前田　智徳（まえだ　とものり）　１９７１年６月１４日生まれ・右投げ左打ち

　熊本工から８９年ドラフト４位で広島東洋カープに入団。１年目からウエスタンで.３０１を打ち、１軍でも５６試合に出場し打率.２５６と大器の片鱗を見せる。２年目の９１年はレギュラーに定着、規定打席をクリアし１０７安打を打って打率.２７１。

　翌９２年は前年の４本塁打・２５打点から１９本塁打・８９打点と大幅に数字を伸ばし、打率も.３０８（５位）をマーク。押しも押されもしない中心打者となる。この年から３年連続で３割を打ち、スーパースターへの階段を駆け上がっていたが、９５年５月２３日のヤクルト戦で１塁に駆け込んだ際に右足アキレス腱を断裂。以後のシーズンを棒にふる。

　この年以後度重なる足の故障に見舞われながら９６・９７年と連続３割打者。９８年は９月中旬まで全試合出場を続け、自己最多の１６９安打を記録。最後まで横浜・鈴木尚と首位打者を争った。結局２厘差の.３３５で、パウエル（中日）に３厘差だった９４年に続く２度目の２位。
　９９年は４年連続７度目の３割打者となり、チーム記録である山本浩二の７度に並んだ。００年は江藤が移籍した後の４番打者を任され、４月に１０本塁打と好スタートを切るが、足の調子がおもわしくなく後半戦は治療に専念。続く０１年も復帰に時間がかかり、２７試合で８安打に終った。

　０２年は３年ぶりに規定打席到達。球団新記録となる８度目の３割をマークし、４年ぶりの２０本塁打も記録した。前年の８安打、０本塁打からの復活でカムバック賞に選出された。０３年も２年連続の２０本塁打に５年ぶりとなる７０打点をクリアするが、打率は.２９０と規定打席以上では実に１２年ぶりの３割未満に終わった。
　０４年は６年ぶりに３割・２０本・７０打点を達成する安定した成績。かつて２０本以上が当たり前だった二塁打も６年ぶりの２０本台で足の調子の良さを感じさせた。

　０５年は近年の目標の１つでもあった全試合出場を１２年ぶりに達成。それもリーグ史上最多となる１４６試合制の年に全試合先発出場で達成したのだから価値があった。その結果、１７２安打と３２本塁打は自己最多であり、史上７人目となる１０度目の３割も達成するベストシーズンとなった。オールスターにも７年ぶりに選ばれ、第２戦では３安打２打点の活躍でＭＶＰを獲得した。
　０６年も４年連続１１度目の３割、５年連続８度目の２０本塁打と安定した成績。０７年は球団史上４人目の２０００本安打に加え、１０００打点も達成した。０８年は後半控えに回ったが代打成績.３７２と抜群の数字を残した。０９年は体調面の不安と監督構想からシーズンを通して一軍出場なしに終わったが、１０年は代打で両リーグ最多の１６打点と切り札的活躍を見せた。１１年も１１安打で１３打点と２年連続で代打の最多打点を残した。

　１２年は開幕から好調で常時３割台を維持。１６安打・１９打点は代打として両リーグ１位、通年打率も.３２７と見事な活躍だった。そして１３年も開幕から好調で、４月２１日まで９打数４安打４打点と過去３年を上回るペースで安打・打点を積み重ねていた。しかし、４月２３日の試合で死球を受け左尺骨骨折で長期離脱を余儀なくされた。９月下旬に引退表明し、２４年間の現役生活に別れを告げた。

　９８年８月６日から１１日まで５試合連続本塁打。０７年９月１日の中日戦で久本投手からライト前ヒットを放ち、史上３６人目の通算２０００本安打達成。

　カムバック賞（０２）。ベストナイン４度（９２〜９４、９８）、ゴールデングラブ４度（９１〜９４）受賞。月間ＭＶＰ４回（９２年９月、９８年４月・８月、００年４月）。オールスター出場７度（９３、９４、９６、９８、０５、０７、０８）、０５年第２戦でＭＶＰ受賞。