鳥谷 敬(とりたに たかし) 1981年6月26日生まれ・右投げ左打ち

 埼玉・聖望学園高から早稲田大を経て03年ドラフト自由枠で阪神タイガースに入団。大学時代は2年春に2本塁打、10打点、打率.465で戦後11人目の三冠王に輝いた。4年秋にも打率.412で2度目の首位打者。べストナインにも2年春、そして3年春から4季連続と5度選ばれた。大学通算115安打は歴代8位の記録。

 1年目の開幕戦から先発出場を果たすが、この年は101試合で59安打の打率.251。レギュラーを確保するには至らなかった。翌05年は全試合出場で159安打を放ち、規定打席もクリア。06年は打率.289とさらに数字を伸ばし、15本塁打と長打力の向上も見られた。
 順調に数字を伸ばした2、3年目と比べ4年目の07年は数字が伸び悩み、一つの壁にぶつかった感があったが、08年は本塁打・打率こそ例年並みながら自己最多を大きく更新する80打点をマークして、中軸打者としての足掛かりを掴んだ。
 09年は開幕から3番に起用されるが、一時は不振で打順も変更になるなど苦戦。しかし、後半戦は復調して打率.288と06年に次ぐ数字を残し、本塁打も初めて20本台に乗せた。

 10年はチーム打率の球団記録を更新した強力打線の中核を担い、8月には打率.422で初の月間MVPに輝くなど自己最多の173安打。念願の打率3割を始めてマークすると共に打点も100の大台を超えるベストシーズンとなった。11年は統一球の影響で本塁打は5本と大きく減り、打点も前年からは半減したが2年連続の3割打者となり、自己最高の打率4位にランクインした。盗塁と四死球で自己最多をマークし、出塁率.395でタイトルを獲得。また、初のゴールデングラブにも輝いた。12年は本塁打・打点は前年より増えたものの、打率.262と05年のレギュラー定着以来最低打率に終わった。
 13年は3年ぶり二桁本塁打と4年連続二桁盗塁に打率も.282で2度目のベストテン入りと復調。リーグ最多の108四死球で自己最高の出塁率.402を記録し、2年ぶりにベストナイン・ゴールデングラブをダブル受賞した。

 14年は自己記録に迫る172安打と好調で、3年ぶり3度目の3割打者となった。この年オフに海外FA権を行使してMLB移籍を志したが、契約は成立せず阪神に残留。15年は打撃順位こそ前年と同じ7位だったが、3分以上も打率を下げるなど、ほとんどの打撃成績が前年を下回った。
 16年は打撃不振に陥り、7月24日はついに先発を外れて連続全イニング出場が667試合でストップ。その後はサードで先発機会を得たが、最後まで不振から抜け出せず打率.236と自己ワースト。かろうじて連続100安打は継続したが、苦しいシーズンとなった

 17年は本格的に三塁にコンバートされ、古巣の遊撃を守る事は1試合もなかった。打撃は打率.293で、2年ぶり5度目のベストテン入りを果たし復調。そして9月8日のDeNA戦で通算2000本安打を達成。阪神一筋では史上2人目、また大卒選手では歴代2位の年少記録となる36歳2ヵ月での達成だった。新ポジションのサードでゴールデングラブに輝き、好守に復活を印象付けた。
 18年は打撃不振が続き、5月末に連続試合出場が途切れた時点の打率が.143。最終的にルーキー時を下回る51安打の打率.232と、苦戦のシーズンとなった。

 19年は更に出場機会が減少し、19安打の打率.207と成績は下降。球団からは引退勧告を受けたが、現役続行を貫き千葉ロッテマリーンズに移籍した。移籍1年目の20年は42試合で5安打の打率.139と数字は残せなかったが、終盤戦で通算350二塁打を達成し中距離打者としての足跡を残した。
 21年には通算1000得点を達成。9安打を放ち、通算2099安打として18年の現役生活に別れを告げた。

 04年9月9日の対ヤクルト戦から18年5月27日の巨人戦まで歴代2位の1939試合連続出場。12年3月30日のDeNA戦から16年7月23日の広島戦まで歴代4位の667試合連続全イニング出場。13年7月17日の巨人戦から9月15日のヤクルト戦まで47試合連続出塁。17年9月8日のDeNA戦で井納投手から二塁打を放ち、史上50人目の通算2000本安打達成。

 最高出塁率1回(11)。ベストナイン6度(08、10、11、13〜15)、ゴールデングラブ5度(11、13〜15、17)受賞。月間MVP1回(10年8月)。オールスター出場7度(05、06、12〜15、17)。WBC出場1度(13)。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
04 阪神 101 235 28 59 13 0 3 81 17 2 2 0 24 66 .251
05 阪神 146 572 82 159 27 1 9 215 52 5 10 4 59 115 .278(23位)
06 阪神 146 543 65 157 28 2 15 234 58 5 4 0 62 111 .289(14位)
07 阪神 144 565 67 154 19 4 10 211 43 7 8 1 68 106 .273(23位)
08 阪神 144 523 66 147 17 6 13 215 80 4 5 5 72 85 .281(19位)
09 阪神 144 538 84 155 31 2 20 250 75 7 5 4 70 83 .288(13位)
10 阪神 144 575 98 173 31 6 19 273 104 13 2 5 69 93 .301(13位)
11 阪神 144 500 71 150 28 7 5 207 51 16 3 5 82 72 .300(4位)
12 阪神 144 515 62 135 22 6 8 193 59 15 5 8 96 91 .262(14位)
13 阪神 144 532 74 150 30 4 10 218 65 15 1 2 108 65 .282(9位)
14 阪神 144 550 96 172 28 2 8 228 73 10 1 4 89 80 .313(7位)
15 阪神 143 551 69 155 21 4 6 202 42 9 2 3 90 77 .281(7位)
16 阪神 143 449 49 106 16 1 7 145 36 13 1 6 77 80 .236(26位)
17 阪神 143 488 57 143 23 3 4 184 41 8 1 2 79 62 .293(8位)
18 阪神 121 220 15 51 11 0 1 65 22 1 3 3 35 37 .232
19 阪神 74 92 9 19 3 1 0 24 4 1 1 0 12 16 .207
20 ロッテ 42 36 5 5 2 0 0 7 6 0 0 0 3 8 .139
21 ロッテ 32 53 7 9 3 0 0 12 2 0 0 0 8 11 .170
                                 
18年 2243 7537 1004 2099 353 49 138 2964 830 131 54 52 1103 1258 .278