幻の逸品展示室(その8):電動超特急ひかり号セット

1964年(昭和39年)、この年はプラレールの先駈けとなるプラ汽車の発売から約5年たっていました。この5年の間に発売されたのは電動プラ汽車1点のみであり、2点ともいわゆる自由形(電動プラ汽車は、タブサがプロトタイプという説もありますが、そうだとしても、当時の子供からみれば、全くの空想のデザインにしか見えなかったでしょうから)でした。当時すでに実車の世界では旧国鉄のこだま型や旧型電機等が黄金時代を築いていたにもかかわらず、それらの車両を製品化しようという姿勢は全くみられませんでした。トミーもいまだこのおもちゃの方向性を決めかねていた様子です。このままであったなら、単なる子供向け鉄道玩具として、短命に終わっていたかもしれません。しかし、この年、一つの転機が訪れました、東海道新幹線の開通です。今までの鉄道車両のデザインとは全く違った流線形の未来的な車両、このインパクトの強さに、トミーも実車をモデルとした製品化を決意したのでしょう。しかし慎重な事に、動力無しの4両のもの(夢の超特 急ひかり号セット)と動力付の3両のものの両方を開発、市場に投入したのです。(このあたり、競争試作的な意味合いがあったのかもしれません)その結果、おそらく動力付の3両のものの方が売れ行きが良かったので、そちらをメインのラインアップに決めたのではないでしょうか。これが今回紹介する電動超特急ひかり号セットです。3両編成、電動、実車を製品化というその後のプラレールの35年変わらない基本を作った記念碑的な製品です。

車両アップ

箱ふたのラベル

先頭車アップ

パンフレット表紙

セット全景:車両、高架橋、坂レール、ホーム、ポイント他。坂レールは、現行の物とは違うタイプで、勾配がほぼ1直線。橋脚の形も違う。 パンフレット中身:製品の紹介とレイアウトプランが載っている。

車両側面:車体長は現行品とほぼ同じ。

動力車中身:右が1期、左が2期で、スイッチの位置が違う

単品売りの車両:上が1期、下が2期で、大きな違いは動力車のスイッチの位置。1期はスイッチが前面左にあるが、2期は屋根上にある。連結器は1期が金属製で、2期がプラ製。また、箱のデザインも多少異なっている。下の写真は箱の側面で、ひかり号のイラストをあしらったしゃれたデザイン。
車両底面:現在の車両とかなり異なった造りとなっている。