9月6日
サンノゼ−サンフランシスコ

 連日のモーテル泊まりですが、一人旅なせいもありますが、実に こー、なんというか、する事が無く、早寝早起きの生活が続いていて、 夜11時には寝て朝5時には起きていたりします。早起きした後はぼーっ とCNNやらESPNを見ながら、あー、またボンズが打ったなぁとか とぐだぐだ過ごします。そういえばカリフォルニアに居る8日間の間、 TVでイチローや新庄は全く見かけませんでした。あ、野茂は見まし た。

 誰も話し相手のいないモーテル暮らしではありますが、連日助かって いることの一つは自転車を室内置きできることです。セキュリティの上 でも安心ですし、朝、出発のための用意をするのがとても楽なのです。 荷物をキャリアにくくりつけたりとか、タイヤのエア圧チェック+エア チャージとか。コーヒー飲みながらゆっくり出来るのはいいですね。
モーテルはたいていの部屋が相当広いので、自転車を室内に入れたとこ ろで快適さは全く損なわれません。おそらく二人+自転車二台で投宿し ても快適なままだと思います。あと、便利と言えば、風呂から洗面所か らすべて部屋の中にあるので洗濯が楽なところでしょうか。3つに2つ くらいのモーテルではアイロンや簡易乾燥機もあったりしましたので、 「洗濯は宿で」派(?)の人にはなかなかいい環境なのではないかと思 います。

 それでも、自分は選べるならばドミトリーを選択すると思いますけど ね。やっぱ、片言でも話し相手が居た方が抜群に旅が楽しくなりますか ら。

 さて、本日はいよいよ花のサンフランシスコに殴り込みです。おのぼ りさんです。残り距離は約40マイル。楽勝でしょう。地形的にも湾沿い でほぼフラットなはずです。

 だがしかし。

 地図をいくら見てもサンフランシスコに(自転車で)行ける道がどれ なのかさっぱりわかりません。相変わらず地図を見ただけではどの道が 自転車通行可なのかわからないのです。今、これを書きながら地図を ひっくり返して見直していますが、とりあえずサンフランシスコまで 真っ直ぐ通っているのは101号線です。ところがこれはどうもフェリー ウェイっぽいのでどうも自転車乗り入れはできそうにありません。実際 に見た感じでもこりゃ自転車で入っちゃまずいだろうというようなバリ バリの高速道路です。地図上ではその101号線と全く同じ太さの凡例で82 号線という道がありますが、同じ凡例なのでこれも通れないだろうと判 断します。もう一つ、地図をよく見ると前記2つの道より数段階細い描 かれ方でCentral Expwayという道があります。これならいいのかな?と 思い下見に出かけてみるとどうもこれも自転車はダメのようです。モー テルのフロントの人といろいろ話した結果、この3つの道のうち、自転 車でサンフランシスコへ行こうとすると82号線『EL CAMINO REAL』が正 解なようです。・・・んなもん地図でわかるかいな。アメリカの地図の バカ。

 出発はいつもより若干遅く、9時頃にモーテルを出ました。どのモー テルでもサイクルジャージ着てチェックアウトすると、「Good luck.」 と声をかけられるのがちょっと気分いいです。EL CAMINO REALに乗って しまえば後はそのままサンフランシスコです。ずいぶん大きな通りで自 転車が走る路肩も1mくらい確保されていて走りやすい道です。ただ、 バスも多い道なので、バスを先に行かせたりバスを追い抜いたりという 所には若干神経を使わされました。ま、これも世田谷通りに比べればど おってことないというレベルです。この道の沿線も日本人が多いのか、 バス待ちしている日本人風の人が結構居ます。日本人風の人はたいてい の人が自転車に乗って走っている東洋人であるこちらを見て多少なりと もびっくりしている表情をしています。そんなに珍しいモノなのか、ち んたそのものが珍妙だったのか?

