松井 稼頭央(まつい かずお) 1975年10月23日生まれ・右投げ左右打ち

 大阪・PL学園高から93年ドラフト3位で西武ライオンズに入団。高校時代は投手だったが、俊足・強肩を生かして内野手に転向。2年目に1軍デビューを果たし69試合で45安打、打率.221ながら21盗塁で失敗は1回と足のスペシャリストぶりを発揮。

 翌96年は全試合に出場し134安打で打率.283。リーグ2位の50盗塁をマークする。続く97年は大ブレイク。リーグ2位の178安打で打率.309(4位)、62盗塁で秋山幸二・佐々木誠に次ぐチーム史上3人目の盗塁王に輝く。この年オールスターにも初出場し、第1戦で1試合4盗塁の新記録を達成、全国に「快足・松井」の名をとどろかせた。また、この年はプロ野球史上歴代5位タイとなる13本の三塁打を放ち、ここでも快足ぶりを見せている。

 98年は3年連続全試合出場に2年連続リーグ2位となる179安打で打率.311(5位)。盗塁は43個と数は減ったものの2年連続でタイトル獲得。イチロー(オリックス)と同僚・西口を抑えてパ・リーグMVPに選出される。
 99年も32盗塁で3年連続盗塁王。さらに178安打で最多安打のタイトルも獲得した。翌00年は長打力に一層の磨きがかかり、23本塁打・90打点はチーム二冠。01年も5年連続3割、2年連続20本塁打、7年連続20盗塁と安定した成績を残した。

 02年は1番打者として各部門に自己最高の成績を残した。特に史上9人目となる「3割・30本・30盗塁」の達成は見事。日本人スイッチヒッターの年間本塁打記録を更新、さらに年間長打の日本記録を実に52年ぶりに塗り替えた。連続試合出場も順調に伸ばしてパ・リーグ記録の898を更新した。
 03年は打率2割台で低迷、盗塁数も伸び悩み自己ワーストの13盗塁に終ったが史上7人目の7年連続3割は達成した。また、リーグ新となる8年連続全試合出場を達成して連続試合出場は歴代5位の1143試合となった。
この年のオフにFA宣言してメジャーリーグのニューヨーク・メッツに移籍した。

 メジャー1年目は開幕戦でいきなり先頭打者初球本塁打を含む3安打と華々しいデビューを飾った。だがメジャーの水も甘くはなく、4月21日に3割を割ると二度と3割台には戻せなかった。それでも一時は2割3分台まで落ちた打率を徐々に回復して球宴後には最高で.278まで戻した。しかし8月以降は左足そして腰を痛めて故障者リスト入り。終盤に復帰したがトータル125安打で打率.272、14盗塁とやや不満の残る数字に終った。

 05年も2年連続で開幕戦初打席本塁打を記録するが、以後は調子が上がらず5月中旬以降は打率.250未満で推移した。故障にも苦しみ、守備中に左膝を痛めて6月中旬から2ヶ月の故障者リスト入り。復帰後は83打数25安打の.301をマークしたが、トータルでは.255と不本意な数字に終わった。
 勝負の3年目となる06年も38試合で打率.200と低迷し、シーズン途中にコロラドロッキーズへトレードされる事となった。結果的にこの移籍は松井に吉と出て、移籍後は32試合で.345と結果を残した。真価を問われた07年は開幕から好調で、一時腰痛で戦列を離れたもののMLB自己ベストの打率.288、32盗塁とチームのワールドシリーズ出場に貢献した。オフにFAでヒューストン・アストロズに移籍した。

 メジャー3球団目となるアストロズでの08年は3度の故障者リスト入りと怪我に苦しんだものの打撃は好調を維持し、5年目で最高の打率.293にチームで2番目となる20盗塁をマークした。09年も5月下旬に故障者リスト入りとまたも怪我に泣かされ、メジャー移籍後ワーストの打率.250に終わる。それでも自己最多の132試合出場で5年ぶりの規定打席到達を果たし、日米通算2000本安打も達成した。
 10年は開幕から打撃不振が続き27試合で打率.141と低迷し、5月には戦力外通告を受けた。その後ロッキーズとマイナー契約し3Aで82試合に出て打率.262を残したが、閉幕までメジャー復帰は出来なかった。この年オフに東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍、8年ぶりの日本復帰を果たした。

 8年ぶりの日本となる11年は139試合で140安打を放ち、打率.260で15盗塁。9本塁打・48打点は西武時代と比べると物足りないが、リーグ最多の34二塁打と中距離打者ぶりを見せた。8月には打率.333で9年ぶりの月間MVPも受賞。12年は腰痛で開幕一軍から漏れ、4月中旬に復帰したものの5月には右手首痛、7月にも体調不良で登録抹消され規定打席不足で107安打止まり。それでも打率.266・9本塁打・43打点・14盗塁とほぼ前年並みの数字を残した。13年は2年ぶりに規定打席に到達して111安打を放ったが、打率は.248と苦戦した。打率は低かったが、復帰後最多の58打点に堅実な守備でチームの日本一に貢献した。

