11 30

11月も最後の日になる。
カレンダーも最後の一枚になる。

夜が始まる頃にIが来る。
Iは20歳の女性で、デザイン関係を勉強している。

Iは先に鞄を制作し、その鞄が何とかという賞を受賞したと報告をする。
何とかとは、聞き慣れない名前なので、うっかり失念してしまう。

ひとまず、良かった。
コンテストに賞があるなら、ひとまず狙うのがいい。
これは制作の励みになり、自信に繋がる。

そのIさんが、僕にチョコレートを持って来る。
遅ればせながら、お誕生日おめでとうと言う。

これには参ったという感じで、嬉しくなる。

どうにも女性は誕生日に敏感らしい。

夜の8時に車でIさんを名古屋駅まで送る。
僕は車から降りたIさんを眺めている。
手を振りバイバイする仕草がとても可愛い。


11 29

土曜と日曜が過ぎてしまう。
日曜日は雨だった。

どこか静かだったのは、来るはずの予約の生徒が来なかったせいなのか、天気のせいなのか・・・・・?


Aのことをよくここに書く。

Aはここに通って作業をする人の中で、飛び抜けて若い。
その若さには、いろんな何かが含まれて、それをぶつける感じでここで作業をしている。
Aにはそんな感じがしている。

そのいろいろな何かを言葉にすればある言葉でまとめられる気がするけれど、それはここでは書かない。

ひどく真剣で、だから、Aはいつも作業を反芻する。
この場合の作業とは手を動かす作業のことではない。

そんな感じがAにはしている。

何かをぶつける相手には何かをぶつけるしかない。
これはぶつけるという言葉から連想される人のきつさとかそう表現されるものの反対側にあるものみたいな気がしている。

その反対側にあるものをよく考える。
何なのだろう?
単純に書かれるものなのか、そうでないものなのか?

Aに限らないのだけど、僕は人にはそんな態度を取る。
何かをぶつけているなと感じてしまえば、僕は何かをぶつける。

こうした話は書くと難しくなる。


11 28

土曜日は生徒が多く、5人が同時に作業をしている。
狭いけど、無理な訳ではない。

久しぶりに山田君と石井君とタルが一緒にいる。
仲間みたいな気分でいるので、呑気な気分かも知れない。

夜、石井君とタルが残り、革の在庫で遊べる革を探す。
適当に持っていけばいいよと僕が言う。

僕はオーダーで作業をするので、使う革の殆どはヌメになる。
ヌメになるけど、革が好きらしいので、いろんな革がある。
そのいろんな革は殆どの場合、使わない。
使わないので、無駄な革みたいになっている。

だったら、あげるよ。と僕は言う。

ついでに、3人でいろいろとおしゃべりをする。
そうしていると夜も8時になってしまう。
時計を眺め、少し呆れる。

やっぱり、仲間なのだ。


11 27

昨日と今日は来生たかおの歌を聴いていた。


いつものようにAが来る。
Aは袋を抱えている。
それから、はいと言って袋を手渡してくれる。
プレゼントと言う。

今日は僕の誕生日で、そのプレゼントと言う。
リボンが付いた袋を開けるとキャップが入っている。
何だか、リボンさえ大事にしたくなる。

これはものすごく嬉しいです。

キャップの付録というか豪華な付録というか、タイ焼きを焼いたとタイ焼きも頂く。
早速食べて、残りを夜食にするよと僕は言う。

Aはいつもすごく可愛い女性なのだと思う。


Aが帰るとMが残る。
Mが作業を終えると7時に近くなる。
Mと一緒に珈琲を飲む約束をしていたので、ぶらぶら歩いてお店に入る。
Mはもぞもぞしてる。

Aさんがキャップくれたでしょ?とMは僕に聞く。
うんと僕が答える。
どうしようかなとMは言う。
うん?

ほんとにどうしようかと悩んでいるらしいのだけど、何を悩んでいるかが分らない。
それから、Mは言う。
実はプレゼントがあるよ。

そのプレゼントが帽子だった。

嘘だろ?


