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連休気分が続いたせいか、曜日の感覚がどうにも希薄だ。
休みなどありはしないけれど、気分はどうも休日で、困った。

先日、時計やさんが来て、その依頼の仕事をこなしていた。彼は年に何度か時計のベルトの制作を僕に頼みに来る。
彼は時計ベルトで困ると、最後の手段という感じで僕の工房に来る。
僕は断ることがない。
で、知ったのだけど、時計ベルトを作る職人さんがいると言う。
こんな時計ベルトは彼等には出来ませんよ。などと彼は言う。
お褒めの言葉と聞いていたけれど、おそらくはそうではなく、僕と職人さんでは思考することが違うだけのことで、
おそらくどちらがいいということではないだろう。ただ、時計屋さんは、余程、嬉しかったらしく、僕に饅頭をお土産にして持参してくれた。

鞄職人さんが僕の作る鞄を見て、どんな感想を抱くかは知らない。

時々、僕は鞄職人と間違われることがあるけれど、僕は鞄職人ではない。
お間違えのないようにお願いします。


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連休は終わる。

連休中は休日気分で工房で作業をする。
毎日、誰か遊びに来たり、作業をしに来たりする。
久しぶりに生田目君も来る。久しぶりにバイクで来る。

先にトヨタポルテのCMについて書いたのだけど、さすがというかトヨタのテレビCMの威力はすごいもので、
僕の生徒はみんな見たと言う。


ところで、
あのCMののアシカはは南知多ビーチランドのアシカ。
だから、ビーチランドにセットを組んでの撮影になる。
鞄はアシカ用と人用のふたつを制作。
人がジャグリングをしている鞄とアシカが鼻の先で運ぶ鞄は同じに見えるけど、実際は違う鞄です。
 
この仕事にはドタバタがあった。
鞄をふたつ製作したのもこのドタバタのせい。
アシカは人ではないので、予定のとおりには進まない。

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連休が始まろうとしている。

先日、「世にも奇妙な物語」を観ようとビデオで録画。深夜、それを観ていて、おおっと声が出た。
声が出たには「世にも奇妙な物語」にではない。番組の最中のテレビCMにだ。
それはトヨタ、ポルテのCMで、アシカがジャグリングをしているあの場面。
そのジャグリングをされている鞄は、実は、僕が製作をしている。
だから、ある時期にはその鞄はこの工房に転がっていた。
そう、紛れもなく、3月にはここにあり、そして、現在はテレビコマーシャルで時々テレビ画面の中にある。
これは妙な気分に僕をさせる。

アシカは人ではないので、丸い鞄がいるとある人から話があった。こんな鞄でこんな色の鞄がいるとその人はイメージ画を見せて言う。
作ってくれませんか?
いいですよ。と僕は言い、ひどく簡単に話はまとまる。
どうも、アシカが鼻の先に鞄を乗せるらしい。だから、まん丸でないといけない
まん丸でないと、アシカは扱えないらしい。だから、まん丸の鞄が欲しい。

簡単に受けた話は、実は注文主に渡す日まで完成はしなかった。
僕のデザインに致命的なミスがあったみたいで、鞄が鞄にならず、困った記憶がある。
困った割には焦りもせず、カンであることをして、ミスをミスにせず、完成させたのは午前6時ぐらいだった。
こうした場合のカンは、やはり経験のお陰なのだろう。