北海道ツーリング・4日目
猿払〜宗谷岬〜手塩・150km('99.8.24)


最北端到達
宗谷岬とノシャップ岬
空と大地の間で
サロベツ原野からオロロンラインへ
チャリダー、ライダー、ドライバー
「ライダーハウス天塩ミツバチの宿」の夜


宗谷岬とノシャップ岬

 朝5時に起床。オホーツク海から日が昇っている。まだ、他のライダー達は寝ているみたいなので音をたてないように準備を始める。蚕棚の個室方式なので、朝早くから動くにも、あまり人を起こさなくて済んで良い。荷物の積載、そして空気圧のチェック。もう儀式なのである。

 出発は朝5時半。とりあえず、朝食を食べるところもなく(というかなにもない)、数10km走ってからどこかで取ろうというプラン。朝食の前に宗谷岬に着いてしまうかな?

 早朝のオホーツク海道は昼間にも増して交通量が少ない。昇る朝日を右手に広くまっすぐな道を北上、北上。きもちいひ。朝早く出ないと距離が稼げないのはチャリダーの弱点と言えば弱点だけれども、この気持ちのいい朝を味わうことなくゆっくり寝ているのはもったいないぞぉ。海沿いの真っ平らだった道から、登ったり下りたりの道に変わる辺りがたぶん宗谷丘陵と呼ばれるところだろう。ひたすらのぼって下りる丘の連続。頂部まで登ると2,3個向こうの丘まで見通せる。丘は一面クマザサ(?)に覆われていて丸いシルエット。卑近なたとえを持ってくれば、緑色のチャーハン(なんだそれわ(^^;))がいくつも並んでいるような感じ。なだらかな、丘。昨日の雨と朝日が相まってとてもみずみずしく見える。

 いくつめかの丘を越えて下りるときに、前方を見ると、海が見えて、その海の向こうにぼや〜っと島影、それも大きな大きな島影が見える。もしかしてあれは樺太?ちょっとだけ標高の高いところにいるだけあって(?)、とてもくっきりと見える樺太。いよいよ最北端の地は近いのだなぁということを実感。渡道するまではフェリーだったとはいえ、この黄色い自転車が最北端に着いちゃうんだぜ。すごいよね?すごいよね?自分の中では勝手に盛り上がるちんた。だって最北端だもの(^^;)。

 ひとしきり丘の上り下りが終わるといよいよ最北端への最終コース。大岬という街に入る。街の端っこには小学校があり(だからちんたが入ってきた側からだと最初に小学校が目に入る)、早くも登校している児童の皆様がちらほら。このガキんちょら、さすが最北端・観光の街に生きているだけあって、ツーリング客慣れしている。

 「がんばれよー!!」

 通り過ぎるちんたにそんな声をかけるガキども。ま、悪い気はしないので、「まかしとけー!」とばかりに手を振って応える。

 午前7時、宗谷岬着。

 うおおお、最・北・端・だぁ〜。ガイドブックには「期待はずれだった」とかいう声もたまに見かける最北端の地、宗谷岬。確かに駐車場があって、最北端の地を示す碑があって・・・それだけ。でもそれでいいじゃん!最北端の地にベルファーレとか歌舞伎町とかあったらやだろ?やだろ?そういうもんなのである、なんにもなくていいのである(強引に納得)。


最北端の碑。ちょっと離れた駐車場から撮るとこんな感じ。
こういうアングルで撮ったガイドってあまりないのでちょっと引いて撮ってみました

 まだ、朝なので観光客は少な目、10人くらい(昼間だとバスでまとめて乗り込んできてすごい騒ぎになっているのだか)。しかし、ここに来るとみんな野生の習性のように碑の前に立って写真を撮るみたいですね。何かのアリバイ工作なのかも(^^;)。入れ替わり、立ち替わり碑の前に立って写真を撮っています。ちんたは自分の写真こそ撮っていませんが、それでも「シャッターお願いします」は2、3組引き受けたような気がする。ただ、写真は撮らなかったとしても、ここを通って、素通りしていく人っていうのはまず99%いないんじゃないかな?(^^;)

