参加型の会議やワークショップは、単に市民の参加があればよいというものではない。より良い成果を得るためには、参加する市民が会議やワークショップのテーマや課題についての知識や情報をきちんと持つためには、学習の機会を設けることや、専門家の参加が必要である。そのために協働コーディネーターにはテーマに応じて適切な専門家を活用できるための幅広いネットワーク力が必要である。
また、実際にワークショップを運営するために、どのような分野の、専門的立場の人間の参加が適切か、また、専門家に関わってもらう時期もていねいに議論し決めていくことが大切である。協働コーディネーターは専門家主導にならないように専門家の関わり方を含めて、全プロセスとプログラムと参加者の集め方のデザインについても責任をもつ。
ところで専門家の活用で往々にして冒しやすい間違えは、例えば公園のワークショップを実施するときに、公園の設計の専門家にコーディネーター及び総合ファシリテーターを任せてしまうことだ。公園の設計が専門ではあるが、参加のデザインの専門家としての教育、訓練を受けている訳ではない。参加型の会議やワークショップの協働のコーディネートは参加のデザインの専門家が担う必要がある。
また、えてして設計やデザインの専門家はその力量が高ければ高いほど、無意識のうちに「先生」となり、結果として自分の設計やデザインを一般の人々に押しつけてしまう傾向がある。協働コーディネーターには、そうした専門家と一般の参加者の対等性を確保する役割もある。
これが、協働コーディネーターという新しい「職能」が必要なゆえんである。 |