私たちの『ホーム』を・・・・取り返し・・・て・・・・・・

Parttime−Lover


「なぁ、君島〜。ハラ減っ・・・」
「あぁ〜、今日何回呟けば気が済むんだぁ?」
君島はカズマの『ハラ減った』発言を数十回聞いていたために、ウンザリして答えた。
二人は今、とあるチームの建物の中に潜入していた。目的は、この建物の奪還。


それは、昨日の雨の日であった。
玄関に置いてある物が濡れると思い、君島が外に出ようとドアを開けると、いきなり何者かがなだれ込んで来たのである。
「お、お願い・・・・。私たちの『ホーム』を・・・取り返し・・・・て・・・・・・・・」
「お、おい・・・・!」
その者は言いたいことを言うと、玄関に倒れてしまった。君島は仕方なしにその人を介抱すると、詳しい事を聞き出したのだった。
その人・・・彼女の名前はローラ・プロトコル。チーム『レディ=サイクス』のリーダーで、地元では知らぬものはいないほどのアルター使い。
そのローラがボロボロの状態で自分の元にやって来た。事情を聞かずにはいられなかった。
「おい、ローラ。何であんなに傷だらけだったんだ?」
「私のチームに、アルターの森の動物が入り込んだの。それを、元の場所に戻そうとしたんだけど・・・・・・」
「返り討ち・・・・・か」
「えぇ・・・・・。地元で最強を誇っていた私が恥ずかしいわ。チームにいたほかの人間は安全な所に連れて行った。」
ローラは君島の目をじっと見つめる。
「後は、『ホーム』を取り返すだけなのよ・・・・・」
「それで、俺のところに来たって訳か」
「それもあるけど・・・・・」
ローラはムクッと起き上がると君島に顔を近づける。
「アンタと仲直りしてあげようと思ってね?」
「いいいいいいいい、いきなり近づくなよ!!」
「フフ、冗談よ。私だって、いつまでもアンタの事引きずってられないしね。私がアンタのとこのに来たのは、アンタがものすごく強いアルター使いと組んでるって話を聞いたからよ」
「カズマ・・・・・・か」
「そうよ。改めて言うわ。アンタとそのカズマってやつに依頼する」

   「私たちの『ホーム』を取り戻して」

翌日、君島はカズマの所に赴き事と次第を告げて、今に至るのであった。


「カズマぁ、何か気配感じたか?」
君島はカズマの様子を見ながら尋ねた。
「い〜や。何にもねぇ。ていうか、気配があったらお前に言ってるよ」
カズマがぶっきらぼうに返事を返す。
「あぁ、判っちゃいるけどな。こう、何も変化がないってのも変だなーと思って」
君島も、ぶっきらぼうに返す。
そう、二人が此処に潜入してからかれこれ3時間は経っていた。さすがの二人も、全く異変がないのでいったん戻ろうとした・・・・その時であった。

   「グルルルルル・・・・・・・」

二人の眼前に、大型犬の2倍はあろうかという巨大狼がいた。その狼は、灰色の体毛を逆立て真っ赤な瞳でこちらを見据えている。カズマと君島は直感で悟った。コイツが例の動物だと言う事を。
「君島、どっか適当な所に隠れてろ」
「OK、判った!頑張れよ!!」
カズマは、君島が近くの物陰に隠れたのを確認すると、目の前の狼に向かって右腕をかざした。
「さぁて、元の家に帰してやるからな。おとなしくやられろよ!」
カズマが叫び終わると、彼の輪郭が虹色に発光していった。そして、右腕が粉々になったかと思うと、アルターによって再構築された『シェルブリッド』が現れる。
「早速いくぜぇ!?衝撃のぉ、ファーストブリッドォォォォ!!」
彼の背中にある羽がパキパキと音を立てて壊れ、眼前の狼にシェルブリッドが炸裂した。しかし・・・・・・

   「ギュオオォォォォン!!!」

炸裂したハズのシェルブリッドは狼の手前で止まっていた。否、止められていた。
「何っ!?」
カズマの右腕を止めていた物は何とシェルブリッドであった。
「お、オレのシェルブリッドが・・・・・!!??」
カズマは混乱しながら後ろに引いた。
そして、そのアルターの全身を見る事になった。
その狼のアルターはカズマであった。赤茶色の髪に金の瞳。そして何よりの証が右腕に装着されているアルターであった。
「う・・・嘘だろ?こいつぁ、やっかいだぜ・・・」
カズマがぽつりと呟くと、狼とアルターが同時に攻撃を仕掛けてきた。


 → to be continued.....





平野如月さまコメント→
元々は短編だったのに、何故か長編になったもの。
ごめんなさい×5・・・・・・。次も終わりそうにないです・・・・。
本当にごめんなさい・・・・。



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