 海に向かって見ると、ついさっき、丘の上からくっきりと見えた樺太はずいぶんぼやけてしまいました。なんとなくその存在はわかる・・・と言った感じ。宗谷岬にはこの辺りから樺太に渡った間宮林蔵の像が建っているのですが、改めてこの地に立ってみると、そりゃこんなに近くに島影が見えたら林蔵でなくても行きたくなっちゃうよね?と実感。ちなみに間宮林蔵モノに関しては、宗谷岬から数km稚内側に寄ったところに「間宮林蔵渡航の地」というそれこそ、間宮林蔵が船を出した場所があるわけですが、こちらはあまり寄る人もなく、今は単なるコンクリートの岸壁ですが、なんとなくそういう史実と絡んでいるリアリティのある場所というのは趣深いです。単純に「あ〜ここから船を出したんだな」と感心。

 宗谷岬から離れ、10kmほど進んだところで朝食。今日も北海道を旅する人の味方、セイコーマートで焼きうどんである。しかし、今回のちんたの旅、コンビニなかったらどうなっちゃうんだろう?(^^;)とても文明依存度の高い旅である。

 再スタートすると今朝までいた宿で同宿していた千葉サラリーマン氏に抜かれる。向こうも気が付いたようで大きく手を振っている。お互い気を付けて。しかし、向こうは2時間近くも後にでてるんだろうなぁ(ちぇ(^^;))

 一見、「最北」つながりだからか、宗谷岬と稚内はセットで一つ、とても近い、みたいな印象が(少なくともちんたは)あるのだけれども、あにはからんや、結構遠いじゃないか。宗谷岬からは弓なりに湾曲した海岸の向こうに稚内が位置しており、実は稚内市街はずっと見えているのだけれども、見えているだけにいっこうに着きませんなぁという感覚がつのる。ま、実際にも40km近くあるわけで、本来なら2時間かかる距離、そりゃすぐには着きませんわなぁという感じ。途中にある稚内空港の横を通り過ぎた辺りからようやく街っぽい雰囲気が現れ、稚内市街へ。

 稚内市街は意外に街街していて(「まちまちしていて」という表現も変なモノだけど)、結構走りにくい。ま、今まで超走りやすい道しか走っていなかったのでそう思うだけかも。最北の街といっても結構大きな街なのである。駅に立ち寄り、近くにあるフェリー埠頭まで行ってみる。


フェリー乗り場の近くにある通称”稚内ドーム”
土木遺跡としても有名ですが、雨露をしのげる場所としても大人気。
この写真を撮った時もまだテントを張ってお休み中・・・の旅行者多数でした。

 フェリー埠頭からノシャップ岬までは街中なコトもあってへろへろと走る。なんでも良いが、ノシャップ岬(稚内の岬)と納沙布岬(根室の先、日本最東端の岬)はどちらもそれなりにメジャーな岬だけにややこしい。ライダーハウスとかでも誤解を招きやすい地名、おそらくNo.1である。他には根室と芽室(←めむろ、帯広の方にある)も聞き分けが難しく混乱しがちだったり。ま、そんなノシャップ岬に行ったわけだ。

 しかし、ノシャップ岬も何とも微妙な立場の岬である。いちおう、稚内中心街からは近いながらも稚内の先っぽに突き出し、天気が良ければ樺太も見えるだけに結構メジャーな観光地にはなっているモノの、最北端はあくまでも宗谷岬。実はあまりそういう「肩書き」はなんにも無かったりするのだけど、メジャーだもんだからしょうがなく「さいはての地」などという言われ方をしている(礼文島の北端「スコトン岬」を指してそういう人もあり)。なんだかバブルの頃にあったよね、そういうよくわかんない位置づけの管理職(^^;)、そんな感じである。


いまいち位置づけのあやふやなノシャップ岬で一枚。自転車も一緒に。
この写真を見るといかにロードレーサーに無理してモノを積んでいるかがよくわかります(^^;)

