へぇ・・・おめー、なかなか話せるじゃんか。
おんなって、もっと、爬虫類とか気持ち悪がると思ってたぜ。
根性あるじゃねえか。見直したぜ。こっちに来な。
ゼフェルの私邸の庭には、ちいさな池があった。その、申し訳程度のちいさな池に向かって歩く。
この池は、オレが来るまでは無かったんだぜ。
他にも、オレが色々とここを改造してるんだ。やっぱ、長く暮らすからにはそれなりに自分が快適だって、思えねえとな。ただでさえ、したくもねー守護聖なんざをやってんだからさ。

・・・居ねえな。また、リュミエールんちの噴水まで行ってやがるのか?
いや、おめーが知ってるかどうかは知らねえが、リュミエールん家にはでっけえ噴水があるんだ。
こないだ、初めてカメが行方不明になって、探してたところにリュミエールが・・・
は、おめーにも見せてやりたかったぜ。リュミエールのヤツが相変わらずニコニコしながら、オレのカメ持ってやってくる姿。悪いが笑ったぜ。ミス・マッチとはああいう事を言うんだろうな。
しかもだ、抱かれてるカメまで笑ってんだぜ。あきれちまうぜ・・・っとに。
なんかさー、まるでこの池じゃ子供だましだってカメに言われてるみてーであったまくるよなあ。
ここには地下室があるから、でっけえ池作っちまうと、地盤が不安定になるから、ってルヴァに言われてなんとかぎりぎりで作ったんだぜ。それをよー・・・・・・
わりいな。おめーに愚痴を言ってる場合じゃなかったぜ。
見せてやらねえと、約束不履行になっちまう。ちょっとここで待ってな。

ゼフェルは池の前にしゃがみこんでじっと水面を見つめている。
ちゃぷん・・・
水飛沫が上がった。同時に「ひょこ」と何かが水面から覗いた。

お、居るじゃねえか。さっきからご主人様がお呼びだってのに、随分とご挨拶だな。
よーし、約束どーり、おめーもオレのカメ、見れただろ?あいにくと、まだ一匹しかこの辺に見つかってないんだ。
ほんとはさびしーから、あと一匹居ればな・・・って思ってるんだけど。
もし、森の湖とかで見つけたら、絶対教えてくれよ。
・・・いけねえ。もう、こんな時間かよ。えっと・・・また二人で遊ぼーぜ!

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