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「協働コーディネーター」とは | 講座の流れと体系 | 協働コーディネーター認証のプロセス

これからの社会に求められるリーダーの能力

(1)協働をすすめるコーディネーター

 政府、自治体を問わず「協働」が大流行である。しかし、現状は、ともすれば「協働」のための「協働」の議論やNPO支援の政策が多く、NPOが行政の下請け化するなど新たな問題が生じてきている。

 行政とNPOが「協働」しなければ実現しない課題は何なのか、お互いの守備範囲と領域をきちんと設定し、それぞれの特性と能力に応じた役割分担を前提とした「協働」政策が、今ほど必要な時はない。真の協働を進めるためには新しいリーダーシップが必要である。

  協働をすすめることのできるリーダーに求められるのは「俺について来い」型のリーダーシップではなく、参加者の声をよく聞き、つぶやきを形にしていく、合意形成能力をもったコーディネーター能力である。
 
(2)協働コーディネーターの位置付け

 協働をすすめるコーディネーター、いわゆる協働コーディネーターは、様々なネットワーキングの要となり、参加と協働をデザインしていく専門職である。

 参加型の会議やワークショップ全体のプロセス、参加者の構成、選択のデザインを行うだけでなく、専門家やスタッフを集めてくることも含めた参加型プロジェクト、施策遂行の全責任者である。資金づくりや資金計画、運営を行うプロデューサーでもある。

 また、会議やワークショップにおいてはその内容や進行についての方針を出し、会議やワークショップを企画、運営し、取りまとめを行う。参加者やスポンサー、専門家等とも中立の立場であることが不可欠である。協働コーディネーターは様々なプロジェクトの遂行にあたっての総合的な進行役である。会議やワークショップのファシリテーター(水先案内人)を兼務することも多く、ファシリテーターの技能と能力は協働コーディネーターにとって不可欠の要件である。
 
(3)協働コーディネーターに必要とされる技術と能力
@ファシリテーターの技術と能力

 一口にファシリテーターといっても、具体的な役割や機能は様々である。ファシリテーターは単なる司会者ではない。

 ファシリテーターを直訳すると「援助者・促進者」という意味になる。新しい物事を生み出すときの「助産婦さん」のような役割、いわば水先案内人である。

 参加型の会議やワークショップにおけるファシリテーターの役割は、専門的知識を伝えるものでも、自分の意見でリードするものでもない。会議やワークショップの参加者が対等な立場で意見を出し合い、より民主的に会議が進んでいくよう、様々な工夫を行い、会議やワークショップをスムーズに進行していく役割である。

 会議やワークショップの具体的な内容の善し悪しを判断するのではなく、中立的な立場で会議の進行を行っていくのがファシリテーターである。水先案内人として参加者全体に気を配りながら相互の関係を活性化させ、意識されていなかった潜在的な問題や可能性に参加者が気づけるようにするのだ。

 「意見をコントロールせず、進行をコントロールする」、これがファシリテーターの鉄則である。ちなみに、ファシリテーターに必要な中立的な態度とは、ものごとすべてを相対化して自分の意見をもたないこと、意見をもたずに中間に位置することとは違う。自分の意見や価値観はしっかりもちながら相手との違いをはっきりさせた上で相手を受け入れることにより、協働するプロセスを生み出そうという態度である。
 
A幅広い分野の専門家とのネットワーク

 参加型の会議やワークショップは、単に市民の参加があればよいというものではない。より良い成果を得るためには、参加する市民が会議やワークショップのテーマや課題についての知識や情報をきちんと持つためには、学習の機会を設けることや、専門家の参加が必要である。そのために協働コーディネーターにはテーマに応じて適切な専門家を活用できるための幅広いネットワーク力が必要である。

 また、実際にワークショップを運営するために、どのような分野の、専門的立場の人間の参加が適切か、また、専門家に関わってもらう時期もていねいに議論し決めていくことが大切である。協働コーディネーターは専門家主導にならないように専門家の関わり方を含めて、全プロセスとプログラムと参加者の集め方のデザインについても責任をもつ。

 ところで専門家の活用で往々にして冒しやすい間違えは、例えば公園のワークショップを実施するときに、公園の設計の専門家にコーディネーター及び総合ファシリテーターを任せてしまうことだ。公園の設計が専門ではあるが、参加のデザインの専門家としての教育、訓練を受けている訳ではない。参加型の会議やワークショップの協働のコーディネートは参加のデザインの専門家が担う必要がある。

 また、えてして設計やデザインの専門家はその力量が高ければ高いほど、無意識のうちに「先生」となり、結果として自分の設計やデザインを一般の人々に押しつけてしまう傾向がある。協働コーディネーターには、そうした専門家と一般の参加者の対等性を確保する役割もある。

 これが、協働コーディネーターという新しい「職能」が必要なゆえんである。
 
Bプロデューサーとしての力量が必要

 協働コーディネーターは、ファシリテーターとしての能力と幅広いネットワークをもつと同時に企画、人事、予算の責任を負うプロデューサーでもある。 相談、アドバイス、指導をするコンサルタントとは一線を画する。

 プロジェクトを立案し、そのプロジェクトの遂行に必要なヒト、モノ、カネの調達方法、そのプロセスをデザインし、目標を達成し、成果を上げる全責任を負う役割であり、強いリーダーシップも必要である。

 
C協働コーディネーターと司会者の違い
一般にファシリテーターやコーディネーターと司会者が混同されていることがよくある。その役割、機能、位置づけは大きく違う。その違いをわかりやすくするために、プロデュース能力、立場、方針、問題の抽出、調整能力、話の進め方の6点から見ておくと、下の表のようになる。
 
協働コーディネーターと司会者の違い

コーディネーター

司 会 者

プロデュ―ス

 

プロデュース能力をもち、参加のデザインを行う

プロデュースされる役割の一つ

立 場

 

中立、スポンサーの意向や権力に左右されない

スポンサーの意向重視

方 針

方針を出す役割

方針に従う役割

問題の抽出

問題点を抽出、整理、分析する

まるくおさめる

調整能力

リーダーシップを発揮する

出された問題点を確認して伝える

話の進め方

シナリオなし、臨機応変に行う

シナリオあり

 

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