岬のそばの売店でドリンクボトル(聞こえはいいが、初日に買ったアクエリアス750mlペットボトルを使い続けている)に水を入れてもらう。水だけじゃ気が引けるので、ついついソフトクリームなども買ってしまう。ここのおばちゃんにもどこから来たのか問われ、案の定その答えにめちゃめちゃびっくりされてしまった(^^;)。チャリダーってそんなに珍しい存在じゃないのに(^^;)。ソフトクリームを嘗めていると、今度は地元の人が寄ってきて、ちんたのロードレーサーを見ながら「これ、どうやって積んでるんですか?」と聞いてくる。どうやらか弱いロードレーサーに無理矢理荷物を積んでいるのが珍しい、特にシートポスト直付けのキャリアが珍しいらしい。この兄ちゃん稚内の地元の人で自らもロードレーサーに乗っているらしい。「こりゃ便利だ、俺も買おう」と嬉しそう。しばらく自転車談義にふける。

 ここから先はいよいよ日本海である。

サロベツ原野からオロロンラインへ

 ノシャップ岬から、いよいよ南下に入る。ひたすら北上を続けていた前半戦から後半戦に入ったということでもある。

 いちおうちんたは「北海道風左回り説」を信奉していたので、日本海側に向いたら風は北風になって、引き続き自分の背中を押してくれるもんだと思っていたのだけど、世間はそれほどには甘くはないらしい。向かい風。それも運が悪いことに今日はなんとなく風が強い日である。む〜、少々先行きに不満を覚えるちんた。 今日、ここからの日程は、とりあえず海沿いに走る道道106号を進み、気分によっては少々内陸にそれて、サロベツ原野の周りでも走ってみようかな・・・という程度に考えている。どっちかというと先を急ぐよりも寄り道をしてみよう、みたいな日に考えている。が、まぁ、「気分によっては」というのはもちろん体力的なものも大きく影響するわけで、向かい風であんまり疲れていたら寄り道しないで楽ちんに行こうかな・・・とも思う。まぁそこら辺は分岐点に出るまであれこれ考えていればいいや、と。

 海沿いの道は少しずつ少しずつ湾曲していて自分の進む先の道が遙かずっと先の方まで見えている。高低差はあれど緩い斜度の坂がちょっとだけあったりする。右手側はひたすらに海、そして利尻島が見える。礼文島も振り返ればくっきりと見える。両方とも初めて見る(そりゃこの辺に来たのが初めてなんだから当たり前といえば当たり前だ)のだけど、利尻富士って大きいんですね〜、で、形がホントに富士山に似ていてきれいなシルエットの山。大きいだけあって、どこまで行ってもどれだけ漕いでもずっと横にあってついてくる。そんな感じ。結果的には、この日が終わってもまだ見えるところにあったからな(^^;)。

 この時点でこのあたりです。
道道106号から抜海駅の方に進みます。
ここからサロベツ原野の旅のはじまりです。

 そのふらふら考えながら決めようと思っていた分岐点は抜海岬の近く。ここで道道106号とお別れして宗谷本線に沿う形でサロベツ原野の方に行くかどうか。着いてみれば、そのサロベツ原野への道は方角的にはさらに向かい風真っ正面であることに気が付く。が、この頃にはちんたも交通量の多い道をダンプやトラックに脇を脅かされながら走るのにも若干嫌気がさしていたので、とりあえず交通量が少なそうな向かい風側を取ることにする。 ちょっと脇道に入るだけで交通量が少ないのなんのって。北海道はホントに幹線道路とそれ以外のギャップが激しい。で、交通量が少なくても道は広くてきれいなのがとても嬉しい。車の音さえもなくなって、しーんとした道を進むちんた。聞こえるのは風の音だけ。


う〜ん、空の青い色がうまく出てませんねぇ>写ルンです+うちのスキャナ
ね、広くてキモチイイ道っしょ?車の通りもありません。ここから2時間、こんな道が続きます。

 しかし、この寄り道は大成功。サロベツ原野・・・というか正確にはサロベツ原野の輪郭みたいな所を走っているわけなんだけれども、見渡す限りの緑色。川と丘と野原と。天気も北海道に渡って以来初というくらいに晴れ上がっている。少しだけ秋の匂いを連れた風が身を包む(これが向かっていなければもっと心地良いのだけど(^^;))。多くの場所は牧場として使われているようで、これがまたむっちゃくちゃに広いんだけども、遙か彼方の方にはいくらかの牛が居るのも見える。北海道的にはそろそろ冬支度も考えなくてはいけないのか、牧草を刈り取るトラクターがせわしなく動いている所が多い。

