焼肉店にて…partV

やっぱり毎度の事なれど。

執務の終わりにサラとパスハが焼肉店に立ち寄る。
そう。未だに二人はそんな仲なのだ…とまあ、そんな事は置いといて。
 
サラ「ねえ、あそこに居るのって…」
パスハ「ああ…間違いない。守護聖様が来られるのは随分久しぶりだな。」
 
2人は、店内に入ってきた守護聖達の様子を、久々に見守った。。。
 

颯爽と、その司るサクリアそのままに店に入ってきたのは、風の守護聖ランディーだった。
今までの話しの流れからすると、焼肉好きのオスカーにでも連れてきてもらったのだろうと推測が立つ。
が、しかし話の展開は予想通り、見ている2人を驚かせるのである。
両手を頭の後ろに組んで、口笛など吹きながらランディーの後に続いて入ってくるのは、
やっぱり意外な人物……鋼の守護聖ゼフェルなのであった。
ランディーが店内を見まわして座る場所を決めようとしていると、
ゼフェルはさっさと窓際の席にどさりと座った。
少しして、振り向いたランディーは、ゼフェルが座っているのに気が付いて
慌てて同じテーブルの正面に座る。
ランディー「ひどいなぁ、ゼフェル。座ってるんなら、早くそう言ってくれよ。」
ゼフェル「んあ?ちったぁ、気づけよ。」
ウェイトレスが2人にメニューを渡し、水の入ったコップとおしぼりを置く
「お、オレの好きな辛いモンが沢山食えるじゃねーか。」
メニューを見ながら、ゼフェルは上機嫌で頼むものを決めている。
しかし、全てサイドメニューである事には2人とも気づいてないらしい。
早速ランディーはウェイターを呼びとめ、オーダーした。
「あ、すいませーん。注文いいですか?キムチ2皿、カクテキ1皿、ユッケ1皿、
カルビ2皿、ロース2皿、レバー1皿、鶏肉1皿、小袋1皿、
チヂミ2皿、野菜焼き1皿、海鮮盛1皿、野菜スープ2皿、ビビンバ2皿。
あと、コーラ2つ。」
「なにぃ!!あ、コーラは1つでいいかんな。その代わり、水こまめにくれよ。」
ランディーのオーダーの最後のみを訂正して、ゼフェルはコップの水を一口飲んだ。
「よし、うめぇ水だな。…にしても、おいっランディー!オレはコーラなんか飲まないっつったろ?!」
「え?そうだったっけ?ゼフェル、それは悪かったな。」
…にしても凄い量ね。流石は食べ盛りの守護聖様お2人だわ。と、サラが微笑ましく2人を見守る。
ランディーは、店内をキョロキョロしてふと、パスハとサラの存在に気が付いた。
「おい、ゼフェル。あそこにパスハさんとサラさんが来てるぞ。挨拶しに行こうぜ!」
腰を浮かして、今にも椅子から立ちあがりかけたランディーを、ゼフェルが素早く制する。
「はん。あいつらよーっく見てみろよ。今、せっかく2人でお熱く過ごしてんだぜ。
それをおめーは、しゃあしゃあと邪魔しに行くつもりかよ。」
ランディーは、ゼフェルに言われて改めてパスハとサラの姿を確認した。
確かに、美男美女のカップルが仲睦まじく焼肉をしている様子は、他者の入りこむ隙も無いほどだ。
ランディーは、赤面して俯いてしまった。おおかた、「俺もアンジェとあんな風に…」
とでも考えたのだろう。相変わらず、風の守護聖は判りやすい。
2人がそうこうしているうちに、テーブルにはカクテキとキムチ、そしてコーラがやってきた。
「お、なかなかイケルぜ。おい、ランディー。おめーも食ってみろよ。」
ゼフェルに言われてランディーは、カクテキをひとつ食べてみた。
うん。確かにとっても辛いけれどこれはこれで、なかなか美味しい。
「うん、とっても美味いよ、ゼフェル。」
「そっか、そっか。ヘヘ。」
……普段険悪な2人も今日ばかりは良い感じである。
と言うのも、今日2人が揃って焼肉店に来たのにはこんな訳があった。
オスカーから、焼肉店にリュミエールを連れて行って以来すっかり、
犬猿の仲だった彼の守護聖と仲良しになってしまったと聞かされたランディー。
元来ゼフェルとうまくやっていきたいと思いながらも彼のペースにはまって
喧嘩ばかりしていた彼の事。この話しに飛びつかない訳が無い。
が、普通に焼肉に誘った所でゼフェルがすんなり付いて来るわけが無い。
そこでランディーは、ゼフェルにこんな事を提案した。
相変わらず執務室でも機械いじりに余念の無いゼフェル。
来訪したランディーに、ちらっと一瞥くれると無視して再び手元に意識を集中する。
……こんな事では負けないぞ!
ランディーは、心密かにそう呟いて、ゼフェルにこう、声をかけた。
「なあ、ゼフェル。焼肉製造マシーンを造ってくれないかなぁ。」
……と、そんなこんなで"焼肉製造マシーン"を造る参考にすべく、ゼフェルは今ここに居たのだった。
続いて、ユッケ、カルビ、ロース、レバーが次々と運ばれてきた。
ランディーは、面倒見良く自分とゼフェルの分のタレにニンニクのすり下ろしと辛味を乗せた。
もちろん、ゼフェルの辛味は山のように入れるのを忘れない。
「ほー、確かに焼肉ってのはめんどくせーよな。いちいち肉を焼かなきゃなんねーんだもん。
判った。オレ様特性マシーンは、最初に肉を入れておけば、勝手に適量を鉄板に出して
自動的に焼いてくれるように造ってやる。ヘヘン、どうよ?ランディー。」
自信満々なゼフェル。彼は焼肉の醍醐味をまだまだ理解していないようだ。
「わあ!それは凄いや。ゼフェル、君って本当に器用なんだな!!」
そして実は、ゼフェルとメッチャ気が合ってるんじゃないだろうかと思わせるランディーの反応。
そうして2人で鉄板を囲み、すっかり和やかに焼肉を堪能した。
無理をしなくても、ランディーとゼフェルは非常にこういう意味で気が合っている。
そう思わずにはいられない光景を、サラとパスハは微笑ましく見守っていた。
その後焼肉製造マシーンが出来たか出来ないかは…定かではない。

基本的に、焼肉奉行は世話好きなランディーだと思われますが、実はお茶目なランディーに
突っ込みを入れつつ振りまわされているゼフェル。
真の焼肉奉行はどちらなのでしょう( ‥)ン?
〜次回に続く〜(多分)
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