だから、今日、僕はふたつの帽子をプレゼントされた。

Mはすごく可愛い女性です。



来生たかおの歌を聴くと、いいことあるかも知れない。

11 25

クラフトをする人には素敵な人が多い。

ここに来て作業をする生徒は例外がなく素敵な人たちで、僕はぼんやりとその作業を眺めてしまう。
僕は生徒が怒ったところを見たことがない。

ここに来る女性はみんな綺麗です。
みんなとても可愛くて、自分を大事にして自分に関わるものを大事にしている。
ここに来る男性もそうで、みんな生活は豊かであればいいとそんな顔をしている。

だから、仲間を大事にして、仲間と過ごす時間に戯れる。

きっと、体のどこかに目に見えない豊かなものを抱いているからなのだろう。

クラフトには、自分の生活を少し豊かしてしまうなにかがある。
豊かさとは日々に感じる些細なもので、でも、とても大事なもの・・・・・・・・・。

11 24

新しい革が入荷する。
革の販売人と少し話をする。

先に使える革かどうかを知りたいと言っていたので、使えるよと言う。
調べなくてもそれは分る。念のためと染色をして仕上げ材を使う。
この作業は1分で終わる。
カービングとかは出来るかなと革屋は聞く。
出来るに決まっている。と答える。

革販売人がこの革の話をする。
これは、聞いていても無駄な話になる。

革を販売する人で、クラフトをする人を僕は知らない。
どこかにいるかも知れないけど、僕は会ったことはない。
だから、クラフトの話を革の販売人と話す機会は殆どない。

革の販売人が話す話は業界の話になる。
革の業界には興味がないので、どうでもいいなと聞いている。
時々、このどうでもいい話を長々と聞くハメになる。

クラフトをする人とクラフト材料の販売関係の人には、共通項があるようで実はあんまりない。
少しはあるかも知れないけれど、話題の接点はいつも外れる。
材料を売ることと材料を使って作業することなので、話題の接点を作ることは難しいのかも知れない。


時々、クリエーターなのか革の販売人なのかが分らない人がいる。
クリエーターという職業は自称出来てしまうので、そんな人もいる。

お客は混乱するだろうな。


11 23

先にカービングと染色の話を書いた。

染色とカービングは革を触る作業なので、革が分る。
革が分れば革の癖が分る。

レザークラフトとは詰めて書いてしまえば革の癖を利用する作業なので、これをしない人はクラフトが半分ほどしか出来ない。
カービングを作品に入れる入れないは好みで、染色するしないも好みなので、作品制作に入れる入れないは別の話になる。

そういえば、かなり以前にデザイナーを自称する3人の男性が来たことがある。
自称なので、ものの作り方を知らず、それを人に任す。
作り方が形になることが分らないらしく、それでもイメージだけにはこだわる。
こだわるのがデザイナーの特権と信じているらしく、僕はどう対応しようかと考えてしまう。
イメージにこだわるとは作り方にこだわるということなのだけど、これが理解できない。

そういえば、と続ける。
僕が革の話をする相手は、革で作業をしたことがある人で、簡単に書けば僕の生徒になる。

生徒と革の話をすると面白い。
生徒は革で作業をするので革を知ってしまう。
つまりは革の知識があり、革に感じたことを素直に話す。

やはり、生徒と制作を一緒にしている時間は面白い。


今日、Iさんが来て作業をしていた。
月、火、水の3日間は教室は休みなのだけど、Iさんの作品には提出期限があるので、時間があれば作業をさせる。

鞄はオランダをイメージしたもので、そのイメージを木靴にしている。
靴も革で作れば革靴ではないかと書いてしまうと終わってしまうので、それを何とか木の感じにする。

Iさんは鞄の実物大のサンプルを床革で作り、そのサンプルを分解しヌメ革を裁断し、染色をする。
それを3時間で完了させる。

すると、6時を過ぎて町は暗くなっている。

3連休も最後の日になり、町はとても静かだ。
車でIさんを駅まで送る。
帰宅してコンビニへ行き、弁当を買う。
妻と息子はコンサートに出かけ、僕は一人でビールを飲んで夕食を食べる。

11 22

今日、カービングを入れたキーケースをひとつ販売をした。
これはオーダー品になる。

ここはオーダー専門の工房なので、オーダーがなければカービングを入れた作品を制作しない。
カービングのオーダーの仕方はオーダーする人には難しいので、まず、ない。

今年初めてのカービング作品かも知れない。
因みに作品はパス入れ程度の大きさなので、模様は5分で彫る。
5分というので、たいていは驚く。

驚いてはいけない。
カービングはとても簡単な作業なので、パス入れ程度の大きさだと5分で彫る。
5分で彫ってしまうので、サービスにしようかと考える。

断っておくけど、上級のカービングというものは確かにあり、ひとまず、それを省いて以上を書いている。

僕はレザークラフトをカービングすることから始めた。
だから、昔はカービングばかりをしていた。
カービングとは指を使い革に彫刻を入れる作業なので手首が腱鞘炎ばかりをおこし、痛い注射を何度か打った。

