9月4日
サリナス − サンタ・クルズ

 朝。本日も朝はどんよりと曇り。だが結局降りそうで降らりません。 そして昼頃には雲一つない青空になるのがカリフォルニア(海岸沿い) の空模様のお約束なのだということが段々わかってきました。朝のうち は霧に覆われていて、午前中はそれが急に晴れたり、またかかってきた りします。でも、その雲が雨になるようなことはこれまでのところあり ません。
 今日はサリナスの街から北上してサンタ・クルズ(サリナスから約4 0マイル)を越えサンノゼ(同65約マイル)まで行けるといいなぁと か考えています。サンノゼまで行けばサンフランシスコはすぐそこ。

 どんよりとした鉛色の空の下、朝8時にモーテルを出発。今日はレイ バーデイの3連休も終わり、モーテルも人影まばら。しかし、道を走る 車の量は相変わらず多く、脇をびゅんびゅん抜けていきます。今回、交 通量の少ない道を行くという機会がほとんどありません。普通に目的地 に向かう効率良い道を選ぶとそうなってしまいます。正直、地図で見る 限りは田舎道は周り道にしか見えませんし、道路の状況(路肩とか)も あまり期待できそうにありません。それとガソリンスタンド(トイレと か補給とか)やモーテルなど旅のインフラがあまり無さそうなことも幹 線道路にしがみついている要因でもあったりします。おかげでロサンゼ ルス出発以降、吸ってる空気のほとんどが排気ガス混じりという、これ だけ聞くと実に嫌そうな旅になっています。しかし、幹線でさえも10 マイルくらいは平気でガススタンドも無かったりするので油断できませ ん。ガソリンは要らない自転車旅でもガススタンドは重要です。

 交通量は多いのですがそれを除けば、見渡す限りのイモ畑。これだけ 作ればそりゃマックフライポテトのあのでかさも理解できるというもん だ。海岸沿いもいいのですが、これはこれで広大なカリフォルニアの大 地を身体全体で感じていられるような感覚です。

 サリナスからサンタクルズへの道のりは途中からいつのまにかPACIFIC COAST BIKE ROUTEに再合流していました。ロサンゼルスから2日目のサ ンタ・バーバラまでお付き会いした自転車道(とはいえすぐ脇を車がば んばか走ってるけど)、それが400kmはしょった北の地まで続いて いるルートだとは思いませんでした。後日、サンフランシスコまで行っ てみるとちゃんとサンフランシスコまで続いていて、まだ北に向かって 延びていましたのでシアトルのあたりまで続いているのでは無いでしょ うか?このBIKE ROUTEもわかりやすいようなわかりにくいような道なの も相変わらずで、いきなりフリーウェイに合流させたかと思うと今度は フリーウェイは走れないから迂回してくれといわれたり。標識の間隔が アメリカンサイズ、不安が募った頃になってやっと、「ああ、この道で 良いのだな」とか「ええ?こっちに曲がるの?」とか確認出来るくらい です。すっかり翻弄されているちんた。迂回がちょくちょくある為、地 図上で見積もった距離の1.2〜1.5倍は走らされるのが常です。そ ういえばこういう間隔はドイツでも同じようなものでした。日本の場合 は自転車用の標識は無いのですが、車用の標識がそれこそ無数にありま すから、楽ですね、というかこの時ばかりは国交省の公共事業万歳とか 思ってしまいます。

 サンタ・クルズまで残り10マイルくらい。太平洋岸自転車道という 割にはやたらに森の中を走っています。斜度が緩いのでそれほどでもな いのですが、振り返ると「おー、こんな山越えてきたんか」みたいな山 越えを強いられてしまっている海岸自転車道。うそつき〜。迂回路にし ろ山越えにしろ所々にある標識にしろ共通して感じるのは「大雑把 さ。」細かいことをいちいち気にかけないのがアメリカ流なのかとなん となく思います。大雑把といえば海岸沿いの自転車道では自転車道と崖 の間に柵一つも無く、眼下がそのまま20m下、海の中、みたいなとこ ろもありました。「あ〜ここで立ちごけしたら海中一直線だなぁ」と 思ったりもしますが、訴訟社会のアメリカでこういうのは問題にならず あくまでも自己責任となるところが面白いです。
 サンタ・クルズに到着したのはちょうど昼食時。道沿いのファミレス 風のレストランで食事。渡米以来食い物がどうにもファミレスだとか ファーストフードだとかくだらない食べ物ばかりになってしまっている のが情けないです。