 14年も6月末で打率.244と前年並みだったが、7月以降に巻き返し03年以来となる.291でベストテン入りを果たした。特に8月は打率.380を残して6度目の月間MVPに輝いた。チーム事情で本来の遊撃から三塁、そして終盤は外野で先発出場し、2000本安打まで80本とした。
 そして迎えた15年、開幕から順調にヒットを積み重ねて出場85試合目となる7月28日のソフトバンク戦で通算2000本安打を達成。最終的に2034本まで伸ばし、柴田勲の2018本も抜いてスイッチヒッターの歴代最多安打も記録した。他にも1000得点・400二塁打・3000塁打・350盗塁を達成し、記録ラッシュの1年となった。

 16年は開幕から18打席ノーヒットと苦しいスタート。6月上旬からは再調整で2ヶ月の登録抹消もあった。結局56試合で34安打の打率.213と、NPBではワーストの成績に終わった。17年はさらに出場機会が減って44試合で16安打の打率.211。それでも6月13日のヤクルト戦では3安打5打点と印象に残る活躍も見せた。オフに自由契約となり、古巣の西武へ15年ぶりに復帰した。
 18年は30試合で6安打どまりだったが、日米通算安打数は2700本を超えて2年ぶりに盗塁も記録。10年ぶりとなるリーグ優勝を花道に、この年限りで現役を退いた。

 00年6月7日の近鉄戦でサイクルヒット達成。00年9月12日の日本ハム戦、01年8月20日の日本ハム戦、03年8月1日の日本ハム戦で左右両打席本塁打。02年5月10日と11日のオリックス戦で史上7人目の2試合連続サヨナラ本塁打。02年に年間サヨナラ本塁打3本のリーグタイ記録。02年に年間88長打の日本記録。09年8月15日のブリュワーズ戦で日米通算2000本安打達成。15年7月28日のソフトバンク戦で中田投手からセンター前ヒットを放ち、史上46人目の通算2000本安打達成。

 MVP1回(98)、盗塁王3回(97〜99)、最多安打2回(99、02)。ベストナイン7度(97〜03)、ゴールデングラブ4度(97、98、02、03)受賞。月間MVP6回(96年9月、99年9月、02年6月・9月、11年8月、14年8月)。オールスター出場9度(97〜03、13、15)、97年第1戦と01年第1戦でMVP受賞。日本シリーズで97年に敢闘賞受賞。WBC出場1度(13)。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
94 西武 一軍出場なし                        
95 西武 69 204 25 45 9 1 2 62 15 21 7 1 7 26 .221
96 西武 130 473 51 134 22 5 1 169 29 50 26 2 17 93 .283(9位)
97 西武 135 576 91 178 23 13 7 248 63 62 18 2 49 89 .309(4位)
98 西武 135 575 92 179 38 5 9 254 58 43 6 4 56 89 .311(5位)
99 西武 135 539 87 178 29 4 15 260 67 32 8 6 56 75 .330(2位)
00 西武 135 550 99 177 40 11 23 308 90 26 6 7 48 60 .322(5位)
01 西武 140 552 94 170 28 2 24 274 76 26 4 5 52 83 .308(9位)
02 西武 140 582 119 193 46 6 36 359 87 33 9 3 57 112 .332(3位)
03 西武 140 587 104 179 36 4 33 322 84 13 3 6 59 124 .305(14位)
11 楽天 139 538 51 140 34 2 9 205 48 15 4 3 27 94 .260(22位)
12 楽天 106 402 55 107 22 4 9 164 43 14 3 1 27 55 .266
13 楽天 125 448 55 111 26 2 11 174 58 1 2 4 43 85 .248(30位)
14 楽天 128 444 57 129 32 3 8 191 46 9 2 5 37 78 .291(9位)
15 楽天 126 445 52 114 17 1 10 163 48 14 7 3 46 82 .256(22位)
16 楽天 56 160 19 34 6 1 2 48 13 3 0 1 18 42 .213
17 楽天 44 76 6 16 2 1 2 26 10 0 0 0 7 23 .211
18 西武 30 39 8 6 1 0 0 7 2 1 0 0 2 10 .154
                                 
日本18年 1913 7190 1065 2090 411 65 201 3234 837 363 105 53 608 1220 .291
                                 
04 メッツ 114 460 65 125 32 2 7 182 44 14 5 2 42 97 .272(53位)
05 メッツ 87 267 31 68 9 4 3 94 24 6 5 4 19 43 .255
06 メッツ 38 130 10 26 6 0 1 35 7 2 3 0 6 19 .200
ロッキーズ 32 113 22 39 6 3 2 57 19 8 1 2 10 27 .345
07 ロッキーズ 104 410 84 118 24 6 4 166 37 32 8 1 34 69 .288
08 アストロズ 96 375 58 110 26 3 6 160 33 20 7 3 37 53 .293
09 アストロズ 132 476 56 119 20 2 9 170 46 19 16 4 37 85 .250(68位)
10 アストロズ 27 71 4 10 1 0 0 11 1 1 2 0 5 10 .141
                                 
MLB7年 630 2302 330 615 124 20 32 875 211 102 47 16 190 403 .267
                                 
  日米計25年 2543 9492 1395 2705 535 85 233 4109 1048 465 152 69 798 1623 .285