。さわやかな朝。


ライダーハウスから外の庭(?)を見たところ。本日快晴です。
朝にこれだけ天気がいいのは北海道に入って初めてくらいです。

 早起きはしてみたモノの本日はそれほど長い距離を走る予定は無いので、ちんたはまたぼけぼけと朝を過ごす。前日に夕立でぐしょぐしょになった衣類をまとめて洗濯機にかけ、さらに乾燥機にかけたりして、さわやかな朝のひとときである。そうこうしているうちに同宿していた人達もわらわらと起きてきた。

 カップルライダーは今日は峠を越えて富良野に行くらしい。
 女子大生二人組は苫小牧の方に抜け、翌日にはフェリーの人になるらしい。
 学生ライダー二人組は新冠に馬を見に行くらしい。

 それぞれに旅支度である。それをぼへら〜っと見送るちんた。実は昨日の疲れがまじ残っていたりする(^^;)。うーん、一晩で疲れがとれなくなったとはずいぶんオヤジ入ってきているな、わし(^^;)。

 さて、本日の旅程であるが、とりあえず疲れちゃっているので抑え目に行こうと。基本的には80km位離れたところにある門別の辺りに行ければいいや、という目論見。門別まで行けば苫小牧のフェリー埠頭までは40km程度なので、明日はそれを走って終わりだな・・・と。そう、いよいよ北海道ツーリングは実質本日が最終日であったりもするわけだ。というわけで(?)、門別を目指しつつ、気分にまかせてより道をしてみたり、てれてれと休んでみたりしようかな、というのが本日の予定(こういうのを予定というのか?(^^;))。

 スタートしたのは午前8時半。今回のツーリングでは遅いほうに分けられるスタート時間だ。昨日のこの時間は、もう70km近く走っていた時間だから。

 この時点でこのあたりです。
図上の富岡と書いてある辺りがライダーハウスムーミン日高のあるあたりです。
本日はまず沙流川にそってR237を南下するところから始まります。

 国道237号線はひたすら下りです。日高山脈の方から海に向かって一気に駆け下りるような形になるので、結構な下り坂続きです。脇を流れる沙流川も結構急流になっています。快適快適、楽ちん楽ちん。これを苫小牧の方から日高の方に登るとなるとちょっとぞっとします(^^;)。ただ、本日、南風がかなり強く、下り坂ではあるものの結構疲れる・・・というのもホントのところ。


晴天の下、R237を駆け下りているところです。森の中を縫って走るような感じです。 この区間はずっと下り坂。とても楽ちんでした。

 日高の方から海に向かうルートというとさかのぼること13年前、高校生の頃に初めて北海道を訪れた時もエピローグは日高町から門別に向かうルートでした。が、その時はまだ残っていた富内線のディーゼルに揺られて門別に向かっていました。あとでいろいろ調べてみると、その富内線は、ちんたが乗った2ヶ月後には廃止され、バスに転換されていたとのこと。ということは廃止されて13年が経つわけですが、今もあちこちに富内線があったことを伺わせるところがそこここにあり、国道からもよく見えます(北海道にはそういうところがホントにたくさんありました)。国道沿いにある振内駅跡は廃止された後も駅舎が鉄道記念館として利用されている所の一つ。ちょっと立ち寄ってみると、構内の一角はライダーハウスとして使われているようでした。起き抜けのライダーがちらほら。13年前に富内線のディーゼルから見た印象では、両側を山に囲まれ、ずいぶん山深いところだな、と思ったモノですが、それは自転車で国道を走っている今でも変わらないですね。一度、雪がたんまり降った時に訪れてみたいなとも思います。

 そんな中を走っていることもあって、ついつい高校生の頃とかを思い出しがちな国道237号線。山に囲まれ、下り坂が続くのは相変わらずですが、向かい風はだんだん強くなってきてしまいました。おまけにちんた、でんでん足が回りません。かなり前途多難な一日の始まりのようです。



牧場の村を往く

 下り坂続きの国道237号線。時刻も朝10時近くなると、だんだんダンプやら観光バスやら大型車両の通行が多くなってきました。めっちゃめちゃ、こわい(^^;)。
 そんなわけで、国道からさくっと離れ、ちょっと道がすいてるっぽい県道の方に自転車を向ける。本日は比較的時間に余裕があるのでより道はいくらでも大開放(?)な一日なので気軽に国道から離れられる。
 その国道からちょっと離れたところにある集落は貫気別(ぬきべつ)というのだそうだ。過疎化がずいぶん進んでいるのだろうか?廃校になった学校なんかもある。畑と山と野原と・・・そんな景色が延々と続きます。すごく陳腐な言葉なんですが、いい眺め、良い景色。走っているだけで心が?うーん何かが洗われていくような感じ。おそらく、この眺めが旅行ガイドブックに載ることは未来永劫無いのかもしれないけど、それはすごくもったいないよな、とか、こういうとこ走れるのも自転車ならではだよね、とか、得した気分(^^)、なんて思いながらペダルを回す。


