2 26

半月前に同じ内容のメールがふたりの生徒から届いた。
クラフトの基本を教えて欲しいという内容で、僕はふたりに返信をしなかった。

僕が基本を知らないからだ。

先にクラフトの基本とはそういうものだという抽象的な書き方しか出来ず、
つまりは、とても難しいものだと書いたけど、クラフト歴35年での感想がそうだということだ。

作るという作業の結果である作品の完成度というものには、際限がない。
最近、つくづくそう思う。
そうなので、努力しかないんだろうな・・・・・・・・・・。

35年間をクラフトで過ごし、3万点を制作したよと言ってみたところで、そんなものだ。


今週は生徒が多かった。
多いので僕はメールを書くのを怠り、返信を遅れさせたり深夜に書いたりしていた。
まずいな。


2 22

いくつかのブログが僕のブックマークに置いてある。
すべては僕の生徒のブログで、毎日読むのがあれば、数日に一度読むのがあれば、
ブックマークから削除しようと思うのもある。

りょうはブログではなくミクシーにつぶやきをよく書いている。
読んで笑い転げることがある。

バレンタインにチョコをプレゼントした男性から、チョコのお返しにとディナーに誘われたそうだ。
で、りょうが呟く。
ディナーじゃなくて、物で下さい。

男というものは・・・・・・・・・
女というものは・・・・・・・・・


2 20

今日、想像以上でした。さすがですね。と書かれたメールを読んでいた。
想像以上と書かれたメールはよく読むけれど、さすがですね。と書かれたメールはあんまり読まない。
これは、かなりの励みになる。

先日、現品販売のNOが300を超えたのに気が付いた。
現品を2年間で300個近く購入してくれた数のお客さんがいる。

素直に嬉しい。

サイトに現品を少しづつ置いて、まあ、現品をあんまり作る訳ではないので、少しづつしか置けないのだけど、
ほぼ完売している。
爆発的に売れるのではなく、月に10個ばかりがコンスタントに売れているのが嬉しい。
そして、励みになるメールが届く。

先に、僕は牛のヌメ革を素材にしていると書いたけど、正しくは牛のヌメの素上げを素材にしている。
素上げであるので、自由に革を変化させることが出来る。
それは自在な革になるということだ。
だから、完全オーダー制作が可能になる。
他のお店に置いてある品を制作する気が僕にはないので、そうしている。

革はひとまず触れてみて、作業を入れて自在な革にして、それを素材に制作する。

時々、クラフトの基本は何だろうと考えるけど、多分、そういうことだ。
僕の工房ではそういうことだ。

基本とは、とても難しいものだ。

2 19

昨日は何人かの古い生徒とひとりの新しい生徒がいた。
夜8時までいた。
同窓会みたいなものだった。

今日はMがいてN野さんがいた。
黙々と作業を続けていたらY君が来た。
そのY君を連れてナゴノスペースへ行き、タルの後片付けを手伝い、
ナゴノスペースにある「シューズボナンザ」のU君と少し会話をした。

夕方になるとMが帰り、それからY君が帰り、残ったN野さんと話し込んだ。
いろいろと話をしてN野さんは車で帰り、僕は夕食を食べた。

考えてみれば、N野さんと出会ってから、僕はN野さんとよく話し込んでいる。

多分だけど、僕の価値観とN野さんのそれは同じ位置にあるような気がしている。

2 18

Aぐらいだよ。オレの言うことをちゃんと聞いて付いて来るのは。

工房から車までの短い距離を歩きながら、このぐらいかな?ってAが聞いた。
振り向けば3メートルほど後左側にAがいて少し笑っている。

可愛過ぎだろ。

今はもうそんな距離じゃないだろうな。
もっと近くにいて、腕を伸ばせば僕の腕がありそうなそんな距離じゃないかと思うよ。

2 16

MさんがG市という遠方から来た。
半年ぶりになり、到着するなり、はい。と言って小箱を渡してくれた。
割れせんべいだなと見当を付けて開けてみたら、箱いっぱいにチョコムースが入っていた。
へーと驚いてしまった。
Mさんはお菓子を作るのが好きそうで、実際に何度か作ったお菓子をお土産に持って来てくれたりしていた。
バレンタインだからね。