カービングを教えて欲しいという人がいる。
個人的には誰かに教えて貰ったことがないので、どう教えるかは難かしい、
僕は彫り続ければいいよと言う。
彫り続けていれば慣れてしまい、そうなると丁寧な作業になり綺麗に仕上がる。
だから、時間が経てば簡単だと分る。
最初は出来ないに決まっている。
初めから教えて貰えれば出来ると考える人は、カービングは止めた方がいい。

カービングには染色が入る。
実はこの染色が難しい。

染色は教えを請う作業ではなく、実際に自分で思考錯誤をする作業になる。
時々、教えてという人が来るけど、好きにするしかないよといつも僕は答える。
そうしていれば、染色が分る。
好きに染色をして失敗すれば、出来るようになる。
失敗しないで上手く出来ないかと考えるのは、そもそも間違っている。
間違っているので、なかなか染色を覚えない。


先日、クラフトの本を持参して、作り方を熱心に覚えようとする人がいた。

個人的には、これは間違っているような気がしている。

本を持参した人には、本に掲載の写真だけを見せて、
型紙とか寸法、また制作方法は読んではいけないと僕は言う。

作ることに慣れたら、それは有効かも知れない。
作ることに無知なら、それは回り道になるものだと思う。

以上は逆を書いているのではなく、僕の経験を書いている。

今度、有効な作業方法について書くよ。

11 21

何だか慌ただしかった。
生徒が6人も来てしまうと、さすがにそう感じてしまう。

夕方に新しい生徒さんがふたり来た。
ふたりは鞄の制作を始める。
はじめから鞄だけど、小物を作るよりは実際的でいい。
ただ、ふたりの相手をしていると疲れてしまう。

Iさんが来て、オランダをイメージした鞄を作ると言う。
イメージ画が出来たので、それを見て欲しいと言う。
あー、イメージはすごくいい。
でも、それを形にするのは、多分、革に詳しくないと難しいだろうなと思う。
Iさんは3時間ばかり苦闘しながら革で立体のイメージを完成させようと作業をすすめる。
すると、Aが来る。
IさんとAは年齢が近いせいか、気が合うらしい。
AはAでトランクに苦闘している。

みんな苦闘する感じで作業をしている。

夜の7時になり、駅までIさんを送る。
駅に着いて車から降りたIさんはトコトコ歩き始める。
車は信号待ちをして、僕は窓越にそれを眺めている。
僕の車の前を横切るIさんはちらりと僕を見る。
それから小さく手を振り、バイバイをする。Iさんの小さく笑った横顔がどきりとするくらい可愛いらしい。

11 20

生きてゆくとは難しい。
難しいと分っていても、どう難しいかが、若い時には分らない。
経験がないとは、具体性に欠けてしまうことだ。

昨日、人生は思い描いた色彩で生きるべきだと書いたけど、本当はそんな難しいことはない。
色彩は暗くなったり明るくなったりするもので、そうでも、思い描いた色彩は忘れない方がいいと書かれてしまうと・・・・。

でも、そうなのだ。
未来を思い描くことが出来ないなら、未来への扉なんて、どこにもない。

11  19

Aが帰ると机の上はいつも整頓されている。
いつ整頓しているかが分らない。

Aと美人の話をしていた。
韓国の女優の話をしていて、あの人、美人なのかなと僕が聞く。
美人に見えんよ。
Aもあの人は美人じゃないと言う。
でも、綺麗な人だよ。

Aはそんなことを言う。

8月、Aはここに毎日通っていいですかと僕にメールを書いた。
理由を書かず、突然にメールでそんなことを伝えて来る。

毎日となると、僕にはその余裕がない。
空間の余裕がなく、時間の余裕がなく、気分の余裕がない。
半分だったらいいかなと答えると本当にAは週の半分をここで作業するようになった。

