八千代市立保育園父母会
連絡会 ニュースNo.2 |
1998年12月 2日(水)
発行
八千代市立保育園父母会連絡会広報部
(11 ・28の集い報告特集号) |
仮事務局:ゆりのき台保育園父母会内連絡会代表委員
『子どもが豊かに育つ街を』
(記念講演)「公的保育を守る父母と職員の集い」に176名が参加

11月28日(土)午後1時よりの農業会館における「公的保育を守る父母と職員の集い」に保育園関係者(保母、父母)・学童保育関係者(指導員、父母)など176名が参加し学習しました。保母の手品をオープニングに、全国保育団体連絡会事務局長・元公立保育園園長の上野さと子さんが『子どもが豊かに育つ街を』と題して記念講演をしました。要点を以下にお知らせします。
法改正でも、公的責任は変わらず!
児童福祉法の「改正」で、保育所に関して4つの点が変わった。
@入所の仕組みが変わった。:保育所は、役所が決定するのではなく、親が選ぶことになった。
A保育料の仕組みが変わった。:かかる経費は、すべて親が負担する。
Bすべての保育所が地域の人々の子育て相談に応じる。
C保育所だけでなく福祉施設への入所の希望が他の市町村にまたがっている場合は市町村が互いに連絡調整を図る。しかし、両親が働いているなどの理由で保育を必要とする子どもを市町村が保育所で保育する義務があるという公的責任と、保育所の運営経費に対する国と自治体の負担責任など公的責任は一切変わっていない。(保育運動の存在ゆえ、国も一気に変えることを躊躇)
「最低基準」の改正部分で「調理業務の全部を委託する施設(民間業者が入るということ)は、調理員を置かないことができる。」という条文に変わったところがある。子どもたちの状態が常に把握できる職員としての調理員をなくしたらどうなってしまうのか?しかしこの法改正も私たちの反対運動の成果もあり、厳しい規制があり、原則的には調理員配置が義務付けられる法律になっている。
選択・競争・効率の『社会保障制度改革』
児童福祉法の「改正」は、介護保険・医療保険・年金などの『社会保障制度改革』の一環として行われた。厚生省は、「利用者の選択によって、保育所間で競争すれば、効率よいサービスが提供される」と宣伝。八千代市長も曰く「公立保育園は金がかかる。金をかけていない民間保育園は効率的なサービスで競争する。」しかし、競争に勝つ保育園とは、安い給料で保母をこき使うことを意味する。
税金を使わず、商売を入れる!
『社会福祉構造改革』の名による社会福祉全般の見直しがされている。現在の社会福祉施設は、非営利で公共性があり国・自治体の責任下にあるので、競争にならない。しかし、これを民間にして競争させれば、効率よいサービスが提供できるという。つまり、国は、福祉や保育を売買目的の商売にし、社会福祉の実施主体をあいまいにしようとしている。
子どもには金をかけなければいけない
現在の保育水準・制度は、1960年代から現場の保母や父母が研究者とともに日々の実践の中で作ってきた。が、諸外国に比べれば、まだまだ日本の基準は貧しい。例えば、日本では4・5歳児保育は、「子ども30人に保母1人」だが、欧米では、「8〜10人に保母1人」だ。
保育所の役割の原点(1947年第1回国会厚生省児童福祉法予想問答集より)とは?
