井口 資仁(いぐち ただひと) 1974年12月4日生まれ・右投げ右打ち

 東京・国学院久我山高から青山学院大を経て、96年ドラフト1位で福岡ダイエーホークスに入団。大学では1年春からレギュラーでベストテン7位に入る活躍。2年秋にはリーグ新記録となるシーズン8本塁打に加え、16打点、打率.348で三冠王に輝く。3年時には春7本、秋5本で年間12本塁打の新記録。さらに通算でも21本塁打として早くもリーグ本塁打記録を更新。最終的に24本塁打を含む103安打をマークした。
 96年夏のアトランタ五輪代表にも選出され、全試合にショートでスタメン出場。韓国戦の5打数5安打を含む35打数15安打の打率.429と活躍。

 ダイエーでは右足捻挫のため開幕一軍は逃したものの、デビュー戦となった5月3日の近鉄戦で満塁ホームランを放った。新人選手のデビュー戦満塁ホーランは史上初の快挙だった。
 2年目の98年はショートの定位置を確保して全試合に出場。21本塁打を放ったが、打率.221に121三振と粗さが目立った。99年も.224と低迷。00年は左肩を痛めて8月に手術し後半戦を欠場した。

 01年はセカンドにコンバートされて3年ぶりに全試合出場。自己最多の144安打を放ち、44盗塁で盗塁王となった。また、30本塁打40盗塁は63年張本勲(東映)、90年秋山幸二(西武)に次ぐ史上3人目だった。
 02年は18本塁打、21盗塁と成績ダウンしたが03年に鮮やかに盛り返した。175安打を放ってそれまでの粗いイメージを払拭する打率.340をマーク。42盗塁で2度目の盗塁王となりった。プロ入り以来初めて四死球が三振を上回り、出塁率もリーグ2位の.438と躍進した。

 04年も打率.333で前年の高打率がフロックでない事を証明し、打率4位となった。2年連続170安打を達成、また4年連続6度目の二桁本塁打&二桁盗塁を記録した。この年オフにメジャーリーグ移籍を希望して自由契約となり、MLBのシカゴ・ホワイトソックスに入団した。
 メジャー1年目から二塁の定位置を掴み、15本塁打を含む142安打を放ち日米通算1000本安打も達成。実に88年ぶりとなるワールドシリーズ優勝に貢献した。また、チームで唯一「15本塁打・15盗塁」をクリアして走攻守のバランスの良さをアピールした。06年も打率・安打・本塁打・得点で前年を上回る活躍を見せ、6月25日のアストロズ戦では2打席連続本塁打で1試合7打点をマークした。

 07年は打率.251と打撃不振もあり、故障した正二塁手の穴埋めにと獲得に乗り出したフィラデルフィア・フィリーズへ7月末にトレードで移籍。移籍後は3割台のアベレージで期待に応えたが、正二塁手の復帰後は控えに回った。オフにFAとなりサンディエゴ・パドレスへ移籍した。しかしパドレスでも走塁中に打球を避けて転倒し、右肩を痛める不運もあり打率.231と低迷。終盤、再度フィリーズに移籍したが出場機会は少なかった。オフに千葉ロッテマリーンズに移籍して5年ぶりの国内復帰を果たした。
 09年は開幕から4番として起用され、4月にサヨナラ本塁打を2本放つなど期待通りの活躍を見せたが後半失速。打率.281に19本塁打・65打点と序盤の勢いからは物足りない数字に終わった。

 日本復帰2年目の10年は大きな怪我もなく自己最多の143試合に出場。本塁打以外はほとんどの数字を前年からアップさせた。打率は17位の.294だったが、両リーグ最多の112四死球で出塁率は3位の.412とつなぐ3番打者として貢献。また、7年ぶりの100打点突破でポイントゲッターとしての役割も果たした。
 11年は5月に打率.386、1試合7打点を含む17打点を挙げ2度目の月間MVP獲得。前半戦は打点王争いにも加わっていたが、後半失速して打率.265、73打点に終わった。12年も140試合とシーズンを乗り切ったが、打率.255で129安打止まり。規定打席以上では10年ぶりの低打率に終わった。