 EL CAMINO REALはCAL TRAINという鉄道とほぼ並行しています。走って いるうちに時折、そのCAL TRAINの駅を見かけるのですが、駅を横目に 走っていくとなんだか一歩一歩サンフランシスコに近づいている実感が あって気持ち的にも張り合いが出てきます。沿道にはずっとレストラン だったりファーストフード店だったりモーテルだったりというような建 物が建ち並びます。ただ、どういうわけなのか、サンノゼからサンフラ ンシスコに近づくにつれ、少しずつ少しずつ退廃的な雰囲気が出てきま す。今になって思えばサンフランシスコはもともと港町であり雑多な町 並みというか多少の猥雑さも元々含んでいて当然なのですが、その周辺 部がさらにそれを退廃的にした感じになっていてもそれほどおかしな話 では無い・・・というのはわかるのですが、びびりんなちんたとしては またまた少しずつ小心者メーターが上がって行くのでした。

 サンフランシスコ入りしたのはちょうどお昼頃です。そうは言って も、まだまだダウンタウンは遠く、空港に近い辺りにたどり着いただけ です。空港から出る飛行機がひっきりなしに頭上を通過していきます。 サンフランシスコを実感させる変化といえば坂道が増えたことでしょう か。べつにとりたてて大変な激坂があるわけでも無いのですが何度も何 度も上っては下りるということの繰り返しになります。坂を上りきった 時にうっすらと見えるサンフランシスコの中心部、フィナンシャル・ ディストリクトの高層ビルを見て「ああ、たどり着いたんだな」という 実感が増します。

 サンフランシスコに入ってまず目に見える変化は、サイクリングルー トの標識が現れるようになったことでしょうか。サンフランシスコでは 文字通り縦横無尽にサイクリングルートが設定されていて、道のあちこ ちにサイクリングルートの案内標識があります。5番ルートはここを右 折だよ、とか84番ルートはここを直進だよ、とかいう緑色の標識が市街 のあちこちに立っています。サイクリングルートと言っても必ずしも自 転車道があったりするわけでもなく、路肩がほとんどないような普通の 道もルートとして設定されていたりします。また標識も微妙にアメリカ 的におおらかで、過信しているとミスコースしてしまったりします。そ れでも郊外から走ってきてとりあえず中心街に向かいたい・・・という ような状況には充分役に立ちますし心強いです。
 アメリカの地図にはさんざん悩まされたちんたですが、ダウンタウン に入ると一転して非常に便利な地図になります。道の全てになんちゃら 通りとかいう名前が付いているのですが、それらの名前をこれでもかと いうくらい全部の道の名前が記載してあるのがアメリカの地図。もう意 地でも載せるのだという意気込みが伝わってくるくらいに細かい文字で もきっちり全部記されてあります(実際、すげぇ文字の量です)。

 おかげで、本日目論んでいた宿へはPotrero通りから17番通りそして South Van Ness通りからVan Ness通りへといった具合に一発でたどり着 きました。本日の宿は地球の歩き方にも載っている安宿です。1泊17ド ルというこれまでのモーテルの宿泊費から見れば感動的に安い宿代で す。またドミトリーにも関わらず部屋の中に自転車持ち込みOKという ブラボーな宿で、ありがたく、自転車と一緒にエレベーターを上り、部 屋の片隅に自転車を置きました。自転車を置いているとたいてい同宿者 が珍しそうに「これお前のか?」と聞いてきます。そして「どこから来 たんだ?」「距離はどれくらいなんだ?」「何日かかったんだ?」と質 問責め。でも、話の種になるという意味では便利な道具でもあります。 しかし、悲しいかなちんたの偏差値35からの英会話、ロスからサンフラ ンシスコまでの間の半分くらいは鉄道を使っているのだと言うことそれ なりに説明していたのですが、何回か説明するうちにめんどくさくなっ てその件は黙っていたので、ルームメイト達の間では「ロス〜サンフラ ンシスコ800マイルを6日間で駆け抜けたすげぇジャパニーズ」という事 になっていました。

 宿に入ったとはいえ、まだ午後3時です。とりあえず自転車はお終い にして部屋に残し、日が暮れるまでサンフランシスコの街を散策しまし た。あ〜大都市は旅が楽でいいや(しみじみ)。

本日の走行距離は44マイル(約72km)でした。

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