5 27

高校時代からの友人であり続けるKが来た。
突然ではなく3週間前からの予告で、彼は自転車で来た。
高校以来とは妻とも顔見知りになる。

どうでも良さそうな話ばかりして彼は帰ってしまい、
それから、僕は母親のいるホームへ行き、眠り続ける母の髪を触り続けて帰宅した。
帰宅すると随分と眠むい。
眠いなら寝てしまえばいいと本当に寝てしまう。
1時間ほど寝て工房で煙草をふかしていると近所のSさんが来た。
ベルトに穴を開けて欲しいと言うSさんの希望を叶えてから2時間近くをおしゃべりに費やす。
考えてみれば、Sさんぐらいが地域で気を許せる唯一の人で、2年ぶりぐらいのおしゃべりになった。
彼は僕に会いたかったらしく、そんなことを言う。

夕方、Mとメールのやりとりをした。
時々、そんなことをして僕は過ごす。
他愛のない会話が続き、他愛のないはずのメールが最後にはいつも意味深になる。
意味深とは考え込むということでもある。
これは、他愛のない話です。


5 26

昨日、ここで年配の生徒さんが作業をしていた。
初めて作業をする生徒さんで工房には年配の女性の生徒さんもいた。
そこへひとりの男性が来て、ここの教室に通いたいと言って、それから見学いいですかと聞いた。

3人ははじめて会った。
それでも3人の間に会話が成立してしまい、和やかな空気が流れた。
これはいつも不思議に感じることだ。

3人が帰ったあとで知らない人から電話が入り、僕の教室に通いたいと言う。
いいよと言い、それが今日だった。

昨日見学に来た男性が来て作業をし、彼が帰り、電話の相手が予定より少し遅れて来た。
随分と若い男性で28歳と言う。
どこから来たの?と聞けば中津川からと言う。
中津川?と聞き返し、そういえば先日は岩村からMさんが来ていたな。と思い出した。
どちらもかなり遠方になる。

昨日と今日で新しい男性の生徒さんが3人作業を開始した。

28歳の生徒さんを眺めていたら、突然に28歳の自分を思い出した。
28歳の僕は自分の工房を構えて1年が過ぎた時間にいて、目の前にいる青年のような幼さがあった。
ちょっと信じられないなと感嘆さえしたものだった。
僕は27歳で工房を構えた。
彼を眺めて、それを客観的に想像することが出来、
出来てしまえば、ある種の感慨を抱いても仕方がない。


あれから時間だけは流れた。

5 22

NHKにいると時間が経つのを忘れてしまう。
昨夜、ふっと時計を見れば針は8時29分を指していた。
NHKでは8時半が終了時間になっている。
これには、相当慌てた。

先週、生徒は僕の言うことをあまり聞かないな。という話を当の生徒としていた。
無論、誰が聞かないということではなく、殆どの生徒は僕の言うことを聞かない。
ヘェーと思うかも知れないけれど、これは本当の話で、つまりは不思議な話になる。

ただと思うけど、正直なところ、ここではあんまり不思議ではないかも知れない。
サイトには書いているけれど、ここはクラフトが出来るようになればいいところで、それ以外の目的がない。
クラフトというものには、これが正解だという作業というものはないので、生徒は自分の思うとおりにすればいい。
自由に作業して、それで完成すればいいのだから。
あくまで完成して完成度が高ければそれでいいのだから。

そう思う一方で、でも、たいていの場合、完成度は低いよな。とも思う。
だから、アドバイスぐらい聞けばいいのにな。とも思う。

コーチするに何が難しいかを書けば、作るという作業は失敗することで上手くなるので、
僕のアドバイスを聞かないで失敗するのは、案外、上達の近道かも知れないということが書けてしまうということだ。

そういう訳で、僕の言うことを聞かないからと言って怒るということが僕にはない。
どんな方法であれ、クラフトが出来りゃいいんだから。

5 21

金環日食を見ていた。
朝、6時半から8時ぐらいまで騒いで、それから寝た。

クラフトに限らないのだけど、結局は覚えることだろうな。
覚えるとは積極的な姿勢のことで、そういう意志がないと駄目だな。
積極的とは思考することで、思考は文字どおりに試行することでもある。
試行は一度で終わらないという性格のものなので、覚えることには割と時間がかかる。
これが理解出来てないと、覚えることは無理になる。


今日、革やにいて、欲しいものがなにもなかった。
欲しいカシメはなく、欲しいワックスすらなかった。
欲しい革は永続的にない。
こうなると、この店舗は店舗の意味がないんじゃないかと考えてしまう。
店舗と書いて、店舗の仕事は売ることだとここの主が言っていたことを思い出した。
売るものを置かなくて、どうやって売ることが仕事になるかが未だに僕には分らないけれど、主にはそれが方法だったのだろう。
店舗は売るのが仕事で、どうやってお客を呼ぶかを彼は彼なりに考えていたらしい。

