そして上映終了

それは今まで見たアニメと比較して
斬新なレイアウトに透明感あふれるキャラクター
美しい背景に洒落たピアノの音色と
少女漫画の再現を見た思いがしました。

ラストの葉っぱが舞うシーンで、思い出されたのは
この数ヶ月前に東映動画のスタジオ見学に行った際に
撮影のセクションで見た葉っぱのシーン!
撮影の方が
「このアニメは、上映方法がちょっと違うんですよ!」と言っていたまさしく、そのシーンでした。
「あぁ!あの時撮影していたのは、夏への扉だったんだ!」

これはもう1回は見なくてはいけないわ!
原作も読まなければいけないわ!
次の日に今度は一人で見に行きました。


そして
そのまま、どこか別の公民館へと上映会は移動してしまいました。


そんなある日
アニメージュに
スタッフを交えての「夏への扉」上映会のお知らせ
が掲載されました。

場所は千駄ケ谷の日本青年館
その名前は
8時だよ!全員集合!の公開録画をよくやる場所と知っていましたが
一人では心もとないので
「え〜、1回見たからもういいよ〜」というS美ちゃんに
「破裏拳ポリマーの上映会行ってあげたじゃん!」と詰めより、二人で、でかけました
ポリマーの上映会では「ガッチャマンF」と「ベルフィーとリルビット」「闘士ゴーディアン」のセル売ってました。


ゲストは原作の竹宮先生とスタッフの方数名で
声優さんは来場されませんでした。

チャラララ〜・チャラララ〜♪

上映中

テンテ・テ・テン・テン・テン♪

上映終了


司会者「これからスタッフの方へのインタビューコーナーです!
質問してくれた方にはセル画のプレゼントがありますよ!」
「ぐわ〜!こんな話、聞いてない〜!でも来てよかった〜!」

「質問のある方!」
「わ〜」(挙手!)
「はい!そこのあなた!」
「わわわ!まだ質問、考えてないっス〜」

と、ドキドキしつつも、セルもらえるなら質問をひねり出さねばなりますまい。

きわめて冷静に
「家の近くで2回、今日の1回と3回見せていただきました。
今までに見たことない透明感のあるアニメと思いました。
原作も読ませていただきましたが比較して
アニメでは、天候・・・風や日光などのシーンが多くあるように感じられた
のですが、これは意図的でしょうか?
また、原作ではジャックがレダニアと婚約しましたが
アニメではそこまで描かなかったのは何故ですか?」

司会者「え〜と、難しい質問ですね!お答えは・・・設定の丸山さん、いかがでしょう?」
丸山 正雄さん「お褒めいただきありがとうございます。
ご指摘の天候の件ですが限られた時間内で映像をつくろうとした場合
ひとつの柱を立てた方が、見る人にとってわかり易い場合があります。
天候というのはキャラクターの心情を表すのに便利です。
特に今回の作品のように同じ年頃の男の子が4人もいるとなると
なかなか個性を出すのが難しいです。
ジャックの件ですが、一人だけ美味しい思いをさせるのもなぁ・・・(笑)という感じです」
というようなお返事をいただいたと思います。

あぁ!今なら!
もっと突っ込んだ質問
「原作にない〜恍惚〜の引用や、マリオンの部屋の壁に貼ってあるミッシェル・エングのレダの絵はどなたの案ですか?」とか
(文中、茶色の文字で表記した部分が恍惚です。フランスの詩と思いますが、誰の作かわかりませんでした。
ご存知の方!ご教示お願いします)

「原作ではサラが自分の少女時代を回想するシーンがありましたが、その部分はなぜカットしたのですか?」とか
「ナレーションにフランス語をかぶせるのは、どういう効果を狙ってですか」とか
なぜ!のあとにプールクワ!
そして秋のあとにはイル・オートンヌ等、フランス語がかぶさる部分が数カ所あります)
とか、とか〜!!
丸山さん!すんません!あの時のバカタレが私です!

他の数人が竹宮先生に質問して・・・
司会者「それでは、みなさま!さようなら〜」
「待て〜!セルはどうなるんだ!〜〜〜」<エコー
と、そのまま終わってしまい、セルはいただけませんでしたのん(涙)


さて、この透明感あるアニメを作ったのは
近年では「メトロポリス」や「バンパイアハンターD」を作ったマッドハウス

「夏への扉」の監督は漫画家もり まさきとしても有名な真崎 守氏。
もともと、アニメーターでもあった氏ですが
私の中では70年代劇画調のタッチの方という印象があります。
70ページの原作漫画を59分のアニメーションに昇華させたのは氏の力と思います。

透明感溢れるキャラは作画監督の富沢 和雄氏の細かい作画や
色カーボンや色トレスの多用で表現され、
カーテンのレースまで細密に描かれた石川 山子さんの淡い美術は非常にみずみずしいものでした。

画面設定は川尻 義昭氏
上映方法が普通のアニメと異なるということで
川尻氏も実験的な・・・
リンドとジャックの決闘の場面の赤と黒の様式美とも言える画面、
大きいイラストを一部分づつ映していき、それにかぶるナレーション
縦、そして横への三段の画面分割
荒れ狂う馬の劇画調なシーンなど

レイアウトが出来たのでは?と思います。


声優さんに目を向けると
主役級の4人の少年は、まさにハマリ役
特に!三ツ矢さんがいいんだ(笑)
「よしてよっ!リンド!」や
原作にない
「マリオン・・・君の心は、ぼくにも開けることのできない秘密の小箱だったのかい?」がイイ!

藩さんのただかわいいだけでないレダニア
武藤さんのサラは絶品!誘惑されてみたいわ(笑)
アニメでは口元しか映らないクリューニー伯爵も(漫画では顔も描かれています)
柴田氏の重厚な声で存在感あるキャラになりました。


それから月日は流れ
結婚だ〜・なんだかんだ〜とセル収集を一時止めていましたが・・・
呪われたように(笑)セル集めを再開!
いつの日か「夏への扉」のセルをこの手に!と悶々としていたのでしょう。
ある個人売買の情報誌に
「夏への扉のセルを探しています」と出したトコロ
まとめて持っている方から、殆どそのままの形でお譲りいただく事ができました。

オリジナルは他のページに掲載しましたが
以下の6枚は
当時、その方がスタジオ見学に行った時に
「セル画が欲しい」と言ったところ
「本物はあげられないけど・・・作ってあげましょう!」と
同じセル・同じ塗料で作られたセルです(ナンバーは入っていません)

珍しい茶色カーボンです
(サラとマリオンのラブシーンではピンクのカーボンが使われています)



その後も、セルがセルを呼ぶが如く!
夏への扉のセルが集まってきて現在の数になりました♪
(タイトルのセルやスチールまで手に出来るとは思わなんだ〜♪協力下さった方々〜。多謝!)

忘れた頃にLDが発売され、即!購入。
その後、廃盤となりましたが2000年に廉価版のビデオが発売されています。

アニメ化された竹宮作品には
「地球へ・・・」「夏への扉」「風と木の詩」「アンドロメダ・ストーリーズ」があります。

私の稚拙な紹介では、その魅力の半分も伝わっていない
(後半、台詞ばっかりだし (^_^;) )
「夏への扉」(
未見の方には是非!とお勧めしたい1本です。


2002年2月28日作成

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