使用弾重量に合わせた初速セッティング
0.2gの弾では初速が同じな2つの銃があったとしても、0.25gになると弾の飛び方が違う銃があります。
そのことについて、主に電動ガンとエアコッキングガンを例にして書いていきます。ガスガンについては今回は触れません。
このサイトでも他のサイトでも銃の紹介等ではジュール値計算が楽な0.2gでの初速を乗せることが多いですが、これはパワーの目安にしかなりません。
0.2gでの初速が一緒でも0.25gで適正ホップをかけたときのパワーが大きく異なることがあるためです。
このサイトの他のコンテンツでも触れていますが、弾の重量を変えたりホップのかかりを変えると必要なシリンダー容量は変化します。
●銃刀法にはパワー測定の弾重量もホップの強さも書かれていない
2006年の銃刀法改正で0.989jを超えるエアガンは違法になりましたが、ここでの測定において弾重量のホップの強さの記載はありません。
0.989Jを超えるパワーを有していれば違法です。
おそらくですが平均値でもないと考えられます。複数弾発射したうちの一発でも規定値を超えていればアウトと考えられます。
なので、どんな弾を使っても、どんなホップのかけ方をしても、何発撃っても規定のパワーを超えないようにしなければなりません。
例えば0.2gから0.25gになると初速が下がる銃で、普段は0.25gで使っているからといっても0.2gでパワーオーバーした場合は違法となります。
逆に重量弾になって超えてしまう場合でも違法なので、0.28g弾は0.3g以上の重量弾での危険性も伴います。
エア容量多めのセッティングをした場合、これには特に気を付けなければなりません。
バレル長による違い
マルイの電動M4A1で、スプリングをやや硬めの物にしてフルサイズシリンダーでの350mmバレルと250mmバレルの違い。
バレル長 | 0.2g適正ホップ | 0.25g適正ホップ |
350mm | 92m/s 0.8464j | 81m/s 0.8201j |
250mm | 84m/s 0.7056j | 78m/s 0.7605j |
弾を変えたときにホップも調整しなおしています。
パワー自体は350mmバレルのほうが出ていますが、0.2gから0.25gへのパワーの低下しています。
対して250mmショートバレルのほうは0.25gのほうがパワーが上がっています。
●KTW・イサカM37。ショートバレル
バレル長 | 0.2g | 0.25g | 0.28g |
ソウドオフノーマル | 97m/s | ? | ? |
ソウドオフのバレルをさらにカットしたもの | 84m/s 0.7056j | 80m/s 0.8j | 77m/s 0.83j |
0.2gで初速がかなり出ていたのでバレルをカットしました。
細めで長く大容量シリンダーを持つためか、重量弾になればなるほどパワーが高くなっています。
ただし固定ホップのため、ホップの強さは変化させないテストです。
ホップを強くすればするほど必要エア容量も多くなるため、可変ホップではまた変わってきます。
電動ガンのバランス
個人的に設定するシリンダー容量は以下のような感じ。ただし0.2gのほうに合わせることはまずなく、0.25gの適正ホップで最大パワーがでるようにしています。
●0.2g
350mm未満 | MP5シリンダー |
350mm〜500mm | 穴無しシリンダー |
●0.25g
300mm未満 | MP5シリンダー |
300mm〜450mm | 穴無しシリンダー |
450mm以上 | 不足 |
過去のマルイの電動ガンでは500mm以上のインナーバレルを使うものもありましたが、最近ではあまり見当たりません。
PSG1を除いたもので最長バレル長はSIG-SG550のたしか530mmバレルだと思いますが、これは0.25gの適正ホップだとエア不足を起こし、目に見えて弾速が遅かった印象があります。
M16A1(510mm)よりもAK47(450mm)のほうが弾道が良いと言われていた理由の一つに、このバレル長が関係しているのかもしれません。
またM4A1(360mm)などでもMP5用のシリンダーが使われていたこともあり、これも0.25g適正ホップだと初速が出ず、弱めホップでエア不足を起こしづらいようにして使ったようが実用的だった記憶があります。
シリンダーとピストンについて
●ピストン重量での変化
軽量なピストンと重量ピストンでの初速、パワーの変化です。
電動ガンで適当なピストンが無かったので、ボルトアクションライフルでのテスト結果となります。
ピストン種類 | 0.2g初速 | 0.25g初速 |
軽量プラピストン | 95m/s 0.9025j | 85m/s 0.9031j |
重量真鍮ピストン | 88m/s 0.7744j | 82m/s 0.8405j |
軽いプラピストンでは0.2g、0.25gでのパワー変化はほとんどなく、重いピストンでは0.25gのほうがパワーがでています。
ただ、弾の重量に関わらず、パワー自体は重いピストンのほうが落ちています。
重量ピストンはプラピストンの数倍も重量があるもので、撃った感覚はVSRのリアルショックバージョンに似たものになりました。
使用した二つのピストン。上の銀色のが重量真鍮ピストン。下がの黒いのが軽量プラピストン。
●シリンダー断面積での違い
おそらくですがシリンダーの断面積でも軽い弾と相性が良いか、重い弾と相性が良いかが異なってきます。
