金本 知憲(かねもと ともあき) 1968年4月3日生まれ・右投げ左打ち

 広島・広陵高から東北福祉大を経て91年ドラフト4位で広島カープに入団。1年目はウエスタンで73試合に出て9本塁打、打率.241。一軍では5試合でヒットなしに終った。翌93年はウエスタンで.278と進歩を見せ、一軍でも8月に初安打、9月に初本塁打を記録した。3年目の94年後半から一軍でスタメン定着を果たし7月以降だけで15本塁打と飛躍のきっかけを掴む。翌95年は初の規定打席到達で打率.274、24本塁打の成績を残し定位置を確保した。

 96年に初の3割をマークすると97年には2年連続3割と初の30本塁打をクリアして中軸打者としての地位を確立。98年は打率.253、21本塁打と壁にぶつかるが99年には初の全試合出場を果たし自己最多の34本塁打、94打点と復活。この年以後、全試合出場は金本にとって当然の結果と言うシーズンが続く。

 00年は走塁面でも積極さを発揮して史上7人目の「3割・30本・30盗塁」を達成。01年には歴代5位となる年間128四球で出塁率.463をマークした。
 02年オフにFA宣言して阪神タイガースに移籍。03年は19本塁打と8年連続20本塁打でストップしたが、リーグ最多の98四死球などつなぎ役に徹しチーム18年ぶりのリーグ優勝に貢献した。04年は4番に座り、一転ポイントゲッターとして自己タイの34本塁打、自己最多の113打点をマーク。初の打点王となり、安打も自己最多の165本を記録した。

 そして05年も37歳にして安打・本塁打・打点・打率で自己記録更新を果たした。本塁打・打点・出塁率が2位、打率が3位とノンタイトルながらバランスの取れた好成績で、チームの優勝奪回に大きく貢献しリーグMVPに輝いた。06年は開幕早々に連続試合全イニング出場の世界記録を更新。絶好調だった04・05年より数字は落としたが7度目の3割と11度目の20本塁打を記録。
 07年はチーム打率両リーグ最下位と低迷する打線の中でマークが集中し、チーム最多の31本塁打・95打点と奮闘するも、打率は.265と移籍後最低の数字に終わり2000本安打も08年に持ち越しとなった。

 40歳となった09年は開幕4試合で2度の猛打賞を記録するなど好調な出足で、9試合目には2000本安打に王手を掛けた。しかしそこからあと1本に苦しみ、2000本達成まで19打席を要した。その後は大きな波もなく好調で、6月には打率.413で3度目の月間MVPも獲得。2年ぶりの3割と3年ぶりの100打点で健在ぶりを見せた。
 09年もスタートは絶好調で、4月に1試合3本塁打を2度記録するなど同月末で8本塁打・30打点と打ちまくり4度目の月間MVP獲得。しかし周りの打者の不振から相手のマークも集中した5月以降は失速。5月から閉幕までの打率が.237で通算でも.261と、98年以来の低打率。その5ヶ月は月平均で本塁打が2.6本、打点が12点程度と4月の華々しさからは想像出来ないような苦戦が続いた。それでも6年連続で20本塁打・90打点をクリアし、全イニング出場も継続した。

 10年は開幕前に痛めた右肩が悪化し、4月18日の試合で先発から外れ連続フルイニング出場が1492試合でストップ。代打と指名打者での出場を続け、代打では打率.157と苦戦したが両リーグトップタイの代打本塁打3本を記録。また、交流戦の指名打者では打率.348と活躍した。後半戦、守備に付き先発に戻ったが万全の体調ではなく、打撃3部門とも95年以降ワーストの成績に終わった。11年も不安を抱えながらのスタートとなり、開幕4試合目で連続出場もストップ。連続出場の重圧から解放されたものの、122試合で76安打・12本塁打・31打点・打率.218と全て前年の数字を下回った。
 2012年は2500試合・2500安打・1500打点と区切りの大記録を次々に達成。連続二桁本塁打は18年でストップしたが、打率.258に92安打はここ3年では最高の数字だった。この年限りで引退し、21年の現役生活に別れを告げた。

 98年7月10日のヤクルト戦から11年4月14日の広島戦まで歴代2位の1766試合連続出場。99年7月21日の阪神戦から10年4月17日の横浜戦まで1492試合連続全イニング出場の日本記録。99年4月24日の中日戦でサイクルヒット達成。00年5月12日の中日戦から01年9月28日の横浜戦まで1002打席連続併殺打なしの日本記録。01年10月11日のヤクルト戦で1試合5四球。03年5月31日の巨人戦で1イニング5打点。03年の日本シリーズで4本塁打、3試合連続本塁打のシリーズタイ記録。08年4月12日の横浜戦で寺原投手からライト前ヒットを放ち、史上37人目の通算2000本安打達成。

 MVP1回(05)。打点王1回(04)。ベストナイン7度(95、01、02、04〜06、08)受賞。月間MVP4回(96年9月、05年5月、08年6月、09年4月)。オールスター出場11度(95〜97、00、01、03〜06、08、09)、96年第3戦・03年第2戦でMVP受賞。日本シリーズで03年に敢闘賞受賞。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
92 広島 5 3 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 .000
93 広島 42 89 9 17 3 0 4 32 9 0 0 0 6 16 .191
94 広島 90 257 41 69 14 2 17 138 43 2 3 2 31 64 .268
95 広島 104 369 72 101 15 1 24 190 67 14 0 3 66 78 .274(18位)
96 広島 126 423 84 127 18 2 27 230 72 18 0 7 81 104 .300(15位)
97 広島 133 465 77 140 17 2 33 260 82 13 0 4 83 104 .301(11位)
98 広島 133 499 77 126 33 3 21 228 74 9 0 1 73 94 .253(29位)
99 広島 135 502 84 147 21 2 34 274 94 10 0 1 73 92 .293(19位)
00 広島 136 496 96 156 20 2 30 270 90 30 0 4 88 101 .315(5位)
01 広島 140 472 101 148 28 1 25 253 93 19 0 6 137 69 .314(5位)
02 広島 140 540 80 148 30 2 29 269 84 8 0 2 62 99 .274(20位)
03 阪神 140 532 94 154 24 2 19 239 77 18 0 2 98 89 .289(16位)
04 阪神 138 521 92 165 32 4 34 307 113 5 0 8 84 100 .317(5位)
05 阪神 146 559 120 183 35 3 40 344 125 3 0 2 101 86 .327(3位)
06 阪神 146 545 85 165 24 4 26 275 98 2 0 5 84 98 .303(8位)
07 阪神 144 533 74 141 17 3 31 257 95 1 0 7 84 113 .265(27位)
08 阪神 144 535 87 164 33 2 27 282 108 2 0 8 80 99 .307(12位)
09 阪神 144 518 66 135 37 0 21 235 91 8 0 8 93 98 .261(20位)
10 阪神 144 353 39 85 12 0 16 145 45 1 0 1 42 90 .241
11 阪神 122 348 27 76 11 1 12 125 31 1 0 0 24 53 .218
12 阪神 126 356 24 92 16 1 6 128 30 3 0 1 49 54 .258
                                 
21年 2578 8915 1430 2539 440 37 476 4481 1521 167 4 72 1440 1703 .285