そういえば、以前、Y君がMさんのお菓子をうまいうまいと言ってむしゃむしゃ食べていたのを思い出した。
今日は、ここに来ていた生徒さんたちが一緒に食べた。
かなりの数があったので、数日は食べて過ごせる。

夕方になるとMが来た。
Mはチョコを届けに帰り道に寄ったと言う。
Mからのバレンタインチョコを眺めて、本命チョコだなと言えばそうだよと言う。
風邪をひいているMは顔の半分以上がマスクで隠れているけど、かわいいなと思う。

Mは可愛いんだよ。

チョコはMのブログに貼り付けてあったチョコで、かなり豪華で、こんな時にしか食べられないと思うけど、
やっぱりむしゃむしゃと食べる訳にはいかないし、誰かと一緒に食べる気にはならない。
食べてなくなれば勿体ない気もする。

しばらくは飾ることにするよ。

2 15

NHKへ向おうとして外が明るいのに随分と驚いたものだった。
3週間前の同じ時間は暗闇だった。

NHKでは時間の経つのを忘れてしまう。
昨日も時計の針が8時25分を指しているのに慌ててしまう。
8時半には講習を終えてないといけないからだ。
それから急いで後片付けをして車に荷物を入れて駐車場を出る。
昨夜の駐車場の使用時間は2時間29分で1,500円の駐車料金と表示が出る。
1分遅れたら300円がプラスになる。
この1分には助手席にいたAと一緒に笑ってしまう。
ぎりぎりだったな。
もっとも駐車料金はNHKが負担してくれるので痛い訳ではない。

2日前にも「しゃしゃんぼ」にいたけれど、昨夜もAとふたりで「しゃしゃんぼ」にいた。
女将さんが先日はありがとうございましたとニコニコしている。

Aとふたりで座った席の隣にはお雛様が淡い照明に映えていた。
何体あるんだ?とAに聞けばAは15体だよと答える。
数えたらしい。
もう、そんな季節になっている。

来月になるとAがひとつ歳を重ねる。
19だったよ。とAは言い、それからもう6年かとふたりで唖然とする。
6年となると短い時間ではない。

2 13

昨日は西生涯学習センターでのレザークラフトの講習会だった。
定員30名に応募は150名があり、抽選で選ばれたその30人が来た。
講習会は午前の部と午後の部があったので、殆ど一日を生涯学習センターに詰めていたことになる。
駐車場は確保してあったけど、駐車するに非常に難しい場所でM君の誘導で5分ばかりかかってしまった。
運転慣れてませんね。とM君に言われたけど、この数年はひと月に1時間ばかりが運転時間になっているので仕方ない。

クラフトとは手芸のことを言う。
手芸とは手作業のことで道具を使う。
そうなると道具の使い方を教える必要もあるけれど、それは無視して道具で遊ぶことにさせる。
すると、クラフトは遊びで出来て作品も面白いものになる。
だから、みんな楽しんでくれる。

僕が講習会とかイベントに生徒を連れてゆくのはこの講習を生徒に任せるからだ。
任せてしまえば、生徒にも勉強になる。
昨日の僕の生徒は6人で、すべて女性になった。
そういえば参加者も殆どが女性で、女性は手芸が好きなのだと実感する。
女性が集まれば、熱気はすごいものになる。

西生涯学習センターは浄心にある。
僕は西区に住んでいるけれど浄心は久しぶりだった。
行かないので浄心の交差点に佇むなどということもしない。
だから、どんなお店があるかも知らなかった。
「すき家」があった。

信じられけれど、牛丼を食べにお店に入ったのは10年ばかりない。
10年ではすまないとも思うけど、そこに生徒5人と一緒に入り牛丼の特盛を頼んだ。
僕の生徒はみな女性なので、そういうものは誰も頼まない。
明るい日差しのお店の中で、そんな食事をした。
日曜日の昼の話で、それから午後の講習をした。


