阿部 慎之助(あべ しんのすけ) 1979年3月20日生まれ・右投げ左打ち
東京・安田学園高から中央大を経て00年ドラフト1位で巨人に入団。大学時代は二部生活が長かったが、3年秋に一部昇格を果たし、4年春にはリーグトップの3本塁打を放ちベストナインに選ばれた。
巨人では捕手育成方針もあり、1年目から積極的に起用され127試合に出場。打率は.225と低かったが13本塁打を含む87安打を放った。新人捕手の二桁本塁打は69年田淵幸一(阪神)の22本に次ぐ史上2人目の快挙だった。02年はサヨナラ打を4本放つなど勝負強さを発揮、攻守の要としてチームの日本一に大きく貢献、2年目にしてベストナイン・ゴールデングラブを受賞するなど大きく飛躍した。
03年も好調な打撃を見せていたものの、夏場に肩を痛めて後半戦を棒に振った。それでも規定打席不足ながら打率.303をマークした。
04年は開幕から打ちまくった。6試合連続ホームランを含む開幕16試合目での10号到達は歴代4位のスピード記録。結局4月の23試合で実に16ホームラン、35打点に打率も.372と絶好調のスタートを切った。5月12日に史上最速となる33試合目での20号本塁打到達までは順調だったが、以後失速。5月末22号、6月末24号、7月末27号と本塁打ペースは急激にダウンした。8月20日には脇腹を痛めて登録抹消。結局108試合の出場に留まり尻すぼみの感はあったが、初の規定打席3割と30本塁打をクリアした。
05年も故障に苦しみ後半戦、肩を痛めて一塁手として出場。それでも自己最多の143安打、86打点をマーク。打率も2年連続で3割打者となった。06年は再び捕手としてシーズンを送ったが、持ち前の長打力は影を潜め自己最低の10本塁打。それでも打率.294と5年連続で.290以上のアベレージを残し打撃の上手さは健在だった。
07年は打率.275と1年目以来の2割8分未満だったが、前年伸びなかった本塁打・打点では自己最多タイの33本塁打、自己最多の101打点と大幅アップで中軸打者としての責任を果たした。また、4度目の出場となったオールスター第2戦では逆転3ランを放ちMVPに選ばれた。
08年は2年連続4度目の20本塁打を放ち、チームの大逆転優勝に貢献。北京五輪にも出場し、台湾戦で本塁打を放った。09年も3割にあと一歩だったが、2年ぶり3度目の30本塁打を記録した。日本シリーズでもサヨナラ本塁打を含む2ホーマー5打点で打率.304をマークしてMVPに輝いた。
10年は長打力に磨きがかかり、6月に21試合で14本塁打を量産するなど本塁打王争いに加わって、捕手として史上3人目の年間40本塁打を達成。自己最多タイの140試合に出場して、得点・本塁打は自己最多、安打・打点は自己2番目の好成績で4年連続ベストナインに選ばれた。オールスター第1戦でも2打席連続タイムリーを放ち、2度目のMVPに輝いた。
11年は右足の肉離れで開幕から出遅れ、5月中旬に戦列復帰。7月以降に16本塁打と後半戦は調子を上げ、5年連続20本塁打に打率も規定打席不足ながら.292で6度目のベストナインに選ばれた。
12年は開幕から好調を維持、6月・8月・9月と3度も月間MVPに選ばれる大活躍。リーグトップの得点圏打率.358と勝負強さを発揮し、特に8月・9月で48打点と後半の爆発ぶりは圧巻だった。最終的に打率.340と104打点で二冠王となりチームの3年ぶりとなる日本一に大きく貢献し、MVPに輝いた。
13年は3年ぶり5度目の30本塁打で通算300本塁打を達成、さらに1500試合・1500安打と記録ラッシュとなった。打率は.296で惜しくも3割は逃したが、ベストナイン・ゴールデングラブを5年ぶりにダブル受賞した。
14年はシーズンを通して打撃不振に苦しんだ。1年目以来となる.248の低打率で規定打席到達者27人の最下位に沈み、19本塁打・57打点は06年以来の低い数字。連続20本塁打も7シーズンでストップした。それでもライバル不在で捕手として9度目のベストナインはリーグ最多タイ、ゴールデングラブも4度目の受賞となった
15年は一塁コンバートが決定していたが、故障者が出た事もありわずか開幕7試合目には捕手で先発出場した。結局捕手で25試合、一塁で78試合の守備に付いたが打撃成績は振るわず、15本塁打・47打点・打率.242は全てルーキーシーズンに告ぐワースト2位の低数値。4年ぶりの規定打席不足で連続100安打も11年でストップした。
16年もコンディションが整わず初出場が5月31日と出遅れたため、規定打席には大きく不足した。それでも戦列復帰後はスタメン出場を続け、91試合で104安打の打率.310と内容的には14・15年の不振から抜け出すものを見せた。
そして迎えた17年は開幕6試合で4本塁打、4月末で打率.305と好スタートを切った。しかし5月に月間打率.200と調子を落とすと、その後は2割5分前後で推移し最終的には.262に留まった。それでも3年ぶりの規定打席到達を果たし、76打点は13年以来の数字となった。ハイライトは8月13日の広島戦。第4打席にライト前ヒットを放ち、史上49人目となる2000本安打を達成した。
18年は若手の成長もあり、先発出場の機会が激減。年間49安打と11本塁打はプロ入り以来最少に留まった。19年も限られた出場機会となったが、その中で史上19人目の400本塁打を達成するなど打率.297と奮闘した。シーズン終盤に引退表明し、19年間の現役生活を終えた。
