日本特撮映画史
SF匕ー口ー列伝
第72回コズミックマンの巻 創美研究所
昭和41年7月10日、ウノレトラQに続く空想特撮シリーズ第二弾として登場したウノレトラマソは、これまでの等身大ヒーローとは全く異なる新しいヒーローであり、ウルトラマンコ●モスに至るまでの35年間の間、世代を越えたヒーローでありつづけた。そして宇宙から来た正義の変身ヒーローとしての基本設定をおさえつつ、ウノレトラマソという名前を持たないウノレトラマソ外伝ともいえる作品「コズミックマン」が登場した。しかし平成13年10月12日、7時の時報と共に放映されたコズミックマン第一話はこれまでのウノレトラマソ像を期待していた視聴者に衝撃を与えるものであった。コズミックマンがこれまでのウノレトラマソとどの様に異なっていたのか、まずは第一話から紹介していこう。ただし本作品を味わうに当たって、過度な紹介は未見の読者の楽しむものであるため、今回は簡単な紹介だけにとどめたいと思うのであしからず。
「星人交代」(脚本 夜多寝会、監督 小田桐孝一)平成13年10月12日放映
時は22世紀。突如として第2の月が出現し、世界各地に怪獣が現れるようになった。怪獣の力は強く、人類のいかなる武器も通用しない。そして人類滅亡とも思われたその時、コズミックマンが現れ怪獣たちを倒してゆく。それから25年、怪獣の出現を事前に察知する怪獣予報器の開発、コズミックマンと地球防衛組織CATの活躍により怪獣の危険性はなくなり、怪獣とコズミックマンの戦いはイベントと呼ばれる娯楽となった。
そんなある日、皆が避難して人気が無くなったイベント発生地区に現れた男がいた。その男「久我実広信」は、他人の家に入り込むと金目のものを物色し始める。なんと久我実は火事場泥棒だったのだ。盗みのあとには逃げ遅れた少女(演じるは神崎麗美。子役の頃からならした彼女の初の濡れ場はファン必見)をだまくらかして犯す久我実。
しかし余計なことに時間をとられ久我実は怪獣とコズミックマンの戦いに巻き込まれてしまう。いつもなら怪獣を難なく倒すコズミックマンであったが、今回は怪獣に打ちのめされついに倒される。その現場に行った久我実は瀕死のCAT隊員「早川仁」に出会い、死に際の彼に「これを捨ててくれ」と光り輝くクリスタルを渡された。だが久我実は早川の遺言を無視してクリスタルを勝手にもらい受けて身につけた時、クリスタルよりまばゆい光が発し、久我実はコズミックマンへと変身してしまうのだ。そうこのクリスタルこそ、コズミックマンへと変身するためのアイテムだったのだ。
コズミックマンとなった久我実の頭にひびく星人アレンと名乗る声。彼は危機に陥った人類のためにコズミックマンとなる力を人類に授けた宇宙人であり、怪獣と戦うため久我実の体を貸して欲しいという。だが、アレンに不信感を憶えた久我実はアレンの精神を封じ込め、再び現れた怪獣を倒し、ついにコズミックマンの力を己のものとする。
つづく第2話では地球防衛組織CATに押し込み、コズミックマンとして地球を守る変わりになんと金と女を要求する悪党ぶりを発揮。悪党の手に渡ってしまった正義の力。人類の未来はいかに!