僕は店舗を経営している訳ではない。
当然ながらどうやって売るかを考えなくていい。
けれど、ものを作るのが仕事なので、作る作業だけはする。
作業とは先に書いたように試行するということだ。
だから、作業の時間は長い。
オーダーの仕事とは、殆どの時間が試行に使われる。
腕が動いて作業が始まるとは、実は、仕事は終わっているということでもある。

まあ、仕事の分野を理解するのは難しいものらしく、売る人間には作る人間の理解が出来ず、
作る人間には売る人間の理解が出来ない。
時々、それを同時にしようとする人がいるけれど、それは神業というもので、神業である以上、人はしなくていい。

5 20

昨日、ある事情からある番組をある人と眺めていた。
番組名は「ぐっさんち」といい、僕が出た3年前の番組でその収録ビデオのことだ。
3年ぶりに見た。

モニターに映る30分間の自分の姿を眺めるのは本当に恥ずかしい。
いい加減にビデオを消して欲しいと言うけれど、ある人には却下されて最後まで観てしまう。
これ、本当に放映されていたんだなと不思議な気分になった。

あれ、すごいね。とそのある人は褒めてくれた。
あれとは、僕ではなく僕の制作したトランクのことだ。
そのトランク制作から3年が過ぎてしまった。

大型の創作鞄を作るのはアスリートが試合をするようなものだと思っている。
体力とか知恵とか経験よりも気合が必要になる。
現在、僕は作れるのだろうかと疑問形になってしまうのは仕方がないかも知れない。
僕の気合は、今、とても小さなものになっている。


今日は日曜日で、N君が作業をしていてOさんだ。と突然に言う。
ドアを見れば、本当にO君がいた。
そうなるとY君も来るね?と聞けば、そうです。とO君が答える。
O君とY君はよほど仲がいいらしくいつもペアで行動をしている。
しばらくして衝撃的な変身をしたY君がマックの袋を抱いてドアを開けた。
それから、みんなでいろいろとおしゃべりをした。
そんなことをしているとみきちゃんが来て、ナゴノスペースにいたタルが来た。

つまりは、工房は生徒に占領されて、僕は外で煙草をふかしていた。

7時に近くなると、O君はY君と食事に行くからと椅子から立ち上がりN君に一緒に行かないかと誘った。
N君にはやめとけと言おうとしたんだけれど、N君はあっさり頷き3人一緒に出かけてしまった。

そういえば、O君はシュークリームを持参して来た。
濃いクリームが詰まって、とても旨かった。

5 19

今日、タルがナゴノスペースで体験教室を開催している。
明日もその予定でいる。

ナゴノスペースではじめたワークショップも1年と半分が過ぎた。
試行錯誤の時間は終わったけれど、予定のとおりに動いているかは当事者ではないので、僕には分らない。
このナゴノスペースでのワークショップも7月から1人が参入する予定なので、少し慌ただしくなる。

その参入する予定の人が来ていた。
開始まで残り時間はふたつきがない。

5 15

突然にMが来た。

先に来たのは2月だったので、3ヶ月ぶりに会ったことになる。
3月、4月と慌ただしく動いていたMは、今も慌ただしそうで、でも、幸福な顔をしていた。
Mには言わなかったけれど、本当に幸福感に包まれた顔をしていた。
久しぶりにMのそんな顔を見た。
久しぶりではなく、初めてかも知れない。

僕は、それぞれの生徒とそれぞれの付き合いをしている。
それぞれとは生徒の一人ひとりと違った付き合い方をしているということだ。
そうなら、Mとはどんな付き合いをしていたんだろうなとMが帰ったあとで考え込んだ。
いたと書いたけど、付き合いが終わる訳ではなく、付き合いの仕方が変わる訳でもないのは分っている。
そういうことは分るんだけど、考え込んだ。

5 14

起きたら昼を過ぎていた。
随分と静かで我が家には誰もいなかった。
起きて携帯を眺めると4本の着信とひとつの留守電、それにひとつのメールが入っていた。

月曜日は休日でメールを書いてしまうとすることがない。
意地でも仕事はしないと決めている。
何をしようかと迷ったけれど、することはなく、珍しくTシャツの上にジャケットを羽織って散歩に出かけた。
このジャケットは妻が春用に買ってくれたジャケットで、初めて袖を通したけれど今日の気温には合ってない気がした。

