10月19日

父の二七日をすます。時間は実にすばやく過ぎている。

今日は天に感謝したいほどの秋晴れで、工房にいるのが勿体無い。といっても外出せずに過ごしている。
季節は加速度を付けて過ぎて行くのが分る。

10月14日

ある雑誌社から電話があった。次にある小学校から電話があった。さて、また慌しく毎日が過ぎる。

本日、雨が降り、寒くなる。

10月10日

8階の病室から夜景を見ていた。
夜景の中、夜間飛行を終えて着陸する飛行機の明かりがとても大きく見えた。直線を描く光源は街並みの明かりの中に埋もれ、
やがては夜景のなかのひとつの点になる。そこに名古屋空港があるのだ。
4月、そこから僕の娘がロンドンへと留学に出かけたものだった。病室でそうしたことを思い出していた。
娘は未来を生きるための糧を得るためにロンドンへと旅立ち、病室には老いた父が寝息をたてている。
父の病は重く、命に明かりがあるのなら、明かりは病の重さに耐える力はないのだろう。僕はため息をつくしかない。

この1週間は、人生の中でもっとも時間の感覚をなくした1週間だった。
告別式が済み、どれほどの時間が過ぎたかとカレンダーで確認している。母を連れ、田舎の寺まで出かけたのは昨日の午前だった。
と気が付いたのもさっきのことだ。突然に始まった仕事はまだまだ終わらないな。とため息をつく。