それから、ずっとAを眺めている。
眺めていると、僕に気分の余裕が出来て、Aのことをいろいろ考える。


Aは僕と同類なのだろうとよく思う。
同類なので思考する結論が似ている。
似ているというよりは同じと書いた方がいい。

だから書くのだけど・・・・・・。

今日、Aに自分のしたいことだけをするといいと忠告をする。
したくないことはしなくていい。
したいことだけををがむしゃらにしてるといい。
そうしていると、やがて自分が本当にしたいことが分る。
そこから、強く自分の人生を歩くことが出来る。

若さに特権があるとしたら、それがそうで、その特権を使ってみてもいい。

人生は思い描いた色彩で生きてみるべきものだ。

11 18

昼間、久しぶりにカワサキの店長が来る。
用事はなく、九州に帰っていたのでそのお土産をもってきてくれた。
店長と隣りの喫茶店にいると、ガラス越しに吉田君が来るのが見える。
彼を誘い3人で珈琲タイムを過ごす。
吉田君は林檎を沢山持参して来る。長野のお土産らしい。

カレンダーを生徒が眺めて予約を入れる。
そのカレンダーを眺めている。
すると、もう一枚をめくるとカレンダーがなくなるのに気が付く。
すぐに師走になりそうなのだ。
もう、そんな時期になっている。
これは、困る。


最近、不審死の男性の記事がよく出る。
容疑者は女性で、結婚詐欺ではないかと書かれている。
結婚詐欺と殺人が同居しているらしい。
記事ではそうで、実際かは省く。
この場合、容疑者の女性は不美人と書かれ、デブとも書かれる。


不美人とブスに違いがあるも省くとして、不美人でデブとなると男性とは無縁という印象があるらしい。
そうだろうか?
この辺が少し分らない。

美人は星の数ほどにいる。
男性は美人を好むけど、ひとりの美人には厭きるので、いつも違う美人ばかりを追いかける。
結果として、美人は特定の男性と長く付き合うことが出来ない場合が多い。。
あのひとはいつも違う男性と付き合っていると言われる美人は多いけど、多分、そうなるように出来ている。
男性はひとりの美人がいいんじゃないので、そうなる。

美人は得だというのは正しい。
短期的には正しく、長期となると、正しいかどうかは疑うことにした方がいい。

まあ、あんまり意味もなく面白くもないことを書いている。

実は、最近、あんまり面白くもない。
栄養が足りてないからなんだろうな・・・・・・・・。


11 16

先日、革屋にいたらジャンバーの色褪の処理の方法を聞かれた。
染料と染め方などを聞かれた。これ、革屋で店の主から聞かれた。
やりたいようにしたらいいんじゃないかと僕は答えた。

次に、革調べてくれんかな?と聞く。
この場合の聞くは質問ではなく依頼になる。

どうも新しいタンローらしく、これが売れるものなのかが知りたいらしい。
僕の判断で、その革を販売するかどうかを決めるつもりらしい。

で、この革を使ってくれないかと言う。
この場合の使ってくれないかは買ってくれないかになる。
つまりは買って使って、それが売れるものかと僕に聞いている。

その革を見る。見れば、それは分る。
それが革屋の主には分らない。
この店の主は何を売ることで生計を立てているかと考えてしまう。

買うのは構わんけど、いくらだ?と聞く。
価格を主は言う。

その価格が、僕の最近の入荷先の価格よりデシ単価が10円高い。
この場合一枚あたり2,500円ほど割高になる。

あー、と溜息が僕には出る。
この店の主は、僕がいつも仕入れしている単価より高い単価で革を買い、それを使って結果を教えてくれと言っている。
つまりは、割高で革を買い、さらにモニターをして欲しいと頼んでいる。

逆なら分ると書くべきではない。
いつも、この店の主は逆を言う。

ところで、僕はこの革を買うことにした。
ひとまず、僕は革が好きなんだろうな・・・・・・・・・。

11 15

最近、深夜にジョギングをしているとパトカーに出会う。
たいていは出会う。
メインストリートだけではなく、我が家の前さえパトロールをする場面に出会う。
音を立てず、非常な低速でパトカーは走る。
警官と眼が合う。

