雨のカフェでマリオンを待つレダニア

いさかいから、レダニアがマリオンの頬をたたく
マリオン「汚いよ!もうあんな手紙書かないで下さい」

雨の中走り去るマリオン

女だって?
男だって?
愛だって?
セックスだって?
規則・規則・規則
愛・・・・・男
愛・・・・・女
愛・・・・・セックス

ぼくはいやだ!ぼくは誰も愛さない
だから誰もぼくを愛さないでくれ!


そのまま雨の中に倒れこむマリオン

肺炎になりかけていたマリオンを救ったサラ

「なんだきみなんかぼくのことを知らないくせに!
そうだよっ!何にも知らないくせにっ!」
「知ってるわ・・・レダという娘が好きなんでしょ?
なのに抱きしめることさえできないでいるのね、潔癖症さん
うわごとをつなぎ合わせればそれくらいわかるわ」

女がきらい?キスがきらい?
キスはあなたを食べてしまうものじゃないわ
欲しいと思ったら受け取るだけ

キスひとつ
愛ひとつ

嬉しかったら返せばいいのよ

あなたから何も取り上げたりしない
ただ・・・あなたが受け取るだけ

あなたの体が寒いのは心に不安が凍っているから
抱きしめるのはね、私の体であたためてあなたの氷を溶かすため

愛ひとつ
キスひとつ


「ぼくはどうすればいいんだ
笑えばいいの、それとも泣けば」
「泣くのは昨日までのあなただわ、笑うのは明日からのあなた」

火を前にして、かすかな微笑みと涙を浮かべている子供の様に
ぼくは今、女の風景の前にいる
すべてが、僕の中で揺らぎ、鏡はくもりかがやく

そこにふたつの季節 二つの裸身が映る
道なきこの地 地平なきこの空の下に
消える理由が ぼくには数々ある
昨日は知らずにいた 今日よりは忘れることもあるまい
美しい理由
視線の美しい鍵
鍵のそのまた娘なる鍵
この風景の中では自然は僕のもの

火は最初の火
やさしい理由が支配し
星の身もとが証明されると地の上 空の下
僕の心の外 そして心の中に第二のつぼみが最初の緑の葉をつける

海がそれを翼で蔽い 太陽は僕らから生まれるすべてのものの端にかかる

この女の風景を前にして
ぼくは火の中の小枝のようだ



一週間たっても帰ってこないマリオン
リンドとジャックはサラの別荘を訪れる

シャワーを浴びた姿で出てくるマリオンに当惑する二人
「ぼくは忘れない・・・この夏のこと、サラに会えたこと
はじめて自分以外の人を好きになれたこと
今になって父や母のことも好きになってきたみたいなんだ
ぼくはようやく自分自身を好きになることもできた気がする」

「ぼくはきみたちから絶交を言い渡されるのも覚悟している
でも・・・サラ、ぼくは君を愛した
それは事実なんだ
どうごまかそうとごまかすことはできない」

ジャック「心配して損したなぁ!」
マリオン「ジャック!じゃぁ許してくれるのかい?」
ジャック「男と女の間柄だけは合理主義では割り切れません!
リーダーだからって特別扱いするつもりは全然ないよ!」
マリオン「ありがとうジャック、ありがとうリンド!一緒に帰ろう」

ジャック「(心の声)決まった、レダニアは俺のものだ。レダニア、俺のレダニア」
壁のカレンダーに目をやるリンド
リンド「(心の声)マリオン、いい気になり過ぎてやしないか?」

マリオンたらあんなに熱い目で恋をしている
もちろん私だってあなたを愛したことに後悔はないけれど

帰ろう!ぼくたちの部屋へ
ぼくたちの世界へ!

マリオンは言いました
ぼくたちの世界へ帰ろうと・・・
だが、夏は待っていてくれませんでした

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