駅前をぶらついた。
我が家から駅前は散歩コースでもあるのだけど、駅前となると「一心」か「東急ハンズ」が「ミッドランド」ぐらいしか行かないので、
未知には違いがなく、キョロキョロして歩いた。
それに飽きてしまうと、映画を観ようかと考えて時計を見た。
けれど、映画を観る時間はなさそうで、最近出来た家電量販店に入った。
月曜日の量販店は客よりは店員が多かった。

昔、新しい家電を見るのが好きだったけれど、今は興味が湧かず、僅かな時間を過ごして店を出た。
欲しいものがないとそうなる。

帰宅して家族4人で夕食を食べた。


昨日、3人の生徒が来て作業をしていた。
そこへY君が来て、ずっと遊んでいた。
はじめて会う人でも同じ作業をしていると即座に友人関係が出来てしまうものらしい。
Y君は仕事が決まったと言う。

ここにはYというイニシャルの生徒が多いので、少し紛らわしい。
1時に来たY君はしばらく来れないので今日の内に作業を終了したいと言いながら作業をしている。
2時に来たN君も黙々と作業をしている。
3時に来たN野さんは、大型の鞄に挑戦している。
古株のY君はそんな3人の作業を眺めては、おしゃべりを続けている。
僕は自分の作業をしたり、講習をしたりしている。
そうやっていると時間は過ぎて夜に近くなる。
Y君が帰り、それから残りの3人が同時に帰ってしまい、僕は夕食を食べ、NHKの大河ドラマを観る。

たいていの日曜日はこんなふうに過ぎている。
顔ぶれに違いがあるくらいで、至って平穏に過ぎている。


「平清盛」というドラマを観ている。
興味深々という感じで見ている。
視聴率がとれないとよく言われるけれど、平安時代を描いて視聴率が取れるとは思わないでいい。
ドラマはいよいよ「保元の乱」に入る。
「保元の乱」を描いて視聴率が取れると思わないでいい。

5 10

先日、教室に予約をした人の名前を聞いて分らず、来たら分るだろと考えていて、
今日、予約どおりに来たのだけど、分らなかった。
特徴のある人なのに、しばらくこの人は誰なんだろうと失礼と書けば本当に失礼なのだけど、
思い浮かばず、しばらくして突然に回路が通じたという感じで思い出した。
そういう回路は本当にあるかも知れない。

先日、NHKで突然にAさんの体験教室に行ったことがありますよ。とある生徒さんが言う。
実は、その生徒さんをAは知らなかった。
Aでも思い出せない場合がある。

そういえば、年に何度かのイベントで体験教室を開催するのだけど、そこに来た生徒さんがここに来ても、
さすがに思い出せない。
そういうことはよくあって、昔、ここで作ってもらったことがありますよ。と言われても思い出せないことは何度もある。
記憶というものには変な癖があり、記憶していた方がいいことは記憶せず、無駄なことばかりを記憶している。


5 7

連休中は仕事をしていたけれど連休気分だった。
僕の工房は月曜日が定休日だけど、お客さんはそれを知らないらしく、
電話があったりお客さんが来たりした。
僕は2日間書いてなかったメールを書いたりしていた。


先に未婚率のことを書いたけど、付け加えて書くと、
生涯未婚率はその上昇を止める気配はないけれど、
実は、25歳から30歳、30歳から35歳までの未婚率はこの5年間に限れば微増というべきで上昇という訳ではない。
これは将来に反映されるはずだから、将来は生涯未婚率も上昇を止めるかも知れない。

生涯未婚率とは簡単に書けば50歳の人の未婚率のことで、現在の若い世代のそれではない。
時々、数字のマジックがあるのではないかと思うのだけど、この50歳の人の事情と若い人の未婚の事情は違うはずで、
生涯未婚率の理由がそのまま現在の若い世代の未婚の理由となる訳ではない。
逆も成り立つので、現在の若い世代の未婚の訳が現在の50歳の未婚の訳ではない。
なんで、昭和36年産まれの世代は結婚をしないんだろう?

5 5

Rが作業をしているとNから電話が入り、今日、やってます?と聞く。
やっているよと返事をすると、10分後にアイスクリームを持参してここに来た。
お土産のアイスクリームを食べていると、Y君が来た。
Y君が作業をはじめるとN君が来た。

Nは油を売りに来たのでのんきにしている。
RとY君とN君は僕とNのおしゃべりを聞きながら作業をしている。
今日はここに4人の男性と1人の女性がいた。

Y君はここが2度目でNと初めて会う。
Nは時々覆面を被ってプロレスラーをしているよと言うと、マジで本気にする。
そんな筈はないんだけど、知ってる筈のN君とRもマジで本当ですか?と聞く。
相変わらず、Nはそれが冗談にならない体格をしている。
今日もジムの帰りに寄ったのだけど、筋肉の付き方が以前に増した気がする。
薄着のせいかも知れないし、実際にそうかも知れない。

