6 5

6月に入り5日も過ぎてしまえばもうすぐ梅雨らしい。

明日から梅雨ですよと実家の仏壇の前で住職が言う。
住職は先代の跡を継いで何年過ぎたんだろう?
その先代は僕と同年だったので今の住職は僕の息子の年齢に近い。
彼の寺は実家から近く父の葬儀はそこで営んだ。
15年前のことで、それ以来、寺の本堂での葬儀はないですよと若い住職が言う。
つまりは父の葬儀がその寺での最後の葬儀になったらしい。
住職が帰った後で、そんなどうでもいいことが頭に浮かんだ。

先月、住職が来た時は、歩くのも億劫なほどに足が痛かった。
大腿部の痛みが引かなかった頃でまだ鎮痛剤を飲んでいた。
それも治ってしまえば、痛みも随分と懐かしいもんだなと訳が分からない感想も出る。
3月に発症した激痛は3か月を覚悟して3か月が過ぎてしまうと本当に治ってしまった。
腰痛はどんな激痛であれひと月で半減するものでふたつき過ぎればさらに半減しみつきでほぼなくなるものらしい。
これは自然治癒の力で、まだ、そんな力が身体にあるかと妙な自信を持てた。
若くはないけど老いている訳でもない不思議な年齢にいるんだなと実感する。