世情は感じているよりは物騒かも知れない。


11 14

午前11時にりょうが来る。
暑いと言う。駅から歩いて来たせいなのだろう。
上着を脱いでシャツになる。

りょうがいると呑気になる。そんな空気がりょうには漂う。
いつもそうって訳ではないけど、最近はそう感じてばかりいる。

午後1時半になると大野君と山田君が来る。
大野君とりょうは知り合いで、知り合いの会話を交わす。
僕は男性ふたりに留守番を頼みりょうを駅まで車で送る。
空は澄み切って青く、このままどっかに行くかなどという気分になる。
いつも間にか、天気がすごく良くなっている。

男性ふたりが作業をしているとAが来る。
Aもいろんな人に会っている。

3人が作業をして、僕は探し物をしている。

バイクのお客が来ていた。
素っ気のない応対を僕はした。
それ以降、探し物がはじまり、探し物を夕方探し終える。
なんか、面白くもない。


そういえば、
山田君が帰る時、これっと言ってプレゼントを渡された。
僕の誕生日のプレゼントで、男性からプレゼントを頂くという珍しい経験をする。
えっと声が出る。

プレゼントがなんだったかは、ひとまず省く。


11 13

連日、事業仕分けの報道が流れる。
あれ、気持ちのいい報道ではない。

事業仕分け委員がどのように選ばれ、どのような権限が国民から託されているかは不明になってる。
だから、気持ちのいいものではないと書いたのではなく、
あれは詰問会議みたいなもので、詰問者の声高は聞いていて気持ちのいいものではない。

現在の政権担当の党の方針は「税金の無駄を省く」なので、無駄と判定されれば事業は廃止になる。
仕分け委員の決めた廃止が実際の廃止に繋がるかは、委員の権限が不明なので不明になるものの筈だけど、
だったら、何をしているのかと考えてしまう。
大体、問題にした方が良さそうな事業は仕分けの対象にされず、対象にしなくて良さそうな事業が問題にされる。
だから、何をしてるんだと感じてしまう。

無駄という言葉は曲者です。

無駄かどうかの判定には「無駄とは何か」が前提になり、その前提はあらゆる視点からの判断でされるべきものだけど、
この前提が外れ、仕分け委員の頭の中の価値観がひとり歩きをしてしまうと、どこかがまずい。

無駄とは国民の利益に繋がらないことを言うのか・・・・・?
では、国民の利益とは何のことを言うのか・・・・?

などということを事業仕分けの報道を見て感じている。


11 12

先日、年配の女性が映画館に多かったと書いたけど、
この工房にも年配の女性が生徒としていない訳ではない。

今日、年配の女性が一人いた。
突然に、この女性がもっと若かったら先生よりいいもの作るよと言い出す。
この女性には言わなくて良さそうなことを言う癖がある。

間を置いて僕が言う。
あなた、本気でそう言いますか?

空気がすこし硬くなるのを感じる。


11 11

昨日観ていた映画「沈まぬ太陽」は3時間半の長時間上映なので、途中で休憩が入る。

映画は、組織の中で節を曲げずに生きた男性を3時間半という時間で描くので、
観終わった後には、それなりに考えるものがある。


個人的なことを少し書く。

僕は組織の中で生きて仕事をしている人ではない。
これは、組織の中で生きてゆく気はないと決めた二十歳の頃から変わらなく今も続いている。
これが意味しているは、身分が曖昧になるということで、いまだに僕の身分は曖昧かも知れない。
組織から外れて個人で仕事をすれば、それは覚悟すべきことになる。
ひどく簡単に書けば、収入の保証はない。

映画の主人公は、組織の中にいる。
だから、身分は保証され、収入は保証される。
身分と収入が生きる場合に唯一必要なものだと考えてしまえば、節は人生にあまり意味のないものになる。
そう考えている人は大勢いて、そうではないと考える人との間に摩擦が生じる。

映画の主人公がひどく辛い思いをするのは、その摩擦のせいだろう。
これは家族にまで及んでしまう。家族の辛さは主人公以上に増してしまう。
映画はそれを描いている。


節を曲げずに組織で生きるとは何であるかが、僕には分らない。
主人公は会社ってなんでしょうかとよく自問する。
その自問も僕にはない。


「変節漢」という言葉がある。
いい言葉ではない。


節は曲げるものではなく、曲げれるものでもない。
それが「沈まぬ太陽」につながる。
「沈まぬ太陽」とは、生きて行く場合の人の希望のようなものだと映画は言う。
正しいと思う。


