石井 琢朗(いしい たくろう) 1970年8月25日生まれ・右投げ左打ち

 栃木・足利工高から88年ドラフト外で横浜大洋ホエールズに入団。当時は投手で、高卒ルーキーだった89年に早くも17試合に登板、1勝1敗防御率3.56の成績を残す。しかし90年・91年と勝ち星なく通算1勝4敗、防御率5.69の成績を残し92年から野手に転向する。

 その92年に早速69試合で59安打を放ち、打率.269。これで自信を付け翌93年からは三塁のレギュラーに定着。この年は110安打で打率.266ながら24盗塁で盗塁王獲得。
 94年は全試合出場を果たし、95年は初の打率3割となる.309(ベストテン6位)をマーク。初めてオールスターにも選ばれる。
 96年は打率こそ.282と下がったが自己最多の45盗塁。タイトルこそ50盗塁の緒方(広島)に譲ったが、リーグを代表するリードオフマンとしての地位を確実なものにした。

 97年は自己最多の166安打で、これも自己最高の打率.319(ベストテン5位)をマーク。初のベストナインに選ばれる。翌98年はさらに自己ベストの174安打(最多安打のタイトルを獲得)で打率.314と活躍。チーム38年ぶりの優勝に大きく貢献した。また、39盗塁で5年振り2度目の盗塁王にも輝く。

 99年は3年連続3割こそ逃したものの、通算1000試合・1000安打・200盗塁と記録ずくめのシーズン。39盗塁で3度目の盗塁王を獲得した。
 00年は足の故障と闘いながらも2年ぶりに3割打者に返り咲き、3年連続4度目の盗塁王も獲得。01年は4年連続盗塁王は逃したが、7年ぶりの全試合出場を果たし、2度目の最多安打タイトルを獲得した。02年は前半打撃不振で低迷したが、後半戦に巻き返しを見せて6年連続150安打を達成した。しかし、打率・盗塁とも95年以降ではワースト記録だった。

 復調が期待された03年だったが開幕から打撃不振が続き、左手首痛もあって5月中旬から約1ヶ月の登録抹消を経験。復帰後も調子は上がらず規定打席到達者中最下位の打率.231に終り、連続100安打も10年でストップした。
 しかし04年は158安打と復活し、打率も3割にあと一歩の.295をマークした。また通算得点・盗塁・四死球で球団記録を更新した。05年は打率.255とまたも苦しいシーズンを送ったが、3年ぶり4度目の全試合出場を果たし、歴代3位となる8度目の年間150安打を達成した。06年は5月の楽天戦で2000本安打を達成。その勢いでシーズンを乗り切り、3割には届かなかったが自己タイとなる174安打をマークした。

 07年は序盤の打撃不振から出場機会が減り、15年ぶりの規定打席不足。それでも最終的には打率.275まで巻き返した。08年に73安打の打率.262に終わると球団から引退勧告を受けるが、現役続行を決意し広島へ移籍した。
 広島ではショートの準レギュラー級として89試合に出場、48安打で打率.227だったが4年ぶりに三塁打(3本)を放つなど随所に健在ぶりを見せた。10年は4年ぶりに20打点に乗せるなど得点圏打率.442と勝負強さを見せ、シーズン打率も.318と好調を維持した。11年も61試合と出場機会が減る中で23安打を放った。12年の31試合出場での7安打をもって24年の現役生活にピリオドを打った。

 99年7月22日のヤクルト戦で1試合6得点のセ・リーグ新記録。03年7月8日の中日戦で1試合4犠打の日本タイ記録。06年5月11日の楽天戦で愛敬投手から史上34人目の通算2000本安打達成。

 盗塁王4回(93、98〜00)、最多安打2回(98、01)。ベストナイン5度(97〜01)、ゴールデングラブ4度(93〜95、98)受賞。オールスター出場6度(95、97、98〜01)。日本シリーズで98年に優秀選手賞受賞。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
89 大洋 17 5 1 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 .400
90 大洋 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000
91 大洋 10 2 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 .500
92 大洋 69 219 26 59 3 3 3 77 23 4 16 1 14 33 .269
93 横浜 121 414 53 110 19 5 5 154 36 24 39 2 48 64 .266(19位)
94 横浜 130 451 68 113 21 2 3 147 40 10 39 0 69 66 .251(29位)
95 横浜 124 444 69 137 22 2 2 169 41 23 23 2 76 63 .309(6位)
96 横浜 129 496 94 140 19 3 1 168 29 45 25 1 82 76 .282(25位)
97 横浜 132 521 95 166 23 1 10 221 44 23 23 4 64 58 .319(5位)
98 横浜 135 555 103 174 34 5 7 239 48 39 2 2 70 69 .314(6位)
99 横浜 131 537 108 157 24 3 8 211 58 39 2 3 80 81 .292(20位)
00 横浜 134 546 91 165 19 5 10 224 50 35 5 3 65 83 .302(8位)
01 横浜 140 580 81 171 34 4 8 237 36 26 7 1 59 81 .295(14位)
02 横浜 140 569 78 156 29 2 8 213 49 19 12 2 53 95 .274(19位)
03 横浜 115 415 49 96 12 1 6 128 26 20 21 0 47 53 .231(28位)
04 横浜 131 535 80 158 26 6 10 226 43 11 6 2 47 85 .295(23位)
05 横浜 146 612 95 156 22 2 8 206 40 18 7 1 68 77 .255(30位)
06 横浜 146 604 91 174 30 0 6 222 32 12 5 1 65 99 .288(17位)
07 横浜 108 360 35 99 11 0 2 116 13 6 27 0 25 39 .275
08 横浜 98 279 26 73 7 0 2 86 18 1 12 0 27 47 .262
09 広島 89 211 27 48 10 3 2 70 18 2 11 0 24 33 .227
10 広島 74 148 15 47 5 1 0 54 20 1 5 0 12 20 .318
11 広島 61 92 11 23 2 2 1 32 4 0 2 0 12 13 .250
12 広島 31 42 2 7 1 0 0 8 2 0 0 0 5 4 .167
                                 
24年 2413 8638 1298 2432 373 50 102 3211 670 358 289 25 1012 1241 .282