 
ずっとこんな感じで両側にはどこまでも続く緩い丘、そして広い空。
自分が立っているところが、走っているところが「大地」なんだな、と実感します。

 いくつもの丘を越え、そして丘を下る。これがまた丘を下るときは気持ちいいんだ。一面の緑の絨毯の間を涼しげな風を受けて疾走するのだから気持ちよくなかろうはずがない。道が広くてまっすぐに近いんで、安全確認がしやすく、そこそこスピードを上げて走ることもできたりするわけで。めっちゃめちゃキ・モ・チ・イ・イ。ロードレーサーで来た甲斐があったというモノだ。荷物も少な目にして良かったね、みたいな。


 ぼくは いま 大地と 大空を 両方 独り占めで 遊んでいるのだな と。



 そんなコトを実感しながらペダルを漕ぎ続ける。しかし、こんなキモチいい道でも走る人はあまり居ないのかなぁ。チャリダーはおろかライダーとさえもまったくすれ違ったり追い抜かれたりすることがない。地図上でもそんなに存在の薄い道では無いと思うのだけど・・・・。

 この時点でこのあたりです。
兜沼の近くです。この地図で言うと上の方から兜沼に入り、
沼を左回りに回り、上サロベツと書いてある方へ回ります。

 兜沼に着く頃にちょうどお昼時、12時。ここは兜沼という沼があるのだけど、地名もそのまま兜沼。なんか宗谷本線の駅があって、郵便局があってそれなりに集落のようなんだけれども、時間が止まったようにしーんとしている。あまり外を出歩く人はいないのかな。道がきれいで天気も良く、からっとした景色の中で時間だけが止まっているような感じ。不思議な空間。とりあえず、お昼御飯はもうちょっと走ってからにしよう。なんだかキモチいいのでどんどん続けて走りたい感じ。う〜ん、上手く書けないけど、自転車で走っている上では極上のヨロコビを感じながら走る。

 稚咲内に出たところで再度道道106号、そして海にこんにちわ。天国にいたような2時間半が終わる。 稚咲内からは道道106号でひたすらまっすぐだ(^^;)。この辺りはオロロンラインと呼ばれているところなんだけれども、とにかくまっすぐ。ちんた、どこまでも道がまっすぐというと十勝平野がイメージされるのだけれども、こちらもすごい、というかこっちの方がすごいんじゃないか?(^^;)。ずっとずっと続く、まっすぐなままそれより先が見えない道。左手は野原。右手は海と利尻富士。ずっとずっと同じ風景が続く。ずっとずっと。地図で計ると20kmほぼまっすぐなんだからすごい。

 この時点でこのあたりです。
右上の方から稚咲内に入り、その後海沿いの道道106号に合流、南下します。
どれだけまっすぐがいろいろクリックして遊んでみるのも良いでしょう(笑)。

 だがしかし。ちんた、少々ピンチに陥っていた。時刻は14時。腹が減りまくっているのである。う〜兜沼で何か食べておくべきだったか。パン屋くらいしか見あたらなかったけどさ。今、走る道道はそれ以上に何も見あたらない。左手は野原。右手は海。う〜ん、もっとなんかお店があるようなイメージだったんだけどなぁ、いちおう交通量の多い道なんだしさぁ、あてが完全にはずれてさらに窮地に陥るちんた。さらにさらに、どういうわけか、この辺り妙にダンプが多いのである。で、あとダンプが落としていったのであろう小石とか砂とか泥が路肩に残っていたりしてとても走りづらい。サロベツ原野では気持ちよかったから目をつぶっていたがやはり向かい風も気になる(^^;)。それよりもなによりも、やっぱ腹が減った。つ、つらい。

 ちんた、かなりハンガーノック寸前でお店らしきものを見つけたのはその40分後、15km近く走ったあと。15kmも何にもないなんて!一見、営業してるのかどうかわかんない店構えだったのでちょっと焦ったがとりあえず開いているようだ。ふ〜〜〜〜〜助かった。けっこうマジでやばかった。お店はホントにどこにでもあるような定食屋でとりあえずカレーを頼むちんた。なんだか相変わらず、東京でも食べられるようなモノばかり食べている。