11 10

泡ただしく仕事を済ませ、駅前まで自転車を走らす。
映画の上映時間は決まっているので、それに合わす。
慌ただしさはそのせいだった。

映画を昼間に観ていた。
観ていた映画は「沈まぬ太陽」という邦画で、上映時間は3時間半になる。

映画館には高齢者が多かった。
高齢者でひどく混んでいる映画館も珍しい。
圧倒的に女性が多いのは、時間を考えれば納得出来る。

少し場違いな感じがする。
高齢の女性たちのことではなく、その中に混ざってしまったことが。

邦画を観て過ごす昼間が過ぎてしまうと、夜が来る。
その夜に、いつものお店で食事をする。
外には雨が降っている。

カウンターにいると、相方がお店の厨房に何かがかけてあるのを見つける。
相方は女性で、女性は本当に何かを見つけるのが上手い。
女性の視点の動きというか好奇心というか、それは男性とは違って目まぐるしいものがある。
お店の主にそれは何かと聞けば、何とかと答える。
魚の干物らしい。
これ、から揚げにすると旨いよと主は言う。
ふーんと聞いている。
試食にひとつ揚げてあげるよ。と主は言って本当に揚げてくれる。
それを食べる。
ぱりぱりして、「えびせん」を食べている感触がある。

外に出ると、雨は本格的に降っている。
止む気配はない。
傘あるの?とお店の人が聞く。
ないよと答えると、返さなくていいからと傘を一本くれる。

なんだか、慌ただしく食事をして慌ただしく帰宅する。
仕事が詰まっていて、それがずっと気になっていた。


11 9

先週の土日には「クリマ」が開催されていた。
生徒の何人かは出展したらしい。

実はクリマが11月のこの時期に開催されているとは知らなかった。
金曜日にサイトで調べていたら、開催まで残り一日と書いてあったので、えっという感じになる。
土日には都合が入れてあるので、見物に出かけるのは無理になる。

その日曜日、予約を入れていたふたりの生徒がキャンセルを入れる。
だから、工房ではひとりになる。
本当に、日曜日に工房でひとりでいるには珍しい。
ひとりで作業をしてるとAが来る。

あれ、誰もいないんですか?とAが聞く。

Aがいる時にはたいていは誰かがいる。
いるので慌ただしく教えてばかりになっていた。

この日は誰もいないので、いつもよりは熱心になる。
えっ、いつもと変わらない感じですよ。とAは言いそうだけどね・・・・・・・・・・・。

この日から、Aはトランクの制作を開始する。
先にもトランクを製作したけど、今度は先のトランクと違い特別の思いのトランクになる。
制作しようとするトランクは、僕が以前にテレビ番組で制作をしたトランクで、
だから、熱心になる。
あれ、熱心に教えないと、完成しないよ。
不満足な作品に仕上げるのは、絶対に厭だからね。



話題を変える。

昨日、テレビで「JIN  仁」という題名のドラマを観ていた。
第4話になる。

テレビ番組のことを書くと、僕はテレビ番組で定期的に観るのは「NHKニュース」と「大河ドラマ」ぐらいで、
時々NHKの「土曜時代劇」などを観る。

歌番組は全く観ないので歌手を知らない。
バラエティを観ないのでタレントを知らない。
野球のテレビ中継は見るのは稀で、サッカーは日本代表の試合ぐらいしか観ない。
他に何か観るかと考えていて、「JIN  仁」を観てるのに気が付いた。
これをネットで観ていて、テレビで観ようと録画して観た。

これが第4話だった。

これ、面白いです。

11 7

40代の男性が生徒で来ていた。
「ものづくり」の会話になる。

はっきり書いてしまうと、日本での「ものづくり」の地位は悲惨な状況になっている。
そんなことを話していいた。
クラフトの世界を書けば、悲惨をとおりこしているかも知れない。

以上は個人の感想になる。


話題を変える。

今日の中日新聞朝刊に秋葉原通り魔殺人の犯行者の手記が掲載されていた。
正しくは手記ではなく被害者へのお詫びの手紙になる。
読んでしまうと、「加藤智大」という人物が垣間見える気がする。
その記事のとなりにオウム真理教が起したサリン事件の実行犯の死刑確定の記事が出ている。
死刑確定は重い記事になる。
どちらも死刑という文字が記事の中に入る。

