8 20
考えてみれば、8月1日から17日まではイベントの連続だった気がする。
イベントは当日だけではなく、準備が入る。あと片付けも入る。
そんな訳で、7月の最後の頃から8月18日頃までは、イベント以外の仕事が出来なかったような感じがしている。
今週の初めからの電話とかメールには、まあ、その影響がモロに出ている。
お盆は休暇ではなかった。
みんなは優しく休んでくださいねなどと言ってくれるけど、本当に少しは休みたい。
けれど、電話とメールは、休んではいけないと言い続ける。
ああ。
8 17
「名古屋城宵祭り」が10日間ばかり開催され、その半分の5日間を参加する。
参加とはレザークラフトの体験教室の開催のことです。
名古屋城への入場は久しぶりになる。
20歳の頃は、暇があれば名古屋城でひとりで遊んでいた記憶がある。
入場料は天守閣入場を省けば30円だった気がする。
当時の場内は素朴な感じがして、石垣から堀を眺め名古屋の町を眺めて過ごしたことが記憶にある。
名古屋城は自宅の近所にある日常的な空間だった。
その名古屋城から体験ブースを作りたいのだけど、それをやってくれないかと依頼されたのが2ヶ月前で、
面白そうだと即答して、8月の開催になる。
これが結構、体力勝負になった。
「名古屋城宵まつり」は以前は「名古屋城夏まつり」と言い、夏の名古屋の風物詩の気配がしていた。
子供を連れてよく遊びに出かけた。
その頃から10年以上が過ぎてしまうと、それを名古屋城はまだ開催していたかと変な気分になる。
どうも、この10年ばかりは名古屋城自体が僕の中に存在していなかった。
そして、今年になる。
暑さは覚悟をしていたけれど、暑さではなく、人出が想定外だった。
人は多いだろうと予想はしていたけれど、人が多いとはこういうことを言うかと妙な気分になる。
どうも個人的には人の多い場所にはいたことがないのが常のせいか、人の波に驚いてしまう。
人が多いと体験する人も多く、テントの中がごった返す状況が時々現出する。
テントの中にいて、時々、生徒が誰もいないことを想像するとぞっとする。
僕がいろんなイベントで体験ブースを設置出来るのは生徒がいることを前提にしている。
生徒は時間をかけて会場に来ては手伝いをしてくれる。
時間をかけて帰ってゆく。
今年の夏は、円頓寺でイベントがあり名古屋城でイベントがあった。
都合7日間で、これは8月1日から16日までの7日間になり、イベントとしては尋常な数字ではない。
疲れた。
生徒もみんな疲れたろうな・・・・・・・。
この疲れを感じて、今年の夏は終わるのかも知れない。
悪い疲れではない。
8 16
名古屋城から自宅に帰ると午後10時を過ぎている。
シャワーを浴び、ビールを飲んで食事を済ますと、相当な眠気を感じてしまう。
テレビは世界陸上を放映していて、それが気になる。
そうでも眠い。
あんまり眠いので寝てしまう。
明け方、目が覚める。
テレビをオンにするとTBSはまだ世界陸上を放映していた。
そして、ボルトが100メートル走を9秒58の世界新で疾走したと知る。
絶句する。
そのタイムを眺め、これは嘘だろうと思う。、
信じてはいけない人の記録に思えてしまう。
これって、ありか・・・・・・・・・・・?
8 5
夕方、小雨の中をお客さんが来る。
お客さんは三重県の人で、長野に来たついでに寄ってくれた。
このお客さんはトランクの修理を依頼していた。
誰かの形見の品らしく、そうでも余りに古ぼけて使用が出来ない。
それを何とかして欲しいということだった。
古ぼけたというよりは、吟面はなく汚れはひどく金具は硬い。
つまりは形見でなければ捨ててもおかしくはない品だった。
修理と書いたけど、実際は修理ではなく、復元に近い。
何だか文化財の復元作業をしている気分になる。
トランクを渡し、お客さんの顔を見る。
殆ど絶叫という声を上げ、あれが、こうなるの? すごいと言う。
そう、こうなるんだよ。
革製品は生き返ることが出来る。
請求書を見て、また、声を出す。
そんな代金でいいのですか?とお客さんは聞く。
意外な請求額だったらしい。
作業時間で代金を決めてしまうので、請求額には意外な場合もある。
8 4
深夜に身体を動かしている。町内を周回している。
町内には「しゃしゃんぼ」がある。その「しゃしゃんぼ」の前も通る。
午前2時、「しゃしゃんぼ」の駐車場に誰かがいて、ストレッチをしている。
駐車場でそんなことをする人は「しゃしゃんぼ」の人に違いない。
彼の前を横切る時に、僕はこつんと頭を下げる。
えっという感じでその男性は僕を見て、あー、先日はありがとうと言う。
こちらこそと僕は言い、またよろしくと付け足す。
彼は「しゃしゃんぼ」のご主人だった。
その「しゃしゃんぼ」に日曜日の夜10人ほどが集まり、打ち上げをした。
打ち上げは「円頓寺なつまつり」のイベントの打ち上げで、実にワイワイと騒いで過ごした。
「しゃしゃんぼ」には洋間の個室がある。
個室を提供してくれたのは、10人の隔離が必要だったせいかも知れないけれど、非常に感じのいい部屋で、
まあ、気分良く過ごすことが出来た。
円頓寺のイベントは土砂降りで始まる。
土砂降りのせいで車に荷が詰めず、責任者の僕が1番遅れて到着する。
土砂降りの割に人出では多く、土曜日、日曜日と絶え間なく人が来る。
すると、疲れてしまう。
昨日は、疲れを癒すために休もうかと考えていたのだけど、円頓寺で材料を予想以上に消化したので、
革の裁断をして過ごす。実は、今週の週末から「名古屋城宵祭り」が始まる。
このイベントは、円頓寺のイベントと比較しても仕方がないほどに大きなイベントで、当工房は初参加になる。
名古屋城自体、体験ブースを設置したことがないので、
おまつりの中での体験がどんなものかというテストの意味合いもなくはない。
少しばかりのプレッシャーはある。
ただ、円頓寺のイベントと同様で、僕には多くの弟子がいる。
この人たちが、本当に頑張ってくれる。
時々、人生に誇れるものがあるのかと聞かれたら、僕には弟子がいると答える。
ここに集う幾人もの人は、僕の誇りかもかも知れない。
人生は、贅沢なものです。