 食事をとれば復活するかな〜と思っていたらどうも思ったほど足が回らない。そりゃまぁ理屈から言えば曲事を取ってそれが栄養になるのは2時間くらいたった後からなのではあるけれども、それにしても終わってる。ハンガーノックだったのかなぁ、それとも向かい風だったから?依然としてダンプがばかばか横をすり抜けていくので気分のなんだかしおれる一方。だめだこりゃあ(いかりや風)ということで、今日は昼飯ポイントから15km進んだ先の天塩で日和ることにする(調子よければさらに40km先の初山別村まで行く心づもりだった)。いいや、今日は150kmも走ってるんだし、と自分を納得させる。 16時。天塩着。日和ったせいもあってここ二、三日よりはいくぶんか早い時間に本日は終わり。

 あ〜それにしても至福の一日だったよお。

 

「ライダーハウス天塩ミツバチの宿」の夜

 天塩の街はオロロンラインを南下し始めて初めてというくらいの街らしい街。歴史資料館なんかもあるようだ。港町(おそらく漁港)なのか?そんな雰囲気。

 今日はこの天塩町にある天塩ミツバチの宿というライダーハウスに泊まる。このライダーハウスは無料!である。う、うれしい。天塩ミツバチの宿は鏡沼海浜公園という大きな公園の一角にあり、ここはキャンプ場やバンガローがあるのだけれど、それと並んでプレハブのライダーハウスがある(女性用はワンランク高くバンガローが専用室になっている)。別棟でシャワー室、トイレがあり、ちょっと離れてはいるモノの浴場、洗濯機も使えるらしい。自炊派にはキャンプ場の設備の数々が嬉しいところだろう。名前の通り鏡沼という沼のそばに建ち、また海辺にも近く景色がとてもいいライダーハウスである。

 着いてみるとすでに先客が4人、それも4人ともチャリダーである。こういうパターンは珍しいな。それもロードレーサーも一人。お互いロードレーサーを見かけたことが珍しい。そのロードレーサーの主は関西から来たサラリーマン。普段、それほどツーリングに行ったりしているわけでもないらしいが、友人に「北海道はいいぞ〜行ってみそ」と強く勧められて、とりあえず来てみたんだとか。ちんたと違って小樽から右回り。ところが彼が言うには・・・「もうだまされましたよ〜。自転車はさんざんです」とのこと。そりゃまた?聞いてみると上陸以来、ずっと強力なヒルクライム、向かい風、雨の洗礼を受けっぱなしでここまでたどり着いたのだそうだ。む〜それはご愁傷様すぎるぞ。かわいそすぎ。それでも「こうなったら意地でも稚内までは行く」のだそうで、あはは、頑張ってね(^^;)。

 他の3人はMTBにクロスバイク。うち女の子一人。それぞれに自転車談義に盛り上がる。ちんた以外はみんな北上する方に進んでいるようだ。向かい風結構くらうんじゃない?(結構くらっているようで、それぞれにたいへんな思いをしているらしい)。そんなこんなで盛り上がっているうちに、今夜の同宿者勢揃い。後から来たのはバイクが3台に車が1台。みんなとっつきやすく、今夜も同宿者には恵まれているらしい。

 折しも利尻富士を借景に西の空が燃えるような夕焼け空になっている。めいめいにカメラを取り出したり、プレハブに登ったりしてフィルムに収めている。どうせなら海岸に行って見ようべ、ということでバイクの後ろに乗せてもらって岸壁まで走ってもらう。う、うおお、バイクさみ〜。バイクってこんな寒い思いして走っているの?毎日暑い暑いとしか思っていなかった(現に着るモノはジャージ1枚きり)ちんたにはとても意外。どうりでライダーは厚着なわけだ。バイクの上も寒かったが吹きっさらしの岸壁もまた寒かった。夕焼けは見事であったけど、寒さに負けて再びバイクでもどる。

