和田 一浩(わだ かずひろ) 1972年6月19日生まれ・右投げ右打ち

 県岐阜商高から東北福祉大、神戸製鋼を経て96年ドラフト4位で西武ライオンズに入団。入団時は捕手で1年目から14試合にマスクを被ったが、打率.190と打つ方は厳しかった。それでもファームでは53試合で打率.290、7本塁打、37打点と好成績で期待感を残した。2年目はファームで打率.311、11本塁打と数字を伸ばした。一軍でも36試合ながら打率.333で3本塁打と打撃の良さをアピール。正捕手・伊東の壁は厚かったが、この年は捕手18試合の他、外野で13試合に出場し現在につながる形が垣間見えている。

 3年目も20試合で打率.271とまずまずだったが、出場機会が大きく伸びる事はなかった。この年もファームでは打率.298、12本塁打と打棒を振るった。00年になると、打力を買われて一塁や指名打者での先発出場が増え、自己最多の52安打で打率.306をマーク。5年目の01年は82試合で63安打とさらに数字を伸ばし、特に前年1本だった本塁打を16本放って注目された。この年の本塁打王・中村(近鉄)が12.2打数に1本塁打だったのに対し、和田は12.8打数に1本と遜色のない内容だった。

 02年はついに開幕からレフトの定位置を確保。5月下旬から左膝靭帯の負傷で1か月近くの離脱はあったものの、8月には月間14本塁打と猛烈な巻き返しもあり、打率.319に33本塁打の活躍で初のベストナインに選ばれた。03年も自己最多の162安打で打率.346に30本塁打と前年の活躍が実力通りである事を証明。04年は3年連続30本塁打にアテネ五輪出場。五輪では全9試合に出場して2本塁打を含む11安打で打率.333をマークした。
 そして05年は打率.322で首位打者、合わせて最多安打のタイトルも獲得した。05年はヒット1本足りずに連続3割が4年でストップしたが自己最多の95打点で5年連続ベストナインに選ばれた。06年は3割打者に返り咲いたものの、49打点と打点が前年から半減。「チャンスに弱い」と批判も受けた。

 07年オフにFA権を行使して中日ドラゴンズに移籍。移籍1年目は6度目の3割に74打点とまずまずも、16本と本塁打数の減少はなお続いた。02年の33本をピークに減り続けた本塁打がついに盛り返したのは09年。前年の倍近い29本塁打を放ち、87打点に7度目の3割と健闘。そして移籍3年目の09年は38歳にして自己最多の37本塁打を放つ活躍。打率.339に93打点も共に自己2番目の好成績でチームの4年ぶりとなるリーグ優勝に貢献し、見事にMVPに選ばれた。
 11年はこの年に導入された統一球の影響もあり、打率.232と前年から1割以上も打率がダウン。12本塁打も01年以降ワーストで、54打点も前年からは半減の数字だった。遅まきながら10月に月間打率.314をマークし復調を見せた。

 12年は2年ぶりに全試合出場で打率.285ながら8度目のベストテン入りを果たした。二桁本塁打は11年連続でストップしたが、32二塁打はリーグ2位だった。13年は打率こそ前年より下がったものの、18本塁打・76打点は11年以降最多と盛り返した。2000本に残り100本とした14年は6月までは打率.260と調子が上がらなかったが、7月に打率.397で月間MVPに輝く活躍。シーズン打率も.290まで引き上げ、8月最初の試合でも2安打して残り15本に迫った。しかし8月6日の試合で死球を受け右手を骨折。残り15安打で8月中の達成が確実視されていたが、以後の46試合を棒に振る事となった。

 15年は前年オフに行った右膝手術の影響で初出場が5月26日と出遅れた。それでも試合に出始めれば記録達成の日はすぐにやって来た。出場14試合目となる6月11日のロッテ戦で待望の2000本安打達成。以後もしぶとい打撃を見せ、79試合ながら打率.298と年齢を感じさせない数字を残した。しかし若返りのチーム方針もあり、この年限りで現役を退いた。

 04年に年間満塁本塁打3本。04年4月11日の西武戦でサヨナラ満塁本塁打。15年6月11日のロッテ戦で植松投手からレフト前ヒットを放ち、史上45人目の通算2000本安打達成。

 MVP1回(10)、首位打者1回(05)、最多安打1回(05)、最高出塁率1回(10)。月間MVP3回(06年8月、09年6月、14年7月)。ベストナイン6度(02〜06、10)受賞。オールスター出場6度(03〜05、08、10、12)。WBC出場1度(06)、五輪出場1度(04)。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
97 西武 17 21 2 4 1 0 0 5 2 0 1 0 0 4 .190
98 西武 36 51 8 17 2 0 3 28 8 3 2 0 4 11 .333
99 西武 20 48 5 13 2 1 0 17 3 3 1 1 3 8 .271
00 西武 55 170 20 52 10 0 1 65 24 9 0 3 16 17 .306
01 西武 82 206 36 63 7 2 16 122 34 5 5 2 23 23 .306
02 西武 115 439 64 140 25 2 33 268 81 5 2 3 28 74 .319(5位)
03 西武 126 468 87 162 34 5 30 296 89 8 0 3 69 46 .346(3位)
04 西武 109 394 79 126 21 1 30 239 89 6 0 4 75 59 .320(6位)
05 西武 129 475 80 153 32 3 27 272 69 3 0 5 62 66 .322(1位)
06 西武 131 484 72 144 34 2 19 239 95 3 0 4 78 84 .298(14位)
07 西武 138 501 77 158 23 1 18 237 49 7 0 2 45 65 .315(4位)
08 中日 136 520 60 157 34 4 16 247 74 1 0 4 36 71 .302(15位)
09 中日 144 517 73 156 24 4 29 275 87 5 0 5 70 56 .302(7位)
10 中日 144 505 94 171 29 2 37 315 93 5 0 5 92 77 .339(4位)
11 中日 131 444 49 103 24 4 12 171 54 6 0 4 74 64 .232(23位)
12 中日 144 508 52 145 32 2 9 208 63 2 0 6 72 72 .285(8位)
13 中日 142 495 63 136 21 2 18 215 76 2 0 7 79 63 .275(12位)
14 中日 90 302 40 85 12 2 16 149 65 2 0 5 49 38 .281
15 中日 79 218 16 65 8 0 5 88 26 1 0 0 16 40 .298
                                 
19年 1968 6766 977 2050 375 37 319 3456 1081 76 11 63 891 938 .303