 だって安いんだもの。

 で、その食事中に午後のルートの思案。海沿いの自転車道を行くと ハーフムーン・ベイにたどり着くようです。サンタ・クルズから北に行 くとサンノゼに着きます。距離はどちらも25マイル程度。どうすっ か・・・と悩んだ末、海沿いルート、ハーフムーン・ベイに向かうこと にしました。

 ところがこれが大失敗。再び海岸沿いに出た途端、猛烈な向かい風。 漕いでも漕いでもぜんぜん進みません。向かい風くらいなんだ、三浦半 島でも向かい風には我慢したぞ、たった25マイルくらいなんとかして やる〜と頑張ってみるのですが、これがなかなか進みません。いや、マ ジ進まない。下り坂でも漕がないと前に進まないのですから参ってしま います。逆にすれ違うロードレーサーはものすごい勢いでかっとんで行 きます。結局、7マイルほど進んだところで、断念。なんだか連日へた れ全開。もう正直、カリフォルニアには負けました、と素直に誤るほか ありませんです、こりゃ。どう考えても勝ち負けで言えば負け。いい訳 をすれば、体力的なもののほかに、ハーフムーン・ベイの宿が満室だっ た場合に代わりの宿を見つけるのに前後20マイルは動くことを強いら れてしまうため無理ができないというか強行策に出ることが非常にため らわれる状況ということもあります(うわ、きっつい言い訳)。要約す れば弱気の虫にとりつかれているということなのですが、現時点のちん たの体力及び旅のスキルではちょっとばかしバット大振りしすぎた感も あるカリフォルニア。

 サンタ・クルズに引き返すと(いや、この引き返すのの楽だったこ と)、海岸沿いに自転車道があることを発見。ここもまたランニング、 スケート、自転車と各種エクサスイズで賑わう自転車道です。サンタク ルズの海岸には、比較的新しいフィッシャーマンズワーフのようなもの とアミューズメント施設があったりするのですが、平日なこともあり人 出が少なく、若干怪しい雰囲気。CASINOと書かれた看板もあったので、 こんなところにカジノあるんだぁ?と思いつつひやかしてみると、何の ことはない日本のゲーセンによくあるコインゲームが数台あるだけでし た。何が悲しくてアメリカでコインゲームするねん。やはり翌日に備え てさっさと寝てしまうが吉のようです。

 サンタ・クルズではモーテルはあっさりと見つかりました。実はこの 町にはYHもあって13ドル程度で泊まれたのですが、オフィスが開く のがずいぶん遅いようだったのでパス。もう金銭感覚が大幅にバブリー になっているちんたさんにはもう怖いモノはありません。さくっと海沿 いのモーテル、44ドル也に投宿。
 夜になると海沿いというのはどこでもそうなのか、夜になるとモーテ ルの周囲が微妙にうるさい、というか明らかに集まってきているのが日 本で言うとヤンキー(アメリカではどういうんでしょ?)。なんか見か け以上に治安が悪そうな所だなぁと思いつつもモーテルの中はとりあえ ず安全。モーテルならば部屋の中に自転車も置いてしまっていますので 安心安心。
 サンフランシスコまでは残り80マイルほど。明日はどうすんべぇ なぁと地図を広げながら一人思案するちんた。外はまだまだ盛り上がっ ている様子。海辺の夜は更けていくのでした。

 本日の走行距離、66.56マイル(107.2km)でした。

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