2 25

革命家も老いてしまえば、ただの愚者になる。
愚者が権力を持てば、それがか細いものであればあるだけ、国に膨大な害を及ぼす。
カダフィを眺め、そんなことを思う。
国の害はいつも若者が負担する。女性と子供が負担をする。

少し前、この国がそうだった。
愚者が国を指導して、どれだけの若者が死んだことかと腹だたしい。

愚者とは恥を知らず、自己の欲と保身に生きてる人間のことをいう。


2 24

ひとりの生徒が鞄を完成させ、ひとりの生徒がコインケースを完成させる。
ひとりの生徒が新しい鞄の制作を開始する。

以上の3点はすべてブランド品のコピーになる。
実物があったり、小さな写真を元にしたり大きな写真を元にしたりしての制作になる。

元があれば、これは簡単な作業になる。
本当はそうなのだけど、生徒には無理な作業というのが実際で、時々、生徒は意味不明をよく喋る。

先日、ある生徒に君は自分が器用だと思うかと聞いた。
思わないと生徒が答える。
そんでいいよと僕は言う。
器用と言えば、それは「みのほど知らず」ということになる。

ブランドの鞄に限らず職人の鞄に限らず、教えて貰えればその同等品が出来てしまうと考えてここに来る人って、
どこかおかしい。
それが出来たら、そのブランドの会社に就職が出来、職人にも造作なくなれてしまう。
工房は簡単に開けるし、職人って顔で街を歩くことも出来る。

いい加減にした方がいい。
本当にいい加減にした方がいい。

さすがに、僕の工房に来る生徒でそんなことを考えて作業している生徒はいない。
いたら、僕に罵られるだけになる。

でも、世間にはそんなのがいる。
職人を舐めたらあかんよ。

2 22

大至急に革が必要になり姫路に連絡を入れる。
毎度のことだけど、相手は出ない。
携帯を切り、しばらくすると携帯が鳴る。

至急に革がいると僕が言う。
どんな革です?と相手が聞く。
いつもの革で、至急の前に大が付く。
大至急ですね。うーん。また連絡します。と相手が言う。
僕は連絡を待つ。

待っていると、名古屋の革屋が来る。
これは集金で、集金を済ますと彼は帰る。
至急にいるなら名古屋の革屋の方がいいはずだけど、実際にはそうならないのが不思議だ。
名古屋でヌメ革を買うとなると、これは絶望的になる。

そんなことをしていると、Mさんが来る。
隣の喫茶店で珈琲を飲みながら、次に制作する鞄の打ち合わせをする。
打ち合わせが終わると婚活の話になる。

昨日、7時半からNHKが未婚率の番組を放送していた。少し観た。
最近では、未婚率というと年代別の未婚率は省いて生涯未婚率の話になる。
生涯未婚率とは50歳の未婚率のことで、これが現在は男性が16%ほどで、20年後には30%ほどになるという予想がある。
30%とは現在30歳の男性の10人に3人が50歳になった場合に結婚履歴がないということになる。
なんだか、凄まじい。
ついでに書けば、女性も同じようなもので、20%ほどの予想がある。
つまりは、20年後には女性の5人にひとりは結婚履歴がない予想になる。
本当に凄まじい。

番組を観ていると、入会金を業者に払い婚活している男性のインタビューが流れた。
40歳に近い男性の受信メールには、女性からの「ごめんなさい。」の文字が並びまくっている。
これだけ並ぶと、どんな気分になるかと不安になる。

何でかなと思う。
年収がネックですと彼は言う、彼はそう思いこんでいる。
僕は彼を眺めながら、それは違うだろうなと思うけど、どこかでは本当かも知れない。

2 20

昨日と今日はタルが体験教室をするので、早起きをしてシャッターを上げてタルを待つ。
天気は良く、早春の日差しが気分を回復させる。

昨日、バイクの凄まじい音がしてイナが来る。
赤福を持参してお伊勢参りの帰りと言う。
伊勢に行ったのは厄落としらしく、彼もそんな年齢なんだなと思う。

今日になるとMAがいてIがいる。
タルはナゴノスペースにいて、Y君が来る。
なんか、今日という日は身近にベテランの生徒が集まっている。

Y君が石岡瑛子というデザイナーの話をする。
テレビで彼女のドキュメントを見て、かなり感動したらしい。

ナゴノスペースに行くとタルの友人という男性がいる。
職業はデザイナーという男性の制作したアルバムカバーを眺める。
カバーというよりはケースで、少し話をして少しアドバイスをする。
革で何かを制作する場合、何を作るにしろデザインは必要になり、デザインには制作工程と素材が入る。
逆に書けば、素材があり素材に合わせた制作工程があり、だから形状が出来上がるということになる。

