オックスナード 〜 サンタ・バーバラ

(なんかこう書いても「どこやねんそれ?」みたいな所からスタートしてゴールしちゃってますね)

 日曜日。朝8時頃でも曇っていたせいもあり肌寒いです。まさかウィンドブレーカーを着用することになろうとは思いませんでした。なんとなく西海岸は温かそうなイメージがあって、できるだけ荷物を減らしたかったこともあって、長袖は薄手のウィンドブレーカー一着のみです。とにかく自転車がロードなこともあって荷物を減らしたい一心で荷物は極限まで削って来ました。
ジャージも靴下も替えはありません。毎日宿に入ったらお洗濯です。
 しかし太陽が出ないのは体力的にはありがたくもあります。噂に違わず西海岸の紫外線は強烈で、あっという間に日焼けもするし、元々運動不足気味の体力をあっという間に絞り取られてしまいます。

 さぁ二日目こそきりきりと走ろうかい・・・と、走り始めて最初の4マイルほどは順調に進んでいたのですが、気がつくといつの間にやらミスコース。そもそも行こうと思っていたルートに「自転車乗り入れ禁止」とか書いてあるからいけないのだ。どうもまだどの道を自転車が通って良くてどの道を通ってはいけないのかというのがいまいちつかめません。ハイウェイとフリーウェイはどう違うの?とか同じCA-1号線でも走っていい区間と走ってはいけない区間があるのはなぜ?という感じでさっぱりカンどころがつかめません。何が困るってルート決めの時に地図を見てもそこを通って走れるの?ということがさっぱりわからないこと。恐らく高速道路は走れないんだろうなぁということくらいの予想しか立ちません。
 それとアメリカの道路というか少なくともカリフォルニアの道路は方向や距離を示す標識が極めて少ないです。右へ行ったらどこどこに行って左ならどこ・・・とか、どこどこの町までは何マイルとか。まったく無いわけではないのですが少ない。おまけにそういった標識も「←なんちゃらストリート」みたいに通りの名前で書いてあったりします。そんなのわかんねっつの。

 さて、ミスコースのちんたさん、迂回するために6マイルほど費やして復帰です。走り始めて10マイルも行かないうちにすでに6、7人に道を尋ねてます。いいよねぇ、アメリカ人は優しいよ。道を聞けばたいていの人が親切に教えてくれる。人によってはやおら肩を組んで

 「(アメリカドラマの口調で)いいか、俺の言うことをよーく聞け。見えるだろ?あの信号の角を右に行くんだ・・・・」

 と超フレンドリーな人も。う〜んよくわからないけどアメリカ感満点。

 しかしミスコースで本日早くも意気消沈気味のちんた。もうはじめに目論んだ目的地にはこだわらないことにして大きな街に着いたらちゃちゃっと泊まっちゃおうと作戦変更(というか妥協)。楽に流れる方の変更は決定もすばやい。しかし、そうと決まると気楽なものでちんたらちんたらと風景を楽しみながら進む余裕も出てくる。やっぱり金とか距離とかこだわりを持ち始めるとその分、精神的な負担も増えることを実感。
 道はいつしか海岸沿いに出て、どうやらそこはPACIFIC BIKE ROUTEという自転車道になっているようです。自転車道といってもその多くは普通の一般道に広い路肩(2mmくらい)があったりするだけなんですけど。それでも快適快適、楽ちん楽ちん。左手にはずーっとどこまでも続く砂浜。連休の中日なこともあって日曜の朝早くからすでに海に出ている人多数います。海辺で泊まっているキャンピングカーの列もずらーっと途切れることがありません。ほんとにアメリカ人は背骨の入った遊び好きなんだな〜と痛感しました。自転車に乗っている人も多かったです。ただ、なんというか、アメリカ人は異様にエクササイズ好きのようで、リゾート地でも苦行僧のような顔をして走っていたり(逆にテレビ通販に出てくる人のように「ニカッ」と笑っているか)する人がやたらに多いです。何かのレースに備えた練習・・・という風にも見えないのですがポタリングにはもっと見えません。わざわざキャンピングカーで乗りつけてそんなことせんでも・・・と思うのですが、その苦行っぷりが快感なのでしょう。

 午前10時を過ぎる頃から日が出てきました。出たら出たで先ほどまでの肌寒さがウソのようにいきなり強烈な日差し。この辺オゾン層無いんちゃうかと思うくらいに日焼けする。もう半袖から出ている腕は真っ赤で炎症寸前。恐らくほっぺた(左側のみ)も炎症寸前なはずだ。
 お昼になる頃にはすっかり体力もなくなって、とりあえずお昼ご飯。たまたま通りかかった町の名前が「サマーランド」。なんか東京にもそんなところあったなぁ。適当に入ったサンドイッチハウスみたいな店には日本人客もいた。あれまぁ。ちんたはこんな町、今まで知識の片隅にも無かったのですが、どうやらサーフィンをやっている人にはそれなりに知られている?町のよう。
日本人サーファーの姿をよく見かけました。

 午後2時頃、まったく予備知識が無いままたどり着いたのはサンタ・バーバラ。どうもここはかなりのリゾート地のようです。やたらに人出が多くビーチ沿いとそれに連なる屋台、そしてお店の様相はさながら湘南海岸に浅草のほおずき市と軽井沢をまとめて直結したよう。
 これはやばい。

 もしやと思って尋ねてみれば、やはりリゾート地価格、宿代がめっちゃくちゃに高いです。軒並み100ドルオーバーです。ツーリストインフォメーションで「もっと安いのもっと安いの」と連発した結果、やっと見つかって77ドル。日本円にしてほぼ1万円なのですが、この価格でバストイレ共同ってどういうことよ。ベルリンのど真ん中だとこの設備で4000円。この1年で円が安くなったとはいえ、アメリカは旅のインフラが高い高い。

 疲れてさっさと自転車を降りちゃったちんたさん、とりあえずテクテクと観光。サンタ・バーバラの商店街にはかなり本格的な自転車屋もありました。海岸を走りまわってる人が多いのでそれなりに需要はあるのでしょう。ちょっと覗いた感じではおおむね日本のショップと変わらない感じですが、自転車の後ろに付けて荷物や子供を乗せて引っ張るトレーラーが多く展示されていたのはご当地ならでは。
 この日の走行距離は47マイル、約75kmでした。もう予定よりもずっと短い距離でばてている。ばてているというよりも宿の見込みが不透明過ぎて精神的なところから先にだめになっちゃってます。そして、さらに「明日は鉄道でショートカット」することに決定。ますますよわぞうの道を突き進むちんた。明日はアムトラックの車窓をお送りいたします。

ちゃらっちゃっちゃっちゃ
ちゃ〜らら〜♪(←世界の車窓から)

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