午後の講習も午前の講習と同じでいい感じに終了して午後4時になり、お疲れ様と言って生涯学習センターを出た。
僕の車には生徒が5人乗り混んで都合6人同乗での帰宅になる。
自宅で少し休んで「しゃしゃんぼ」で打ち上げをした。
打ち上げが済むと急激に疲労感が出た。
昨日は完全徹夜だったので無理もないなと寝てしまい、深夜に起きてメールソフトを起動する。
時間の掛かる起動が終わり10通ほどのメールを書いてシャワーを浴びた。


今日は休んで、明日、NHKでの講習に行く。

2 9

1時に来る予定の生徒からキャンセルが入り、ひとりでいるとY君が来る。
突然に一年半ぶりに会う彼から暗い知らせを聞いて暗い気分になる。
この時、誰もいなくて良かったとつくづく思う。

夕方、別のY君がひと月ぶりに来て、明るい知らせを報告する。
当然ながらY君は別のY君とは知り合いで、その突然の再会に驚いて、これは縁だななどと言う。
それはそうかも知れないと思う。

偶然がよく起こるこの工房で、今日、僕はふたつの知らせを聞いたことになる。
知らせには余りに明暗がありすぎるけど、そうしたものが人生らしい。

ふたりは午後7時を過ぎてここを出た。
この時、外気の寒さに少し震え、明日からも寒い日が続くんだろうなと考えた。


2 8

気になっていたオーダーが作業終了してホッとした。

先日、お客さんが鞄をオーダーしにここに来た。
お客さんはここを下見に来ていろいろ聞いて、それから鞄の色とか大きさを考えて、最後の打ち合わせに再度訪問してくれたってことになる。

昨日、8年ほど前にある品をオーダーをしたお客さんが来て、その同じ品を20個ほどオーダーして帰った。
8年使用しても全然壊れませんね。とお客は言い、20個となるとそう言うお客さんは業者さんになり、
それはオーダーで作るしかなさそうものだった。

鞄と20個のある品は同じ見積もりになった。
価格が同じなので仕事量も同じになると予想していた方がいい。

今日、ある年配の女性が来た。
ポシェットを持ってこれないかな?と聞く。
ないよ。と答えてそれは注文制作するしかないですよ。と僕は答えた。
昔と違ってここは展示販売ではなくオーダー制作の工房に変わってしまったからだ。
年配の女性はこのポシェットがどれだけいいかと力説した。
実はそのポシェットは20年以上前に僕が制作した品で、20年以上を毎日愛用したらしく、
そうなると、さすがにくたびれる。
くたびれて、ここはまだあるかと心配してここに来た。と言った。

心配されても、大丈夫なんだけどね。

それから、注文することになり、打ち合わせをした。

気になる仕事が終わり、気になる仕事を抱える。


話を変える。

先日、ここにブログ再開の話を書いたけど、このブログの訪問者が本当にいない。
余程膨大な量のブログの海底深く埋もれているらしい。
誰にも知らせないし、僕のサイトからもリンクしないようにしているので、これは仕方がない。
多分、訪問者なしがかなりの期間続くと思う。
けれど、そうなるとブログの意味があるのかと考えてしまう。
どうなんだろうな?
確かに面白くもなさそうなブログなんだけど。

ヤフーメールのことも書いたけど、これも全然メールが来ない。
全く来ないということではないけれど、まず、来ない。
理由は僕のヤフーメールのアドレスを知っているのは数人しかいないからで、これでは来ない。
メールアドレスは、やっぱり公開した方がいいと考えている
どうなんだろうな?

2 5

個人が仕事をするには頑な方がいい。

クラフトをする場合、形状と作り方と素材はセットになる。
セットで考えるしかないものはセットで考えていればいい。
時々というよりはよく革での作り方を教えて欲しいと言う人がいるけれど、それが意味不明な問いになるのは、そういう理由からで、
素材には癖があり、それに合わせた作り方があり、結果的に思い描いた作品になるということだ。
セットである以上、形状を考えることは作り方を考えることになるし素材を考えることにもなる。

頑なとは頑固ということだ。

僕は素材に牛のヌメ革を使い、それ以外はまず使わない。
ヌメ革を染料で染色しオイルで仕上げをし、それを元に丹念に作業して制作にする。
革でクラフトするとはそういうことで、それ以外は個人が仕事でクラフトするのに必要ではいなと考えている。