シリンダー容量が同じなら、断面積が小さく、ストロークの長いシリンダーの方が空気を押し込みやすくなり、重量弾向きと考えます。
逆に断面積が大きく、ストロークの短いシリンダーは軽量弾との相性が良さそうです。
VSRとAPS2だと前者がAPS2、後者がVSRとなります。
イサカM37やAPS2は細めでストロークの長いシリンダーを持つ銃ですが、どちらも軽量弾での初速を低めにセッティングしても、重量弾での初速の低下のすくない銃に感じます。
スプリングでのパワーの補うデメリット
バレル長やピストン重量でパワー効率を落としてでも重量弾との相性をよくすることは可能でした。
しかしパワー効率が落ちるため、その分をスプリングで補わないといけないことになります。
そこで2つの問題が出てきます。
・さらに重量弾を使った場合での規制値超え
・耐久性の低下
●さらに重量弾を使った場合での規制値超え
0.2gより0.25gで高いパワーを出すことは可能ですが、その場合0.28gや、さらに重量級の弾を使った場合での規制値オーバーになりかねません。
強いスプリングを使うということは、条件が整ったときには高いパワーを出してしまう危険性が伴い、重量弾では0.989jオーバーが考えられます。
もし警察沙汰になった場合は自分の使っている環境や使用条件では規制値以下だったという事は意味がないので、刑事罰の対象になるリスクがあります。
●耐久性の低下
電動ガンなんかの場合はスプリングを強くすると目に見えて耐久性が落ちます。
ギアのすり減り(セクターギアが顕著)、スプリングを強くした分をバッテリーで補う場合でのスイッチの痛み等。
カスタムパーツを売る側にとっては、銃を消耗品にしてもらったり、耐久性を補うパーツが必須となったほうが都合が良いわけですが。
マルイのノーマル電動ガンのバランスはなかなか優秀で、弾詰まりさえ起きなければメカボックス内はそうそうダメになりません。
スプリングも優秀で、長期間の使用でもほとんどへたらないようです。
経験上ですが、マルイ電動ガンにおける初速の低下はシリンダー内のグリス塗り直しと、気密のチェックをして防止すれば、スプリングを新品に交換しなくてもほぼ新品同様に戻ります。
初速の測定方法
チューニングなどで初速を測定する場合、0.2gの弾で一度測定してその銃のパワー性能を判断するのは目安にしかなりません。
0.2gで測定しても、いざフィールドで0.25gを使用した場合、思ったより弾が飛ばない(とくにホップを強めにした場合)は、十分あり得ることです。
理想を言えば以下のものをすべて測定したほうが、その銃の性能を詳細に知ることが可能です。
・0.2g適正ホップで0.2g弾使用時の初速
・0.25g適正ホップで0.25g弾使用時の初速
・0.28g適正ホップで0.28g弾使用時の初速
さらにノンホップの場合や0.3g以上の弾の場合の初速も知っておくとさらに情報が増えます。
初速安定性を図るためには、各状態で何発か測定する必要があるため、初速測定には手間がかかります。
私の個人的なやりかたの場合、一つの銃につき、上記の3種類を含む9種類の測定データを取ります。
それにより、その銃の弾との相性や、エア容量が不足していないか、逆に余分になりパワーを無駄にしていないかを知るようにしています。
VSR10とAPS2の参考値
VSRを2つ、APS2を1つでテストしてみました。
どれもホップは0.25gに合わせた状態。
・VSR10通常バレル長
マルイ純正新型チャンバー組み込み。バレル長はプロスナイパー標準。
スプリングはノーマルを多少カット。
ピストンのエアブレーキ棒カット。
ぴたりんぐ組み込み。
・VSR10ショート
プロスナイパーをベースにバレル長をGスペック程度に短くしたもの。
スプリングは社外品でプロスナイパーのノーマルよりわずかに強い物。
ピストンのエアブレーキ棒カット。
ぴたりんぐ組み込み。
・APS2SV
くらげ赤。
スプリングはノーマルを多少カット。
銃 | マルイ 0.2g | マルイ0.25g バイオ | G&G 0.28gバイオ | マルゼン 0.3g |
VSR10通常バレル長 | 94.1m/s 0.8854j | 84.6m/s 0.8946j | 75.6m/s 0.8001j | 74.2m/s 0.8258j |
VSR10ショートバレル | 90.6m/s 0.8208j | 83.0m/s 0.8611j | 77.8m/s 0.8473j | 76.9m/s 0.8870j |
APS2SV | 94.8m/s 0.8987j | 86.4m/s 0.9331j | 80.9m/s 0.9162j | 78.9m/s 0.9337j |
マルゼン0.3gの弾は購入してから20年近く立つので、今となっては精度の悪い弾に感じます。弾速も参考程度に。
VSR10の通常バレル長とAPS2は、「2016年度版、VSR10、APS2命中精度比較」で使用したものです。
VSR10通常バレル長は0.25g弾以下ではなかなかの弾速ですが、0.28gで一気にダウンしています。
バレルを短くしたVSR10は0.2gでは低めの数値ですが、重量弾になると通常バレル長のVSRより弾速の低下が少なくなっています。
APS2はVSRの通常バレル長に比べるとやはり重量弾との相性が良い感じです。
APS2SVのノーマルのバレル長ですが、重めの弾でもエア不足にならず、高いジュール値をキープしています。