・・・・このまま続けようかと思ったけど、面倒くさいし、うまく書けないし、それ以前にSFヒーロー列伝っていっても若い人は知らないだろうから、やめ。
まぁ、ここまで読んで判るように本作はウルトラマンのパロディです。怪獣と戦う宇宙から来た正義の巨大ヒーロー、その正体は地球防衛組織の隊員。ウルトラマンシリーズの基本設定を押さえつつ、主人公が悪党というウルトラマン80の「先生がウルトラマン」を越える新機軸をくわえています。
パチモンシリーズ1作目のぱちもそがドラえもんのパロディとしつつオリジナリティあるシナリオであったのと同様に、本作も鬼畜なウルトラマンというところから始まって、主人公の生い立ち、そしてコズミックマンや怪獣の謎等々、多くの要素を絡めた物語が展開される。私には脚本の夜多寝会氏はCG作家というイメージがあったのだが、ぱちもそや本作を見ると氏は優れたストーリーテラーであり、一連の破綻のないキャラや世界の設定、細かい伏線、主人公とCAT隊員たちとの交流、エンディングへの流れは見事であった。このあたりはぱちもそからさらに磨きが掛かったといえるだろう。
尚、かなり重くシリアスだったぱちもそに比べると明るい雰囲気であり、ウルトラマンならではの欠番ネタや、主人公とヒロインの1人の「麻由美」とのかけ合い、憎めない野郎キャラなど笑いの要素もふんだんにある。ギャグも行き当たりばったりではなく、ちゃんと伏線が張られているところもうまい。もちろんシリアルとコミカルのバランスはちゃんと取れています。
さて、人類を救う変わりに女を要求する主人公という設定から鬼畜ゲーの雰囲気がしてきますが、実際は鬼畜っぽさは微塵もありません。Hシーンも頻繁にありますが、脅して力ずくで無理矢理とかはなく和姦ばかり。雑誌の紹介などを見て鬼畜を期待してプレイするとかなりがっかりするかもしれません。これが鬼畜なスーパーヒーローというアリスソフトのランスのようなものをテーマにしたものならば全然温い駄目ゲーですが、プレイしていくにつれて本作が、悪党として登場した主人公が彼の生い立ちと絡めつつ主人公とCAT隊員たちとの交流でどう変わっていくか、という物語であると感じましたので問題なし。
でも主人公の嗜好もあってHシーンは明るい雰囲気ながらもかなり濃厚なエロが展開します。Hの細かい描写やバリエーション、バランスの良いCGなどは実用性もあり、そっちを期待する人にはお勧め。以前より汁気は少し減りましたが、顔射したあとのプレイでもちゃんと顔にナニが残っているのが個人的にツボ。1人のヒロインに複数回のHシーンが用意されており、さらにただやるだけではなく、Hの最中も女の子とのやりとりがちゃんとあるところも○。ちなみにHシーンはHPで公開されているパッチを当てることによりシーン再生できます。
ここでおそばせながら基本的ゲーム構成を説明しますと、全13話(当然のごとく欠番あり)のADVで、毎回の怪獣との戦闘がSLGというかボードゲーム形式となっています。シナリオ分岐はADVでの選択肢と怪獣との戦闘結果により起こり、エンディングは4人のヒロインそれぞれとプラスα。選択肢の数は多くないので攻略ルートはすぐにわかると思います。
ボードゲーム形式の戦闘は、初めは怪獣SLGってことで20年くらい前に出たバンダイのウルトラマンやモスラ対ゴジラ、SPLの怪獣征服などのボードSLGを想像していたのですが、一見SLGっぽいものの実際はいくつかの単純なルールを組み合わせた攻略性が強い詰め将棋的パズルゲームでありました。これはこれで面白かったですけどね。
ただしゲームの思考ルーチンはそれほど複雑ではないと思うのですが、妙に処理に時間がかかるのが×。ユニットを選択するだけでも処理に数秒の時間がかかり、さくさくとプレイするというわけには行きません。もちろん高速なマシンを使えばその処理時間は短縮されるわけですが、この程度のゲームでそれほどマシンパワーを要求するのは不自然な気がします。
ということでシナリオ&CGについては満足なのですが、不満足な点をあげてみます。
まず今も書いたように戦闘シーンの処理の遅さ。それ以外にもセーブ&ロードの遅さもあり、またインターフェイスもあまり良いとはいえません。処理が早くて悪いことはないのでプログラマーの方もがんばってください。
戦闘シーンがパズル的なのも良いのですが、怪獣対ヒーローという燃えるシチュエーションながら怪獣の魅力が全然ないのがどうにも。人間ドラマに力を入れすぎて、怪獣が単なる障害物になっているのが残念。せめてちゃんとCGで姿を見せてくれるとか(怪人と呼ばれるものは立ちCGで登場するが)、その怪獣独特の攻撃を仕掛けてくるとかしてくれれば怪獣にも愛着が湧くのに。
ついでにかなり趣味的なところではありますが、毎回流れるOPムービーがいまいち。単独で見ればそれほど悪い出来ではないのだが、コズミックマンにおいて本編にオリジナリティを求めるなら、こういう遊びの部分にパロディ要素をもっと詰め込んで欲しかった。まず光と共にタイトルが出て、イントロが始まりサブタイトル、主題歌は少年合唱団で(18禁ゲーで少年はまずいが)、スタッフロールの背景は怪獣やメカの切り絵風シルエット、最後に「○○怪獣××登場」で締め。やっぱりウルトラマンといったらこれでしょう!パッケージにはウルトラマンやセブンのOPに登場するような例の怪獣のシルエットの絵が描いてあったので期待していたのに・・・・。とにかく全体的に「怪獣」の印象が弱いのが残念・・・(01.10.17)
評価:79
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