 今夜も酒飲んでふけるライダーハウスの夜である。なんてったって今日は車が居るので、みんなで車に便乗して買い出し。楽ちん楽ちん。ちんた、今夜は夕食はビール(発泡酒)につまみ。150kmも労働した後ではこれ無しでは辛すぎる。他のみんなも酒ありの、自炊ありのとそれぞれの旅スタイルの食事をとっている。ここで圧巻だったのはやはり車で回っているフリーター氏。自転車・バイク組がシングルバーナーで調理する傍らでツーバーナーである。ちなみにトウキビを茹でていた。なんでも彼はちんたの故郷の隣町(わかる人のために書けば可児市である、さらについでに書いておけば蘇南中卒だって(^^;))から来たとのこと。ありゃま、そんなところで地元の人に出会うとは。彼は車で回ってはいるモノの貧乏旅行で、時にバイトしながらいろいろと回っているらしい(あ、昨日猿払で会ったタカハシくんと同じだ)。ガソリン代が莫大にかかるのでとにかく他は節約しまくらなければいけないのだとか。ただ、まぁ、さすがに車で回っているというのは偉大なモノで、件のツーバーナーコンロに加え、屋根にはMTBを積んでいるし、米も大きな20kg袋で傾向。調理用具、調味料の類も大きなコンテナに入れて一式揃えてある。こりゃまたチャリダーやライダーとは一種、趣の異なる旅行だ。とにかく節約のために無料のキャンプ場やらライダーハウスを中心に泊まっているらしい。が、節約中でありながら「ススキノ行くならソープよりもキャバクラの方が良いすよ、3000円で店外デート出来ますよ」とそこらへんの情報もなぜかぬかりない(^^;)。彼は長い間北海道を回っているだけあって、結構いろいろな人に世話になっているらしい。食べ物はおろか現金までくれた人もいたとか。そうまでいかなくとも確かに北海道の人はお願いすると嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。ちんたもドリンクボトルの水を何度入れてもらったことか。「北海道って、旅人に優しいですよね。」あ、それはそうだね、名言だ。人もやさしいけど、大地も風もみんなひっくるめて北海道は旅人にやさしい。うん、確かにそうかも。傍らでバーナーを焚いているチャリダー氏は職を辞めて北海道に来ているのだとか。「だからいつまででも居られるよ〜ん」って、え?そういう問題?(^^;)。確かに退職時期を夏の旅行時期に合わせるというのはいいかもな、変に納得するちんた。

 そして今夜も出ましたトラクター北海道一周(^^;)。やはり情報を持っていたのは車であちこち回っている岐阜県民である。彼ももうそこら中のキャンプ場、ライダーハウスでその話を耳にしているそうだ。会ったことは無いらしいけど。「雑誌のBE−PULの編集長がやっているという話ですよ」と言っていたが真偽のほどはどうか?彼はトラクターこそ見ていないモノの、バイクに乗ったドラえもんとドラミちゃんは見かけたそうである。ど、どうやって走っているんだ?(^^;)。ちなみにあまたいるコスプレライダー、今年は仮面ライダーが一人こけたらしい(←なんでも走行中に「へん〜っしん」とやろうとしてそのままアウト側に吹っ飛んでいったとか(^^;))が、ホントか?大丈夫か?なんだかライダーの世界ってのはこれはこれでうらやましいなぁ。こういうばかばかしさは大好き。チャリダーだと(少なくとも僕は)こういうシャレかませる余裕が無いんだよね(^^;)。走るだけでいっぱいいっぱい(^^;)

 ライダーハウスでの話題の定番といえば、「明日の旅程」。みんなちんた以外は小樽方面から宗谷岬に向かって北上する右回りなので、彼らの生の情報はとてもありがたい。ちんた、根性無しなので、これから走る先の坂道がどうなっているのかが気になって気になって仕方がない。こういうのは逆回りに来た人、それもライダーよりはチャリダーに聞きたい(ライダーは坂道に無頓着なんだモノ(^^;))。もちろん、ちんたも情報提供。みんな北上するのね〜、だまされたと思ってサロベツ原野は行きなさい、そんなコトを言っていたと思う。あと稚内まではほとんどフラットだよ、あとは風との勝負だね、みたいな。ちんたも明日の旅程はとても悩むところ。120km先の留萌に泊まるか、180km先の旭川に泊まるか(そしてその間にライダーハウスは無い)。そんなコトも含めてみんなでうだうだと話していた。

 今日はやたら同宿者の仲が良かった一夜でした。



  =24日のお小遣い帳=
項目
金額
朝食(稚内・コンビニ、焼きうどん)
ソフトクリーム(ノシャップ岬)
昼食(豊富・カレー)
夕食(ザンギ、イカ燻、ビール2本)
400円
250円
600円
900円
本日の合計
2150円

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