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魄冬  Zenos

 山に囲まれた田舎町「美門町」。その町で毎年大晦日から正月にかけて行なわれる儀式「五日夫婦」の役に選ばれた主人公とその幼なじみ。この儀式は南北朝時代のある悲劇が発端となって始ったのだが、儀式の日が近づくにつれ主人公は不思議な夢を見るようになり、さらに儀式の関係者に別の人格が現われだす。

 といった感じの、因縁物っす。この手のパターンって輪廻転生、奇祭、伝承などいろいろありますが、結構ゲームのネタに使われることが多いですね。魄冬の場合、南北朝、新田、公家、陰陽道、魄といった色づけの部分はほどよく仕上っているのですが、残念なことに肝心の悲劇ってのが単なる痴話喧嘩。舞台設定も生かせておらず、江戸時代でも明治時代でもいつでもいいような話になっているのが駄目。まぁこの手の因縁話っていうと情欲、愛欲が元ってのが実際多いんですけど、今回の場合あまりにもありがちな三角関係&横恋慕な展開だったんで、できればゲーム的にもっと凝った展開になってくれると楽しかったと思う。たとえば輪廻の記憶があいまいで、誰が悪人かはっきりしないとか(「ぼくの地球を守って」パターンですな)。途中の選択肢で犯人が変わるようにすれば、マルチシナリオ、マルチエンディングで楽しめると思うんですが。
 魄冬は基本的に一本道でエンディングに関わる選択肢は2つだけ、途中の展開もメインの2人ではほとんど変わらず。しかもHappyEndを見て最初からプレイしなおさないと次のキャラのシナリオへの分岐が現われないというシステムのため、同じテキストを何度も読むことになるのがちょっと辛いですね。少なくとも1回めは展開がどうなるのか楽しめたのですが(オチはあっけなかったけど)
 あと気になるのが舞台となる田舎町。CGの背景の雰囲気はなかなかひなびた感じがしていいのですが、実際に登場する場面が少ないことと登場する町の住人がほとんどいないってのが何か変。話の展開で必須の場面、人物しか出てこないんです。フォークソングとか他のゲームにも言えることですが、もっとわき役を立たせることにより舞台にリアリティというか生活臭ってのが出てくると思うんですよね、特に大人とか年寄。せめて台詞の多い主人公の父ちゃんくらい絵を出してもいいと思うのに・・・・
 絵ということでは前述のようにCG背景はディティールが細かく田舎の雰囲気をよくだしていると思います。で、キャラのほうは黒目がちな目が好みなんですが、ヒロインのあかね、謎の少女がやたら童顔、体形は子供。主人公たちは学校を卒業しているそうだけど、もしかして中卒?それだと納得行きます(^^)
 関係ないけど、主人公はちゃんと顔の設定があるんですが、ゲーム中では顔が出てこないんですよねぇ。なんでだろう。

 ということでトータルで見るとほどほどの出来だったのですが、謎の少女と敵役の2人がいい味出してます。謎の少女、外観はまるで某ホ○ノルリですが(でも前髪が長いので、こっちの方が可愛い)、頬を赤らめてる顔がちょっとかわいいです。もうちょっと彼女の活躍が見たかったですが・・・・
 そして楽しいのが敵役。お歯黒野郎と呼ばれつつもお歯黒をしていないのが残念ですが、根っからのスケベ野郎でいい感じ。特にBadエンドでは外道具合は最高で、まさにBad。もっと彼の活躍も見たかったです。こういう他の男にヒロインが手込めにされちゃう寝取られパターンが嫌いな人も多いようですけど、私はそれだけで元を取れたなって・・・(^^;←外道  (00.2.3)

評価:75

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