貫気別から数km進んだ地点。やたらに広いトウキビ畑。一面トウキビです。

 人の気配があまりありません。2,30分に一人とか一台とか、それくらいとすれ違うくらい。静か〜な道をひたすら、漕ぎ、、、、漕ぐのですが、でんでん足が回りません、あひ〜。やっぱ前日の200kmが効いてしまっているのでしょうか?ライダーハウスのおやじさんの「だめだよ〜200kmも走っちゃあ、だめだめ」というのは意外に本当かもしれません(^^;)。  天気がとてもいいので、気温が高め。ちんた、かなりへばり気味です。

 そんなふうにへろへろと走っているうちにいつのまにか登っていたらしく、峠というほどではないが一気に下り始める。平取町から門別町に足を踏み入れたあたり。このあたりで、メーターを見ると、北海道に渡ってからちょうど1000km走ったことを示していた。うへぇ〜我ながら走ったもんだなぁ。7日で1000km。

 門別町を少しだけ走ると新冠町に入ります。新冠町といえばお好きな方にはたまらないサラブレッド銀座の新冠町であります。平取町、門別町までは、牧場といえば牛だったのですが、新冠町に入るなり様相が一変。牧場といえばサラブレッド。右を見ても左を見ても馬、。もう飽きが入るほど見ていた牛ですが、馬を見るのは渡道して以来初めて。おお、こういう北海道もあったのだね、ということを改めて思い知る。
 道は厚別川に沿って緩い下り。その右も左も、ひたすら牧場が続きます。


新冠でお馬さんにご対面。やたら広い牧場の中にこんだけしか馬がいなかったりします

 山と山の間のちょっとした平野が一面に牧場になっている。そんな感じです。さすがに新冠町の基幹産業は馬なんだな、ということをいやでも納得させられます。


厚別川に沿って緩い下りを行きます。北海道の川沿いは割と「川は下っている」の法則が顕著です。

 川に沿って、下るうちに、山と山の感覚も広がり、その山間の平野もだんだん広くなっていきます。海から10km位の所では、もう一面に広がる牧場、と形容できるほど広い牧場が連なっています。いや、ホントに連なっているんです。牧場の隣は牧場。右隣も左隣も牧場。


ひろーい、牧場。柵が張り巡らしてありますがどういう意味のある柵なのかよくわかりません。
東京ドーム*杯分とかいう表現したらどれくらいになっちゃうのでしょう?(^^;)

 しかし、あたりまえといえばあたりまえですが、サラブレッドもゼッケンとかメンコとか外してしまうとどの馬がなんていう馬なのかさっぱりわかりませんね。もしかしたらとてもありがたいオープン馬とかが放牧に出されていたのかもしれませんが、ゼッケン外してしまえば十把一絡げに馬です(^^;)。サービスのいい牧場は看板にどういう馬がいるのか書かれてありましたけど。
 馬は、牧場にいるときはとても落ち着いていて、車が通ろうとも、自転車のちんたが通ろうとも、どうろのそばでずっと草をはんでいるいるのですが、たま〜に元気のあまっているのは自転車を追いかけてきたりします。あるいは逃げようとしていたのかな?だったらごめんなさい(^^;)。

 そんなサラブレッド銀座を往くこと15km。これはこれでとても楽しい道でありました。厚別川の終わり、つまり海に出たところが厚別。ここからは国道235号線に乗って、10数km先の門別に向かうだけです。
 国道235号は海沿いの道。太平洋に出るのは釧路に入って以来です。日も少し傾きかけてオレンジ色になりつつあります。


 国道235号の門別の手前の辺り。右の方にちょっとだけ見えるのが門別市街です

 午後15時30分。今日はさくっと終わると言うことでさくっと終了。門別で一日が終わりました。これで、ほぼ、北海道ツーリングが終了。自分も、自転車も、ごくろうさん、の気分です。 



「ライダーハウス味処西陣」の夜

 門別から4kmほど苫小牧寄り(西寄り)の町、そこが富川。今日の宿、ライダーハウス味処西陣はこの富川にある。と、いっても、今はこの寿司・日本料理の店である味処西陣とライダーハウスは別の場所に建っている。とりあえず受付の際に管理者である西陣にある宿泊者名簿に名前を書かなくてはいけない。ちなみに、ここの宿泊費は550円。ただし、夕食は西陣で食べること・・・という「西陣縛り」付きである。この西陣、結構高級なお店だったりするので、実は貧乏旅行のちんたにはちょっとばかし辛かったのも事実(^^;)。

 それはそれとして、別棟のライダーハウスまでもう一漕ぎ。別棟といっても500m近く離れているのだけれども、その別棟は回転寿司屋の一階にあった。建物自体は新しいのだけれども、入ってみると、がらーんとした小中学校の視聴覚教室のような大きな部屋。いちおう絨毯敷きなので、この上で寝なさいよ、ということなのか。電灯はあれどもTVは無し。妙に早い時間に着いちゃったので退屈。とりあえず、部屋の片隅に積んであった北斗の拳の読み通しにチャレンジする、あたたたた。

