低速重量弾狙撃銃
written 2007/1/13
2006年に銃刀法が改正され、全てのエアガンは0.98J以下にしなければなりません。
当然、ボルトアクションライフルも例外ではありません。
今までボルトアクションライフルパワー優遇のチームも多く、スナイパーライフルだけ初速110m/s(約1.2J)や、120m/s(約1.44J)が可能な所も多かったと思います。
しかし、これからは0.98J以下にしなけりません。
弾重量のアドバンテージの理由
全ての銃のレギュが0.98J以下なのは当然な時代です。
ただ、弾重量はどうでしょうか?
0.25g以下ならボルトアクションライフルのアドバンテージは取れません。
ただし0.3g弾が使えるレギュレーションの場合、未だボルトアクションライフルで、電動銃より多少長い射程距離を取ることができます。
理由は、しっかりとしたセッティングがされていれば、「同じパワーで撃ちだされた弾は重い方が遠くまで飛ぶ」からです。たとえ弾が重い分初速が低くてもです。
ここでは0.3g弾を使用することを前提に説明しています。
初速90m/s以下で0.3gを撃ち出すセッティング
0.98Jの銃刀法ライン、初速でいうと98m/s以下なら安心です。
しかし、銃刀法という立派な法律に近いラインに設定するのはとても不安なため、あえて90m/s以下というラインを想定してみます。
手持ちの初速90m/s(0.2g弾使用時)以下の銃で0.3g弾を撃ちだしてみると以下の2つの問題にぶつかることがあります。
1.一つは弾速が非常に遅く、飛距離が伸びない。
2.弾速は出るのだがホップのかかりが弱く弾が遠くまで伸びない。
1のタイプであれば、早い話がエア容量不足です。
別コンテンツ「
命中精度を考える
」に詳しく書いていますが、重い弾を撃ち出すには軽い弾より大量のエアが必要です。
そのためには以下の事が必要です。
A.シリンダー容量を増やす
B.気密性をあげる
C.バレル内径を小さくする
D.大きめの弾を使う
E.バレルを短くする
F.ホップを弱くする
C、Dは、正直あまり推奨できません。
Aも大がかりな改造が必要な事が多くなります。
Fは可能ならそれで良いのですが、ローパワーで重量弾を撃ち出す場合、かなり強めにホップをかけなければならないため、現実的ではありません。
残りはBとE。 まずはBの気密をなるべく高くします。
今回のセッティング、弾がバレル内で加速している時間がかなり長いです。つまり、それにあわせて気密もかなり念入りに取らなければなりません。
Bの対策でも、まだパワーが出ない場合は、Eの対策をすることになります。すでにパワーがでていればEの対策は不要です。
バレルが短くなることでパワーが落ちすぎた場合、スプリングで補う事になります。
ショートバレルの例
2の場合について述べます。
ホップのかかりが弱いのは、かかりを強くするしかありません。
可変ホップ、固定ホップに関わらず、ホップをかけるゴムパーツやラバーチャンバーの上にテープを貼るなど、かさ上げすることでホップのかかりを強くできます。
一般的にホップのかかりが強くなるとシリンダーのエアが不足し、1の問題が起きます。(詳しくは「
命中精度を考える
」を参照)
ここまでの問題を全てクリアすれば、0.2gより低い初速ながら、0.2gとほぼ同じパワーの0.3g弾がゆっくりと、かなり遠距離まで飛んでいきます。
0.3gで弾速測定時に80m/s以下なら改正銃刀法にかかりません。
0.3g測定時、70m/s以下の場合、1の要因が疑われます。
電動には不向き
実は、このように「ローパワーで重量弾を撃ち出す」のは、電動銃には向かない事です。
電動銃は一般に気密性が低く、ローパワーで重量弾を撃ちだした場合、まだ弾が加速途中のままシリンダーのエアがカラになってしまいます。
さらに、このような「重量弾、低い弾速」「強いホップ」というのは、結果「弾がバレルから出るまでにかなりの時間がかかる」ことになります。
実はこの事は電動銃にとって致命的です。
かなりのローサイクルにしているならともかく、速めのサイクルの銃では、まだ弾がバレル内で加速を続けている時、ピストンがまだ前進しきっていない時に次のセクターギアの回転が回ってきます。
いわゆるピストンクラッシュが発生し、簡単に故障へと繋がってしまいます。
また、弾の発射後、自動でノズルが下がってしまうPSG1も、このチューニングは適しません。
VSRでは難しいかも
APS2系統は気密の高さもあり、比較的ローパワーで重量弾を撃ちだしやすい銃です。
対して現在ボルトアクションライフルの人気を二分するVSR系統は、APS系より気密性が低く、ローパワーで重量弾を撃ち出すには向きません。
もっとも気密性さえなんとかすればどうにかなるのですが・・・
APS2SVのノーマルホップが便利
今回のような強いホップをかける場合、「弾が浮き上がり過ぎるが問題」なAPS2SVのノーマルホップが案外使えます。
単純な構造でエア漏れを押さえやすいためです。
デメリット
このセッティング、デメリットも存在します。
かなりの低速の弾を撃ち出す事になるので、着弾まで異常に時間がかかることです。
特に動いてる敵を撃つ場合、かなり先読みした地点を撃つ必要があります。
なまじ射程が長めなため、遠くから撃ち、そのために弾の到達にはさらに長い時間が必要となり、簡単に避けられやすくなってしまいます。