9月8日
 サンフランシスコ(市街)〜サンフランシスコ空港の近く

 出国(日本への帰国)を翌日に控え、本日はサンフランシスコのダウンタウ ンから空港の近くのモーテルまでの移動の日。フライトが朝早い便で当日朝ま でダウンタウンにいると間に合わない可能性があるので、とりあえず出国前日 は空港近くに宿を予約しました。英語の国は偏差値35からの英会話でもそれな りに何とか電話で予約が取れちゃうから楽ちんといえば楽ちんです。
 しかし、ダウンタウンから空港など、まともにまっすぐ行ってしまえば10 数マイルの道のり。そんな行程を朝からがしがし行って午前中に終わってしま いましたではどうしようもないので、とりあえずチェックアウトぎりぎりまで うだうだしてから出発です(これはこれでどうしようもないですね・・・)。

 街中をうろうろしようとすると激坂アタックの繰り返しになることは前日ま でに学びましたので、とりあえず、海っぺり、フェリーターミナルとかフィッ シャーマンズワーフのあたりをうろうろ。ドミトリーで同室のフランス人・セ バスチャン君(←こんなべたな名前が本当にあるのだと感動した(^^;))に聞 いたところによると、明日、日曜日にはフェリーターミナル前の通りを使って 自転車のレースがあるのだとか。日曜はちんたはすでに機内の人となっている 予定なので観戦は望むべくもないのですが、ちょっと興味はあります。土曜日 の本日、すでに仮設の観客席などの設営が始まっていました。

 そのフェリーターミナルビルの前の道をBIKE ROUTE 5の表示に従って南下を 続けるとそれがそのまま空港の方へと続いています。途中、地元ジャイアンツ のバリー・ボンズがホームラン打ちまくりで盛りあがっているパシフィック・ ベル・パーク(球場)やマリーナを見物しながらのたのたと走ります。しか し、その球場を過ぎたあたり、ミッション・ベイ地区に入るといかにも港町と いった風情で人の気配が無くなり、さらに1,2マイル南下したハンターズ・ ポイントにさしかかるといよいよ雰囲気が怪しくなってきます。「地球の歩き 方」には、治安の悪いやばげな街の見分け方に「落書きが多い」「家や店に防 犯用鉄格子」等々が書いてあるのですがほとんど全部当てはまって、指を折っ て数えるとハネ満くらいは行ってしまいそうです。家々のあまりにも頑丈そう な鉄格子やシャッターを見ただけでも、ハイト・アシュベリーの辺りと比べて 明らかに治安が悪いのだということを実感します。正直、こんなところでパン クとかいってお店を広げる羽目になったら、パンク修理した頃に残っているの は手元のホイールだけでした、なんてコトになりかねない?そんなことだけは なりたくないなぁと、前後のタイヤに心から素直にお願いしつつ先を急ぐこと にします。いちおうこういうところでもBIKE ROUTE 5として設定されているわ けでそれを思えばそれほどヤバいところでも無いのかもしれませんが、ちんた の中の弱気アラームは鳴りっぱなしでした。

 そのハンターズポイントからさらにBIKE ROUTE5に従って南下、そして丘を 登って降りてちょいちょいっと行くと3COMパーク、49er'sの本拠地? ですのでアメフト好きな人には聖地だと思うのですが、その隣にはキャンドル スティックポイントという州のレクリエーションエリア、平たく言うと公園が あります。とりあえず2時間近く走ったし(平均時速10マイル以下です が)、先を急ぐわけでもないので立ち寄り。

 この公園はサンフランシスコのダウンタウンからさほど離れていないにも関 わらず、別世界のような静さ、そしてのんびりさ。人出で賑わっているわけで も、まったく人影が無いわけでもなく。半島状に突き出た小島に囲まれた小さ な湾に水鳥の群れ。海を挟んだ向こうにはオークランドの街並み。静かで落ち 着いたお台場、といった風情。
 ベンチに腰掛けてふと気付くとそこここにイタチやリスが。あるものは餌を 食べるのに熱中し、あるものはじーっとこちらを監視しています。そして、た まに子供達がかけ寄ると一目散に逃げていきます。そしてまた物影からこちら の様子をじーっと見ています。彼らの目にはちんたはどう映っているのか。単 なるいつものサイクリストなのか、それとも普段とは少し様相の違う東洋から の闖入者と感じているのか。遠くの方ではサンフランシスコ国際空港から飛び 立つ飛行機がひっきりなしに行き来しています。それまで緊張しっぱなしだっ た今回の旅で初めて感じる解放感というか脱緊張感。ほえ〜〜。イタチに観察 され続けること1時間、実にのんびりとした時を過ごしました。なんか緊張か ら解放されて初めて休暇らしい時間を過ごしました・・・とか言うあたり、ど うもこの旅、本末転倒。

 予約していたモーテルには午後3時に到着。まだまだ日は高く、お終いにす るのはもったいないような時間ではあるのですが、かといって空港周辺の辺り はとりたてて行くところも無く(周辺の道路はハイウェイだらけで自転車はお 呼びでない感じ)、出かければ出かけるほどトラブルを呼び込んでしまいそう な印象もあるので、モーテルで遅い昼食としてマックフライポテトを頬張りな がら、ぼけぼけと過ごすことにしました。

 とは言っても、自転車旅行としては最後に一つ大仕事が残っています。「輪 行の準備」です。往路はロサンゼルス空港で大きくお店を広げて組み立てを行 いましたが、モーテルの自室で作業ができるのはやっぱり安心です。帰路の輪 行準備でちょっと困るのは梱包材が手に入りにくいこと(実際、モーテルの周 辺にはお店や街も無いのでさらに何も手に入りそうにありませんでした)。今 回はサンフランシスコダウンタウンで手に入れた厚めの新聞、自分の衣服、さ らにお土産用に大量に買ったTシャツ(1枚2ドル)もすべて梱包材要員で す。お土産を梱包材に活用するなんて、素敵な奥さんカリスマ読者みたい、と ちょっと自分で悦に入ってみたり。結局、CNNを見ながらちんたらちんたら と梱包作業をやっていたらたっぷり2時間かかってしまいました。何度やって もあまり時間が短縮されませんね。ちょうどその頃には日も暮れて辺りは真っ 暗。翌日は7:30の飛行機に乗るために5時起きです。あとは寝るだけ帰る だけ。

 本日の走行距離は40.3kmでした。

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