04年4月に月間16本塁打の日本タイ記録(当時)。04年4月9日のヤクルト戦から16日の広島戦まで6試合連続本塁打。09年9月5日のヤクルト戦から10日の横浜戦まで5試合連続本塁打。12年8月9日の対阪神戦から10月5日の対DeNA戦まで47試合連続出塁。17年8月13日の広島戦で今村投手からライト前ヒットを放ち、史上49人目の通算2000本安打達成。
MVP1回(12)、首位打者1回(12)、打点王1回(12)、最高出塁率1回(12)。ベストナイン9度(02、07〜14)。ゴールデングラブ4度(02、08、13、14)受賞。月間MVP6回(04年4月、09年9月、10年6月、12年6月、同8月、同9月)。オールスター出場13度(03、04、06〜15、17)、07年第2戦と10年第1戦でMVP受賞。日本シリーズで09年にMVP受賞。WBC出場2度(09、13)、五輪出場2度(00、08)。正力松太郎賞1回(12)。
試合 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 犠打 | 犠飛 | 四死球 | 三振 | 打率(順位) | ||
01 | 巨人 | 127 | 386 | 40 | 87 | 18 | 0 | 13 | 144 | 44 | 3 | 2 | 2 | 38 | 79 | .225 |
02 | 巨人 | 127 | 446 | 62 | 133 | 26 | 0 | 18 | 213 | 73 | 4 | 4 | 3 | 58 | 81 | .298(12位) |
03 | 巨人 | 94 | 314 | 46 | 95 | 15 | 1 | 15 | 157 | 51 | 1 | 3 | 4 | 49 | 52 | .303 |
04 | 巨人 | 108 | 379 | 61 | 114 | 22 | 1 | 33 | 237 | 78 | 0 | 1 | 0 | 56 | 87 | .301(17位) |
05 | 巨人 | 130 | 476 | 56 | 143 | 16 | 0 | 26 | 237 | 86 | 0 | 0 | 6 | 52 | 78 | .300(15位) |
06 | 巨人 | 129 | 452 | 39 | 133 | 26 | 2 | 10 | 193 | 56 | 0 | 4 | 2 | 39 | 76 | .294(13位) |
07 | 巨人 | 140 | 499 | 72 | 137 | 20 | 0 | 33 | 256 | 101 | 1 | 3 | 10 | 68 | 76 | .275(20位) |
08 | 巨人 | 125 | 428 | 60 | 116 | 27 | 0 | 24 | 215 | 67 | 1 | 4 | 0 | 52 | 66 | .271(25位) |
09 | 巨人 | 123 | 409 | 63 | 120 | 20 | 2 | 32 | 240 | 76 | 1 | 2 | 7 | 44 | 87 | .293(10位) |
10 | 巨人 | 140 | 498 | 85 | 140 | 27 | 2 | 44 | 303 | 92 | 0 | 1 | 1 | 69 | 91 | .281(22位) |
11 | 巨人 | 114 | 390 | 45 | 114 | 21 | 0 | 20 | 195 | 61 | 1 | 2 | 1 | 44 | 66 | .292 |
12 | 巨人 | 138 | 467 | 72 | 159 | 22 | 1 | 27 | 264 | 104 | 0 | 2 | 8 | 78 | 47 | .340(1位) |
13 | 巨人 | 135 | 422 | 81 | 125 | 17 | 0 | 32 | 238 | 91 | 0 | 0 | 6 | 101 | 59 | .296(6位) |
14 | 巨人 | 131 | 459 | 49 | 114 | 24 | 0 | 19 | 195 | 57 | 1 | 0 | 2 | 65 | 77 | .248(27位) |
15 | 巨人 | 111 | 343 | 44 | 83 | 14 | 0 | 15 | 142 | 47 | 0 | 0 | 4 | 72 | 84 | .242 |
16 | 巨人 | 91 | 335 | 43 | 104 | 13 | 0 | 12 | 153 | 52 | 0 | 1 | 3 | 48 | 55 | .310 |
17 | 巨人 | 129 | 455 | 41 | 119 | 13 | 0 | 15 | 177 | 76 | 0 | 1 | 7 | 49 | 67 | .262(21位) |
18 | 巨人 | 95 | 198 | 22 | 49 | 6 | 0 | 11 | 88 | 46 | 0 | 1 | 1 | 23 | 55 | .247 |
19 | 巨人 | 95 | 158 | 15 | 47 | 8 | 0 | 7 | 76 | 27 | 0 | 0 | 2 | 32 | 23 | .297 |
計 | 19年 | 2282 | 7514 | 996 | 2132 | 355 | 9 | 406 | 3723 | 1285 | 13 | 31 | 69 | 1037 | 1306 | .284 |