 マンガ読んでいるうちに寝てしまったのか、ふと起きたら夕方5時過ぎになっていた。あーよく寝た寝た、、、と思っているところに、本日の同宿者登場。やたらにでかいアメリカンバイクに乗った藤沢(神奈川県)から来たサラリーマン氏。バイクもでかいがガタイもでかい。とりあえず今晩よろしくね、お互い挨拶。

 時間も良いし、とりあえず飯食いに行きましょうよ、ということで、藤沢氏と連れだって西陣に戻る。行く道々、話を聞いていると、藤沢氏とにかく北海道は毎年のごとく来ている北海道フリーク。あーなんとなく気持ちわかるなぁ。ぼくも来年からも続けて来てしまいそうだぁ。西陣に泊まったことも何度もあるそうだ。聞いてみると、この西陣(食事するほう)は昔は同じ建物の中にライダーハウスがあったそうで、西陣の2階がライダーハウスだったのだそうだ。で、もともと川っぺりに建っている西陣、富川のお祭りの日には花火があって、2階のライダーハウスは花火を見る特等席になるんだそうな。ほえ〜そういうこともあったんだぁ。彼は何度も何度も北海道に渡ってきている割には、道東しか回らないのだという。北海道フリークというか道東フリーク。今回も池田のライダーハウスを拠点と定めて、池田近辺をぐるぐる回ったり、温泉に行ったりと、そんな形の旅をしていたらしい。ひたすらばこばこ漕ぎまくっているちんたとは好対照な旅。聞いてみると案の定、自転車のちんたの方が移動距離は倍くらいある。ちんたもいずれはそういうゆっくりする北海道旅行をしてみたいものだ。彼の道東の旅は多分にワイルドで、アメリカンバイクでばっしゃんばっしゃん川を渡っちゃったりするらしい(^^;)。途中思ったよりも深くて「やべ」と思うこと数度あったらしいが、それでもキャブが水を吸うことはなく見事川を渡りきったそうだ。ううむむむむ、ロードレーサーでは果たしてできるだろうか?渡河作戦(^^;)。

 西陣はさすが本格日本料理店だけあって、味も値段も妥協しない店であった。メニューの中で最も安いのが天丼850円である。これに生ビールを付けると(はずせないだろう、やっぱ)1400円になってしまう。猿払以来の高価なお食事である。それでもたとえ天丼でも、魚介類の素材の違いはきっちりとわかる味。こりゃあ、すごいや。値段以上の価値はあるね、この天丼(でも痛いけど)。満足、満足。北海道最後のディナーだし、ま、いっか。

 

食事を終えていい気分でライダーハウスに戻ると、本日の同宿者が6人に増えていた。あ〜賑やかになったねぇ。苫小牧から40kmと比較的近い所にあるこのライダーハウスは、フェリーから下りてきた初日、とか明日フェリーに乗る、とかそういう人が多くなる。ま、ちんたも「明日フェリーに乗る組」なんだけど。藤沢氏も同じ。逆に、今日上陸組もいた。これから寒くなるっていうのに大変っすね、と声をかけると「そうなんすよ、だから荷物はたくさん持ってきました」とホントにばかでかい荷物を見せてくれる。1m×0.5m×0.5はあるような大きなバッグ。この中にまたたくさんの荷物が入っている。バッグの外にもなぜか折り畳みチェアなんか持っていたりする。すげー、とあまりの大荷物と妙な用意の良さにみんなでひっくり返る。  これまで、ライダーハウスではとりあえず翌日の予定を立てたりするのが日課のようなモノだった。地図開いたり、ライダーハウスの位置を確かめたり。が、明日はとにかく苫小牧へ直行するだけ。40kmの道のり。より道も許されない。とにかく9:45に出航する大洗行きフェリーに乗り遅れてはいけない(そのためには1時間前にはターミナルに着いていないといけない)ので、とにかくまっすぐ苫小牧に行くだけ。予定の練りようもなにもない。そこら辺はちょっと寂しいところ。が、実際、もう、足がほとんど終わっているので、これ以上漕ぐとなると、少なくとも次の日1日は休息に当てなければいけないだろうなぁとも思う。

 とりあえず、ちんた、フェリーに乗るため朝4時起き。ライダーな皆様より一足先に寝袋に潜ったのでした。




  =27日のお小遣い帳=
項目
金額
洗濯
朝食(貫気別・スーパー、パン)
給水(新冠・自販機、コーラ)
昼食(厚別・コンビニ、弁当)
ラジオの電池
ライダーハウス宿泊費
夕食(味処西陣・天丼、ビール)
100円
220円
120円
750円
450円
550円
1400円
本日の合計
3590円

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