「オートレース構造改革」に見るオートレースの現状



(2)場外発売の増加について

    
    昨年のオートレース構造改革で一番変化したことの一つに場外発売の増加が挙げられます。
    場外発売が大幅に増加したことにより川口を除く5レース場では、地元の主催レースが減りました。
    伊勢崎と浜松、飯塚の本場開催日数は年間88日、船橋が72日、山陽に至ってはわずか56日となりました。川口は当
   初120日を予定していましたが、山陽に8日間譲り渡し、112日間の開催です。わかりにくいので下の表を参考にしてくだ
   さい。

          レース場       本場開催     場外発売    合 計
           川 口         112       139     251
           船 橋          72       143     215
             伊勢崎          88       213     301
           浜 松          88       112     200
           山 陽          56       253     309
           飯 塚          88       242     330 
  
     ご覧のように、場外発売を増やし、本場の開催を減らす傾向が強く見られます。では、なぜ場外発売を重視し、本来の
    本場開催を減らすのか、そして一部で収益好転と報じられている仕組みはどうなっているのか考えていきます。
     
     昨年のオートレース改革の前までは、場外発売の売り上げに関わらず、経費はすべて開催地が支払う方式でした。
    レース場の売り上げの4%を場外発売レース場の利益とし、その他は一旦本開催場の利益となります。そして、場外発
    売に掛かった諸経費は、全額本場開催地が支払う形式です。この方法ですと、4%を差し引いた利益より、諸経費の方
    が高額になることも起こります。したがって場外発売をしているレース場は、どんなに売れなくても経費はもらえますので
    赤字にはならず安心ですが、開催地としては、売り上げの悪い場外発売場の赤字を抱え込むことになります。つまり、場
    外発売を依頼するのにも一長一短の危うさを含んでいます。
     
     それに対して改革後の方式は、売り上げの15%を場外発売場が差し引き、単純計算上、売り上げの10%(売り上げ
    の75%は配当) を開催主催地の収益として計上し売り上げの15%で諸経費を含む場外発売場の利益としました。
     したがって経費を低く抑えれば、場外発売場の利益も大きくなり、本開催場も他場の経費超過による赤字にはならず
    売り上げの大小に関わらず、必ず売り上げの10%は収益となり、赤字にはなり得ません。
     また逆に、場外発売場はその経費を低くすることによって利益を出す努力が必要です。
     
     川口なども昨年来、場外発売での一部発売窓口の閉鎖など、経費削減に努めていることはお気づきのとおりです。
     全国のレース場でも同様の経費削減努力がなされていることでしょう。
     このように、経費削減により簡単に利益の上がる場外発売を増やす傾向は、来年度以降も一層顕著になる見込みで
    す。
     
     しかし、本当の意味でこの傾向がファンのためになるのか疑問は残ります。やはり、「生でレースを見たい」と思うのは
    当然であり、またこれだけ場外発売や本場レースが連日続くことが逆にオートレースファンにとって良いことなのかどう
    かは大いに疑問です。連続開催に伴う入場人員の減少も顕著です。これ以上本場のレースを減らされるのもファンとして    
    は残念でなりません。
     主催者の利益優先だけのオートレース改革とならないように今後の動向を見守る必要があります。