@「保育所は児童の環境をよくするために入所させる所であって、乳幼児を有する保護者が安心して働き、労働能力を高めることによって生計が補助され、子の生活と発育を保障することができる」
(親の生活保障)
A「乳幼児が共同生活することによって、正しい社会性と心身の健康な育成をすることができる。」
(集団保育による発達保障)
B「母が、時間的に養育の任務より開放され、国家の経済、文化ならびに政治的活動に参加し、または教養を受け、休養することによって、家庭生活の向上をはかり、その結果は乳幼児の福祉を増進させる基盤となる。」(
女性の社会参加と家庭生活向上を同時に保障)
世界の191の国や地方が批准している「子どもの権利条約」のもと、子どもの権利が最大限尊重される社会とすべき21世紀を迎えようとしている。「子どもを大事にしてこそ市は発展する。公が責任を持って保育所を運営し発展させる。」運動の牽引車になろう。
(以上記念講演内容をテープ収録より抜粋)
みんなの声を集めて、楽しく運動。
講演後、父母会、保母、学童保育指導員の代表7名の発言・「ちば保育センター」、船橋市職労保育園栄養士の方々の応援挨拶、習志野市職労保育所支部からのメッセージがありました。船橋からは、私たちを元気付けてくれる寄せ書きもいただきました。集いのアンケートもたくさん寄せられました。一部抜粋して紹介します。
『講演内容についてどんなことが心に残りましたか?』アンケートより
子どもを大切にするということは、費用対効果の理論では決して実現しない。それを自信を持って主張できる勇気と確信を持ちました。
わかりやすく、がんばろーという気持ちが、フーッとわいてきました。今までの署名・団結が何より重要と痛感しました。よい1日となりました。ありがとうございました。
ほんとに福祉にお金を削ってはいけないですよね。これからもっと充実してほしいなって思っているのに民間委託なんて許せないです。上野先生のお話とても納得しました。
『保育園の原点』女性の社会参加と家庭生活向上を同時に保障というのがとても印象に残りました。今は、保育園に通っていませんが、子どもたちを通わせているころ、働いているときも休みのときもいつも時間に追い立てられていました。早くお迎えに行かなくちゃ。時間に遅れたらまずい。そればかり考えていました。こんな原点があったなら、自分の立場も少しは楽だったかもしれません。先生たちが一生懸命やって下さっているのは今も変わっていないようで、とてもうれしいです。保育園OBとしてもとても気になる『民営化』です。自分の孫たちが通うころまでもずっと安心して暮らせることを願ってます。
『保育は人生のスタートに責任を負うこと』の言葉。人間が人間らしく育っていく一番大切な時期をコスト・コストと経済の論理だけで切り捨てていくことに改めて怒りがわきました。これからの保育行政は『最善の利益』の追求の場としてもっともっと公的責任を増していくために皆さんと力を合わせていきたいと思います。
子どもの権利条約が言われている中、どうして八千代は逆行する考え方をするのか…ぜったいに許せない!
先生のお話、遅れのある我が子にあてはめつづけ、涙があふれました。
国の上に立つ厚生省の役人が何もわかっていないという現実。そういう人が勝手に政治を動かしているかと思うと情けない。
今ある保育制度は、国が作り上げたものではなく、現場の保母(職員)父母たちの働きにより出来上がったものだということを伺って勇気付けられました。
お金(税金)は子どもたちのためにかけてあげないといけない。
『行革』『規制緩和』が私たちにとってどういうことかわかりました。社会福祉が売買される状況、人が商品になってしまうのだと感じました。また母親として『カリカリママ』になっていたと反省させられ、もっと子どもを大事に優しくしなければと思いました。小さいときに大事にされることがその子の一生にとっていかに大切か日々の忙しさの中で忘れかけていたような気がします。
上野さと子先生のお話をVTRにとっておけばよかったと思えるほど、今の八千代市のやろうとしていることの重大さが伝わり公立保育園を予算が少ないからということで片付けられてはいけないことがわかりました。大澤さんは、国の改悪をそのまま八千代市で実験的に行い国から拍手されようとしていることを確信しました。つまり目が私たち市民にではなく国にむいているということ。『民営化大丈夫よね。』『大したことじゃない。』と思っている父母にも事の重大さを伝え、民営化の発端が八千代市から始まるという不名誉なことにならないように、もっと話をしていきたいと思いました。これは、保育園だけの問題ではなく学童・学校・老人福祉の問題に広がることを知らせていきたい。
運動の必要性を改めて感じました。今の保育水準は、常に後ろ向きの国に対する運動によって得られたものだということを認識しました。現役の私たちの代で途切れることがないよう、がんばらなければとあらためて考えました。国の動き、その中での八千代の動きがよくわかりました。子どもの成長を第一に、先生方と父母で力を合わせて子どもたちを守らなければと思います。
乳児保育や延長保育への国の対応がいかにその場的なその時だけやり過ごして現場の負担を増やしているだけなのか認識できた。数年前に厚生省事務次官の岡光の不正を見れば市場原理だけを追求した利益優先主義はいかに不合理であるかわかりきったことなのに、なぜ?それを(民間委託)推進したいのか理解に苦しむ。
人生のスタートは大切であるとの思いを心の中にいつも入れておきたい。
八千代市も国も同じような考え方だと思う。父母の立場、子どもの立場、保育者の立場の何も考えていない。福祉は利益のためではない。その通りだと思う。もう少し子どもたちのことを考えてほしい。未来の大人たちのために。
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