 13年は開幕から好調で5月には月間MVPを受賞。6月末で15本塁打、打率.314と年齢を感じさせない打撃でチームを牽引した。そして7月26日の楽天戦で日米通算2000本安打を19号ソロで飾った。これを境に打撃は下降線を辿り、8月以降は4本塁打の上積みに留まり打率も3割を逃す.297に終わった。それでも39歳シーズンに本塁打・打率で日本復帰後の自己ベストを残した。
 14年も開幕から25試合時点で5本塁打・16打点・打率.313と好スタートを切った。しかし5月以降は打撃不振が続き、99年以来となる.238の低打率。夏場以降は先発出場も減って、日本では14年ぶりとなる規定打席不足及び100安打未満のシーズンとなった。

 15年はさらに出場機会が減り、87試合で56安打と前年を大きく下回った。代打では25打数8安打の打率.320でリーグ最多の10打点と勝負強さを見せた。16年は39安打と先発機会も減ったが、代打では引き続き打率.300に2年連続リーグ最多の12打点をマークした。
 17年に2本塁打を含む30安打で打率.244の数字を残し、21年に亘る現役生活に別れを告げた。

 99年9月8日の西武戦と09年4月16日の楽天戦でサヨナラ満塁本塁打。03年6月3日のオリックス戦から8日の日本ハム戦まで5試合連続猛打賞の日本タイ記録。03年7月26日のオリックス戦で1試合4二塁打の日本タイ記録。09年4月7日の日本ハム戦で史上7人目の全打順本塁打。16年までに歴代2位タイの満塁本塁打13本。13年7月26日の楽天戦で田中投手から本塁打を放ち日米通算2000本安打達成。

 盗塁王2回(01、03)。月間MVP3回(04年8月、11年5月、13年5月)。ベストナイン3度(01、03、04)、ゴールデングラブ3度(01、03、04)受賞。オールスター出場9度(01〜04、09〜12)。1974年12月4日生まれ。右投げ右打ち。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
97 ダイエー 76 217 31 44 6 3 8 80 23 3 2 1 32 67 .203
98 ダイエー 135 421 58 93 18 4 21 182 66 12 15 4 36 121 .221(36位)
99 ダイエー 116 370 38 83 15 1 14 142 47 14 4 3 47 113 .224(32位)
00 ダイエー 54 162 21 40 9 2 7 74 23 5 5 1 17 29 .247
01 ダイエー 140 552 104 144 26 1 30 262 97 44 9 2 73 117 .261(27位)
02 ダイエー 114 428 64 111 14 1 18 181 53 21 5 2 37 84 .259(24位)
03 ダイエー 135 515 112 175 37 1 27 295 109 42 1 6 95 81 .340(4位)
04 ダイエー 124 510 96 170 34 2 24 280 89 18 0 8 56 90 .333(4位)
09 ロッテ 123 448 71 126 24 3 19 213 65 4 0 1 81 101 .281(17位)
10 ロッテ 143 531 88 156 44 1 17 253 103 2 0 7 112 114 .294(17位)
11 ロッテ 140 509 52 135 23 3 9 191 73 1 0 7 81 96 .265(19位)
12 ロッテ 140 505 58 129 30 1 11 194 60 3 0 4 69 99 .255(20位)
13 ロッテ 135 485 68 144 31 2 23 248 83 4 0 4 77 81 .297(11位)
14 ロッテ 109 357 35 85 24 0 10 139 49 1 0 3 48 74 .238
15 ロッテ 87 227 21 56 17 1 6 93 28 1 0 0 23 65 .247
16 ロッテ 79 152 13 39 8 0 5 62 34 1 0 3 21 50 .257
17 ロッテ 65 123 9 30 7 0 2 43 15 0 0 2 19 27 .244
                                 
日本17年 1915 6512 939 1760 367 26 251 2932 1017 176 41 58 924 1409 .270
                                 
05 Wソックス 135 511 74 142 25 6 15 224 71 15 11 6 53 114 .278(38位)
06 Wソックス 138 555 97 156 24 0 18 234 67 11 8 2 62 110 .281(49位)
07 Wソックス 90 327 45 82 17 4 6 125 31 8 1 3 46 65 .251
フィリーズ 45 138 22 42 10 0 3 61 12 6 1 3 14 23 .304
08 パドレス 81 303 29 70 14 1 2 92 24 8 1 0 26 75 .231
フィリーズ 4 7 0 2 1 0 0 3 0 0 0 0 0 0 .286
                                 
MLB4年 493 1841 267 494 91 11 44 739 205 48 22 14 201 387 .268
                                 
  日米計21年 2408 8353 1206 2254 458 37 295 3671 1222 224 63 72 1125 1796 .270