そんな話をする。

デザイン以前に勉強して経験を積むことはいくらもある。
それがあって、ようやくデザインが出来るようになる。
一人前のデザイナーになるには時間がかかる。

2 17

月火水の3日間は生徒が来ない。
だから、黙々と仕事をしたり、のんきに遊んだりする。
今日から週の後半がはじまり、生徒が来る。
すると、生徒と一緒に作業をするようになる。
毎週、そんなふうに過ぎている。

昨日、MAが来た。
会社の帰りに寄ってチョコをくれた。
ふたりでシルビアに行き、バーガーサンドを食べて珈琲を飲んだ。
おしゃべりしていると携帯が鳴り、通話をするとIさんからで、明日いいかと聞く。
いいと答えて、携帯をポケットにしまう。

その明日が今日で、夕方、Iさんが来てチョコをくれる。そして作業をはじめる。
Iさんは勝手にやりますという感じで作業をする。
ここに来るのも3年目ともなると、手も動けば口も動く。
横ではMIKIちゃんが、黙々とベルトを綺麗にしている。
そのふたりを眺めていると、女性の年齢というか人生経験というか単に性格というか、
その違いを感じる。

人の個性は、顔の違いほどにある。
MAとI、それにMIKIちゃんとの付き合いは3年を過ぎて4年目に入るらしい。


2 15

先日、Y君との会話が通じないので変だなと感じていたら、
10店舗と言っていたのではなく実店舗と言っていた。
紛らわしい言葉はある。


夕方、お客さんに鞄を納品する。
お客さんとおしゃべりもする。
時々、妙な縁で繋がる人がいる。
または、縁があるので人は人と関係する。


2 14

昼、郵便局からの帰宅途中に雪になる。
帰宅の途中に歯科医院に寄って予約を入れる。
帰宅すると上着は雪で白くなっている。

夕方、予約した歯科医院へ行く。
雪は本降りになっていて、雪の中を歯医者に元に歩くのは気が重い。

治療を終えて帰宅すると、痛みがある。
強い痛みで、すぐに消えると歯医者が言っていたけど、そうでもないので鎮痛薬を飲む。
しばらく休んで痛みが消えるのを待つ。
歯痛があると、仕事は中断する。

歯を削った。

2 13

午後6時半を過ぎて、Aがいて花ちゃんがいてY君がいる。
時間ある?と聞くと3人ともあるというので、3人を連れて「しゃしゃんぼ」へ行く。
座敷に座り、飾ってある雛人形を眺め、もう、そんな季節なんだと思う。
僕だけがお酒を飲んで、3人は熱いお茶を飲む。

明日はバレンタインディということで、いくつものチョコレートを頂く。
Aは何も言わないけれど、Aからの包みにはチョコと一緒にマグカップが入っていた。
それに気が付いたのは深夜のことで、相当に感激する。

天野美保さんと書いていた。それから天野さんになりAさんになりAになった。
Aは僕の中でいろいろと変転する。

最近、何年か前の日記を読んで過ごす時間がある。
自分の書いたサイトの文章を読んで、そんなことに気づく。
いろいろと思い出す。

2 10

2ヶ月ぶりに岩村のMさんが来る。
「かんから餅」を持参して、USBメモリにいろんな曲も詰めてくる。
Mさんと隣りの喫茶店にいるとNさんが来る。
お饅頭を持参して、食べましょうと言う。
だから、3人がお饅頭を食べての作業になる。

夕方になると女性のMさんがドーナッツをお土産に持って来て、MIKIちゃんがチョコレートを手にして来る。
今日は、なんだか、食べてばかりに一日になる。

MIKIちゃんは7時を過ぎて帰って行ったけれど、外に出たら随分と寒かった。
明日から3連休というけれど、雪の予報も出ているらしい。

そんな日に、我が家に新車が納まる予定になっている。
雪なら延期しろと妻に言う。
雨でも延期しろと妻に言う。

2 9

Aのブログを眺め、Aの染色後の手を眺め、すさまじいもんだと感心する。
だから、僕はAが好きだ。

染色はものすごく難しい。
染色3年というけれど、多分、3年で作業が自在になるものではない。
特にオーダーという仕事の場合、色が重要になるので、たいていは染色で苦戦する。