頑固だから。

昨日、Aの作品を画像で眺めて、そんなことも考えていた。

オーダーが来てからAは床革でいくつものサンプルを作ったはずで、素材は決まっているけれどその厚みと部位をかなり考慮した筈で、
革を何度も染色しオイルで磨いた筈で、それからボンドで接着し丁寧に穴を開け丹念に手縫いをした筈だ。
実はそれで完成したのではなくもう少し何かをした筈で、それから何時間も作品を眺めた筈だ。
その眺めた気分も想像出来た。


昨日の感想に付け加えて、こんなことも書いている。
さらに付け加えることを書くと、Aは頑な女性なんだなと今さらながら思ってもいる。


2 4

なんか不機嫌ね。とりょうは言った。
そうでもなかったけれど、今日の僕にはそんな印象があったらしい。

2時間ほどでりょうは帰り、僕は今度の講習会の革を裁断した。
それが終わると夕方になっていた。
それから、僕はiPadでいろんなブログを読んだ。
Aのブログを読んで掲載された作品の画像を眺め、さらに眺めてiPadを閉じた。

それからビールを買いに酒屋まで歩きながら、Aはその階段を一段上げたなと僕は考えた。
クラフトしていると、その階段を上がる瞬間があり、それは当人にも分る筈で、それを、今、Aは感じているんだろうなと考えた。
階段が何段あるかは知らないし、僕もその階段を上がる途上にあるけれど、そういうことは分る。

夜、Aからのメールを読んで返信しようかと考えたけど、するのは止めてここにこんなことを書いている。

2 3

昨日、今日と年配の女性が生徒として来て、作業しながら僕といろんな話をしていた。

年配ともなれば、一冊の本が書けそうなほどの波乱万丈な人生だなと感じる場合がある。
滅多にない人生を生きてしまい、それを笑って言える年齢になったっということらしい。
無論、逆もある。
一冊の本ではなく、誰も読まなさそうな数行で書かれた人生というものもある。
どっちがいいかは分らないし、そもそもいい悪いで人生を感想してしまうものではないらしい。

いろんなことを感じるし考えてしまう。


クラフトで上手くなるのは失敗するしかないだろうにと思う。
失敗するとは上達することだと覚えていれば間違いはないんだけど、失敗したくないんですとよく生徒は言う。
失敗したくないけど失敗するということではなくて、非常に単純に失敗したくないということ。
先生である僕が失敗しろと言うのだから生徒はそう聞けば良さそうなのだけど、なかなか聞かない。
その聞かないということで書くと、僕の言うことを聞く生徒ってあんまりいない気がしている。
僕は生徒にいろいろと言うけれど、なかなか聞かない。
この場合の聞かないとは理解しないということだから、なかなか理解しない。


これは年齢の違いのせいかその個性のせいかと考える時がある。

2 1

午前4時、シャッターを上げて外を眺めた。
雪が降り続いている外気が入り込んで瞬時に身体が冷えた。
今日の最高気温は2度と予報は伝え最低気温は−2度とも伝える。
今は何度なんだ?

先日の夕方、Mとメールのやりとりをしていた。
他愛のない話がそうでもなくて、未だに少し考え込んでいる。

Mは僕に一回ぐらいそういう恋愛してみたらと書いた。
そういうと書かれたことを考え込んでいる。
そういうとは、多分、僕には生涯に女性にアタックして恋愛をしたことがないらしいということで、
だから、そういう恋愛をしてみたらと続く。
さらに気が付いたのは、プロポーズさえしたことがないということだった。
唖然とする他愛ない話がある。
一回ぐらいそういう恋愛してみたら・・・・・・・。

生涯に何度かの恋愛はしたし、一度の結婚もした。
それでも、そういうことがなかった。

結婚してからの恋愛はそれが恋愛であるのなら婚外恋愛と書いた方がいいけれど、それもない。
ないというのは正確ではないけれど、ほぼないというのは事実だ。

ところで、一回ぐらいそういう恋愛してみたらと書かれてしまっても、還暦を過ぎてしまえば、
どうなんだろうな。

Mは、アンタなら出来そうな気がするよと言いそうな気がする。
Mは僕にアンタとは書かないけれど、いつもアンタはと書いている気がしている。