死刑か否かは裁判所が決める。
裁判所とはひとつの空間であれ、人が人の生き死にを決定するという何とも気分の耐え難い空間になることもある。

唐突なことを書けば、パソコンを買おうとしてスペックのいくつかの項目をパソコンに入力する。
或いは、パソコンでどんな相手が自分にお似合いかと出会いサイトの希望欄にいくつかを入力する。
最後に確定を押せば、何があるいは誰が自分に適しているかをそれは教えてくれる。

犯罪の詳細を具体的な項目に並べ、チェックして最後に確定を押せばどのような罰かが決定される。
ということをパソコンはしそうな気がする。
犯罪の詳細が分ればひどく簡単にパソコンが人の生き死にさえ決定しそうな気がする。

人が人を裁くとは、無論、そういうことではない。
そうであってはならない。
そうであっはならないのは、人は人の世界に生きているという単純な理由からでからで、
この意味は重くのしかかる。
人はパソコンで決定される生涯を持ち合わせていない。


11 6

11月も1週間ほどが過ぎると、11月という月にも慣れてしまう。

身体を動かすと、暑いらしい。
そんなことを言いながら、生徒が来る。
僕は、寒いと感じている。

工房は北向きなので、工房に篭っていると寒い。
本当に暑いのかと日差しを浴びに外に出てみる。

夕方、生徒が帰るとAが残る。
Aは昨日と同じように革の整頓を始める。
ぼくとのおしゃべりも始める。

明日は、恒例というか何というか「ウォークラリー」が開催される。
西区の面白そうなお店を巡るお散歩って行事で、ここもポイント地点に入る。
これは、スタンプラリーなので工房を覗きに来る人が多い。
整頓をしないとスタンプ台を置く場所も確保出来なかった。

な訳で、整頓という作業が必要だった。
整頓を任すなら、Aだろうな・・・・・・。



最近、生徒の話題をこのページによく書く。
先日は生徒の夢を見ていた。

夢の中には大勢の生徒が出て来る。
先日、殆どの生徒がここにいた夢を見ていた。
ここは狭い工房なのだけど、妙に広かった。
広かったのは、何も置いてなかったせいで、僕だけが椅子に腰を下ろしていた。
何だか、腰がひどく痛かった。
そんなことを言うと、じゃあと誰かが僕の腰を揉む。
揉むというよりは押す。肘を使ってぐっと押す。
押されていると、腰の痛みがどんどん消えてゆくのが分る。
なんて気持ちがいいんだろう。
誰がしているんだろう?

その誰かが分らない。
分らないまま夢から覚める。


誰?

11 5

水曜日が終わり木曜日になると、生徒が来る。

今日、1時にひとりが来て2時にひとりが来る。
3時にひとりが来て4時にひとりが来る。
都合4人が来る。

4時に来たMさんはお菓子を持ってくる。
たいていは持ってくるので、Mさんがいるとお茶の時間になる。
Mさんは、いつものニコニコして呑気な作業を続けている。
それでも、鞄を制作してしまう。

Mさんは先にここで制作した鞄を使っている。
その評判がすこぶるいいと言う。
あれ、商品になりそうだねと言われるみたいで、気分を良くしている。

そりゃ、商品になるだろうな・・・・。


Aが来て、革の整頓をしてくれる。
ほんとに整頓をさせるとすごい才能をAは発揮する。
整頓を任せて外っておくと、見事に片付いている。


やっぱ、いい奥さんになるんだろうな・・・・・・・。

11 4

生徒のことを少し書く。

12月にこの工房の忘年会がある。参加者は15名ほどになる。
この15名の生徒の殆どは、僕の参加するイベントで講師を勤めてくれる人たちで、
イベント会場で一緒になるので、みんな親しくなる。
イベント会場では、サークル活動っぽい雰囲気がある。

この工房で、知らない人たちが出会い、同じ作業をしてお酒を飲んだり遊んだりする。
昨日までの知らない人同士が、たった一日で友達になってしまう。
なんだか、これはすごいことだと思う。

イベントに来てくれる生徒もいれば、イベントには参加しないけど、ここで長く作業をしている生徒もいる。
これは年代の違いとか、距離とか都合とか或いは気分とかが関係している。
この生徒さんたちが、やはり15名ほどいる。

そうではなく、突発的にここに来る生徒さんもいる。

合計何人ほどになるんだろう・・・・?