僕はオーダーだけの仕事をする。
たまに作品をボツにするのは、この色の具合が原因になる場合が多い。
35年、それをしていてもそうなる。

Aはここに来て最初の作品制作から、染色に取り組んでいた。
大きなソラマメを革で作るなどということをしていたので、色は重要になる。
ソラマメを鞄にするのは難しくはないけれど、革をソラマメの色にするのは難しい。

色が重要であれば、染色も重要になる。
これは染色技法のことで、技法は勘が頼りになる。
勘でするしかない作業は、経験を積むしかないので、手もすさまじいものにもなる。

Aの指を眺めて、そんなことを考えていた。


2 8

伏見にある「K」という金具やにいた。
何年ぶりなんだろうと考えて、考えるのを止めた。

「K」である品を注文しようとした。
それ、ロット売りですよ。と店の女性が言う。
ロットっていくつなのと聞くと、5000個だと言う。

返答に困ってしまう。
工房というところは工場と違うので、5000個の品は必要ではない。
大体、革製品を作る工場などが、現在、この国にあるかどうかが疑わしい。

帰宅途中に円頓寺商店街を通る。
閑散としたシャッターどおりには通行人さえいない。
ここでボーリングが出来るよとFが言っていたのを思い出した。
これだけ閑散としてしまうと、本当に出来そうだなと思う。


話を変える。

先日、永田洋子が死んだ。
獄中での死になり、身分は死刑囚で享年は65歳になる。
逮捕時は25歳だったので、獄中生活は40年に及ぶ。

彼女が死んで喜ぶ人も嘆く人もそんなにいるとは思わないけれど、
ある感慨を持つ人は多そうだと思う。


2 7

散髪をする。
外には気持ちのいい日差しがある。

散髪を済ませ、さっぱりしているとある政党の市議会議員候補者が挨拶に来る。
名刺を渡され、僕も名刺を差し出す。
今度の議員選挙を宜しくと彼は言う。
あのー、実は僕も立候補の予定なんですよ。と僕が言う。
えっという顔を彼はする。

冗談を言ったんだけど、瞬間的には冗談ではなかったらしい。
冗談だよ。と言って、昨日の選挙の結果の感想などを僕が聞く。
横に妻がいて、離婚してから立候補してね。などとも言う。

市議会議員選挙は来月に予定されているので、しばらくは騒がしくなる。

2 6

夜8時に河村、大村のペアがそれぞれ当選すると選挙速報が流れる。
開票率0%で当選確定となると、そもそも選挙は必要じゃないなと思ってしまう。

因みに、僕はどちらの候補にも投票しなかった。
ふたりの並んだテレビ画面を眺めて、溜息を吐く。


今日、風邪で生徒がふたり休んだ。
乾燥のせいか、風邪がかなり流行しているらしい。

風邪とは関係なく、先日、ひどくショックだったことがある。
それは腹筋が全く出来ないという事実を知ったことで、ユーチューブで腹筋を検索する。
検索して腹筋の鍛え方を眺める。
眺めて3日間の実行が続いて、現在、筋肉痛が起きている。
せめて3ヶ月の継続は必要だろうなと思う。

身体に加齢は間違いなく押し寄せている。


2 5

区役所で期日前投票を済ます。
噂のとおり、会場は混んでいる。
3階の会議室を会場に充てているので、窮屈な感じもする。

区役所のAさんと会う。
Aさんは区役所の職員なので、偶然なのか必然なのかが分らない。

期日前投票をしたのは、投票日に投票に行く時間がなさそうだったからだけど、
本当は、学区の小学校に行きたくもなかったせいもある。

どうにも、この江西学区という地域との交流が厭なのだ。


2 2

実家の居間の照明器具が壊れていた。
今日、それを思い出して実家に寄って修理をする。
家電の修理はたいていは分解することになる。
分解すると、無駄なことをしているんじゃはないかと考える。
いっそ、新品を購入した方がいいんじゃないかと考える。
随分と長い間使用していた筈で、埃にまみれている。
その埃を眺めてそう思う。

修理は20分ほどで終わり、天井に取り付けてスイッチを入れる。
正常に動作して部屋が明るくなる。

なんだかホッとする。
買い換えるよりは修理が出来るものならした方がいいと思う。
明るくなった居間でそう思う。

昔、実家の居間には父と母がいた。
父がいなくなり、しばらく母がひとりでいた。
その母もいなくなり、誰も日常としての居間として使うことがなくなり、照明が消えた。

時々、誰もいないその居間にいて、途方にくれることがある。

なにか、根本的な部分で、僕はすごい間違いをしているかも知れない。
取り返しの付かない間違いをしてしまったかも知れない。