日差しは暑いくらいだった。
天気は良く、明日で連休も終わる。
僕は連休ではないけれど、大型連休の気分はあるので、生徒の講習ばかりしている。
自分の作業をするよりは人の作業を眺めている方がはるかに楽しい。

5 2

2010年度の生涯未婚率が報道された。
現在、男性20%、女性10%がその数字で、
50歳で生涯に結婚したことがない男性が5人に1人、女性で10人に1人という。
日本はいよいよ凄まじい社会に入ったなと思う。

5年前の生涯未婚率は男性が16%ほどだったので、この5年間は毎年1%弱の増加と考えると、
5年後には男性24%ぐらいが生涯未婚率になると予測される。
10年後には28%が予想だけど、推移をグラフで見れば予測は正しい気がする。
未婚率上昇の限界は分らないけれど、ひとまずそれを予測とすると、10数年後の日本男性の3人に1人ぐらいは
生涯未婚でいる。というのは可能性としてあることになる。
現在30代後半男性の未婚率は35%ぐらいだけど、この世代の男性が50歳に到達する頃の生涯未婚率が30%であれば、
この年代の未婚男性はたいていは未婚のままであるという予測も成り立つ。
この予測は、なんとも凄まじい予測で、現実になる可能性が高いのが怖い。


現在、30代後半の男性の未婚者35人の内5人ほどは結婚するけれど、残り30人ぐらいは生涯を結婚をしない。

時々、未婚率を考えて暗然とするけれど、
実は、結婚の意味も時代と同じに変化をしているであまり暗然とする必要もないかなとも思う。
非婚という人生を選択する人がいることに暗然とする必要もないかなとも思う。
ただ、未婚とは母親になること、父親になることの放棄みたいな気がしないでもないので、
それは、どこか淋しい。
個人的なことを書けば、生涯で一番楽しかった時代は新婚の頃で、生涯で一番感動した記憶は子供が生まれた時だった。


5 1

風邪をひいている。

Rも同じように風邪をひいていて病院からの処方薬を飲んでいた。
僕と症状は同じで、いつも風邪は何日で治るんだ?と聞いたら3日とRは答える。
3日かあと感心する。
風邪をひけば、僕はだらだらと3週間ばかり風邪の症状の中にいる。
Rの病院からの薬は5日分だと言い、その1日分をくれた。
1日分だと試薬みたいなものだなとその薬を飲んだ。
僕は病院へ行かないで市販薬ばかり飲んでいる。


Rと同じ時間を同じ風邪の症状で過ごして、その1日を同じ薬を飲んでいる。
これは、なんだかおかしい。


先の日曜日に男性の生徒がいた。
前日に電話がありメールがあり、それからここで作業をした。
レザークラフトを独学でしていたみたいで、3点ばかり作品を持参してきた。
それを眺め、上手いなと感心した。
何点ぐらい作ったの?と聞けば数十点ぐらいかなと言う。
数十点の作業の結果が出ているそれは工芸品の部類に入るのだろう。

彼のような生徒は初めてかも知れない。
雑な作業をしていないと伝える作品を持参した人は初めてかも知れない。

革は東京の某革やさんで購入しているしく、その名前を聞いて、あー、そこなら僕の生徒も買うところだよ。
そこはサドルレザーに特化している感じのする業者さんだった。

普通、サドルレザーに染色はしない。
たいていは染色してある革になるので染色の必要がない。
だから、当然ながら、彼は染色をしたことがない。
カービングをしたことがないし、スタンピングをしたことがない。

作るものがカービングをスタンピングを染色を必要しなくとも、その技術はあった方がいい。
この場合の技術は経験と同意語で、そうである以上、それはあった方がいい。
すると、さらに良くなる。

そんなことを思って、彼の作業を眺めた。


そういえば、デジカメが届いてからそのデジカメで遊んでいた。
画像がいいかどうかは分らないけれど、動画はすごいと思う。
動画の撮影時に15倍の光学ズームが動いて瞬時にピントが合い、動画撮影時に静止画が撮影できて、
さらにハイビジョン撮影が出来てしまう。

現在のデジカメは、それが標準らしいってことには、さすがに驚く。

けれど、決定的なことに気が付いた。
このハイビジョン動画は、僕のパソコンでは見れないことに気が付いた。
9年前のパソコンの低スペックではハイビジョン動画の再生は無理だった。
けれど、この無理をなんとかしようと悪戦苦闘していたら、実は、ストレスなしの再生が出来た。
これが昨日のことで、メモリが256でもストレスなしにハイビジョン動画が見れたということに驚いた。
画質は少し落ちるらしいけれど、パソコン画面では文句を言ってはいけない。