あっと、忘れていたけど、僕には愛弟子がひとりいる。

こんな感じで、生徒がいる。
これが10年ほど続いているので、年々顔ぶれも違っている。
その顔ぶれを恩い出そうとする。
200人は超えているなと想像する。

これも、何だかすごいと思う。


11 3

風が強いせいで、寒い。
日差しはあるので風さえなければ・・・・・・。

深夜、ジョギングしてる時、手袋がいるなと感じてしまった。。
そういえば、日本のどこかには雪が降っていた。

祝日でもシャッターを上げる。
シャッターを上げないと、工房の中はさすがに暗い。
予約で来たお客さんが帰ると、大野君と吉田君が揃って遊びに来る。
ふたりは一緒にニコニコ笑っている。
この訪問は突然だった。
吉田君は、工房を閉めて来たなどと呑気に言っていた。


最近、パソコンの調子が悪い。
ガタガタと音がして、ガタガタ音が長く続く。

パソコンの修理が僕にはできない。
で、掃除をする。掃除は出来る。
掃除機でパソコン内部を掃除して、もとに戻して起動をさせる。
すると、ガタガタ音がカタカタ音に変わる。
カタカタという音は起動時にして、しばらくすると消えてしまう。
少しは良くなったのか、そうではないかの判断が僕には出来ない。
フリーズの回数の多さが気になって仕方がない。

このパソコンを6年間ほど使ってる。
6万円ほどで購入した3台目のパソコンで、もう寿命だと人は言う。
6万円だから6年間の使用でちょうど合うかも知れない。
1年間で1万円。月に800円を少し超えるが使用料金で、そう考えると安いものだと思う。

最近、バックアップばかりをしている。
本当に、突然、アウトかな。


11 2

寒い日だった。

昼、久しぶりに隣りの喫茶店で珈琲を飲む。
相変わらず店には誰もいない。
時々、ドアの鈴が鳴る。
これは風のせいで、今日は風が強かった。
鈴が鳴るたびにママさんがドアを眺める。

珈琲を飲みながら、メールを書いていた。
本当は、メールを書くために珈琲を飲んでいたのかも知れない。
そんなメールを書いていた。

明日は祝日になる。
休みではないけれど、生徒の予約もない。
これは、珍しい日になる。


11 1

11月の最初の日は日曜日になる。
雨が降りそうな午後がはじまり、生徒がふたり来る。

生徒が作業を始めると電話がなり、新しい生徒がここに来る道順を聞く。
地下鉄の駅からの道順が分らないらしい。

昨日、生徒が4人来て作業をしていた。
4人がいると狭い工房なのでここは満員になる。
そうならないようにして時間調整をしているのだけど、いつも2時間で帰る生徒はいないので、
時間調整は無駄になる。いつもそうなってしまう。

今日もそうなるかと思っていたけど、そうはならなかった。

町には雨が降り始めている。

ふたりの生徒が帰ると、新しい生徒が残る。
この生徒さんは、何とか今日のうちにキーケースが出来ないかと作業をしている。
無理だろうなと予想をして、僕はそれを眺めている。

作業をしながら会話をする。
2週間ほど前にも一度来て作業をしたことがあるので、全くの初めての会話という訳ではない。

女性は27歳と言う。
以前、この辺りの高校に通っていたので、土地勘はあると思っていたけど分らなかったと言う。
亀島とか本陣は分るけど、浅間町となると無理だったらしい。
ふーんと僕は聞いている。

近所ってどこの高校?
N高校と彼女は答える。
へーという感じがする。
となると、僕の後輩ではないか。
この偶然には親近感が膨らんで来る。

この家には僕の妻もいるけど、妻も同じ高校だよ。
こんどは、へーという感じを彼女がする。

後輩となると、丁寧な言葉も仲間の口調に変わる。
そして、年齢を知る。

女性はプレゼント用のキーケースを制作している。
キーケースにイニシャルを刻印している。
今月に送る相手の誕生日があると言う。
へー、僕と同じだな。
いつと聞くので、20何日だよと僕が言う。

実はこの日付がキーケースを送る相手の誕生日と同じだった。
誕生日も同じかあ・・・・・。

何だか、妙な日だった。
意味のなさそうな偶然も縁かも知れない。

女性は6時間ほど僕の工房にいて次の予約をいれて工房を出る。
外には雨が降っている。
送るよと言い、車に乗せて女性を名古屋駅まで送る。
町はすっかり暗くなっている。

女性の作品は完成しないので、また、ここに来て作業をする。