ぬいぐるみのページ 8

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アルフォンゾ(Steiff ・1990)

-ロシア皇女の赤いクマ-

今から13年前の1989年
イギリス・クリスティーズのオークションに出品され当時12100ポンド(約240万円)で
競り落とされ話題となった真っ赤なシュタイフ製のクマ
それがアルフォンゾです。

今でこそ、1000万円近く付けられるベアも多いですが
(日本人が参加し始めたからという声もアリ)
当時は「こんなクマに!」という声が多かったのも事実です。
(その後、その高額落札価格は
ハッピーの55000ポンド・テディガールの110000ポンドなどでやぶられます)

オークションで落札したのはイギリス人のテディベアディーラー
イアン=パウト氏
彼は中々のやり手で、すぐさまシュタイフにレプリカ5000体の製作を発注しました。
その中の1体が私の持っているこのアルフォンゾのレプリカです。

顔アップ 限定1500体の2212番 鼻先が長いのが
初期シュタイフの特徴のひとつです
オリジナルと同じ33cm 箱に入った状態 右耳にレプリカの証の白タグ
そこにナンバーが入ります
証明書・片面はドイツ語 片面は英語で書かれています

んで、この赤いクマのオリジナルがどのような半生を送ってきたかといいますと!

1908年、ロシアのゲオルギ・ミハイロビッチ大公は
赤いテディベアをシュタイフ社に作らせ、娘のエクセニア・ジョージェヴィナ王女(1903-1965年)にプレゼントしました。
王女の乳母がサテンの生地でコサック風の服を作り、
王女はどこへ行くのも、このアルフォンゾと名付けたベアと一緒でした。

1914年、王室関係者としてバッキンガム宮殿に招待されたエクセニア王女
もちろんアルフォンゾも一緒でした。
が・・・
滞在中に第一次世界大戦が勃発、そしてロシア革命へと時代は流れ
彼女はそのままロシアに戻れなくなってしまいました。
(その後は英国皇室の別荘→ロンドンで暮らしたそうです)

1921年、リアム・リード氏と結婚。
ニューヨークの社交界で有名となったエクセニアは
亡くなる1965年までの間、ずっとアルフォンゾを可愛がっていました。
そして、アルフォンゾはエクセニアの娘に受け継がれ・・・
月日は流れ
1989年のオークションに出品と相成りました。

イアン氏はぬいぐるみの他にもアルフォンゾをモデルとしたポストカード(上の3枚がそうです)
フイギュア・バッジなどのグッズを作成し
オリジナルと同サイズのアルフォンゾを売り切った後の
1995年には25センチと、ややこぶりなベイビーアルフォンゾ5000体を発売しました。

4.5cmのフィギュア
良く出来てます!

氏は日本のベア関係のイベントにもよく来られるので
我が家のアルフォンゾを持参してサインをいただきました
わ!アルフォンゾ柄のベスト着てますね (^_^;)

足の裏にサインをいただきました For Akemi ・Ian Pout

古いテディベアというと、ちょっと汚い印象のものもありますが
ことアルフォンゾに関していえば
大切に扱われてきたことも幸いし、ちょうどいい時代の色がつけられて
とてもいい雰囲気のベアになりました。

ドイツで作られロシア・イギリス・アメリカ・イギリスと時代と共に歩んだオリジナルは、
今日もイギリス・オックスフォードに近いウィットニーにあるコッツウォールド村のイアン氏の許で大切にされていると思います。
レプリカ5000体のうちの1体では、ありますが
このアルフォンゾも大切にしていきたいと思います。

1993年・冬・横浜のベア専門店にて入手

作成年月日2002年1月9日

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