焼肉店にて…partU
やはり毎度の事なれど。
執務の終わりにサラとパスハが焼肉店に立ち寄る。
サラ「ねえ、まさかと思うけど、あそこに居るのって…」
パスハ「最近、守護聖様の間で焼肉を食べるのが流行っているのか。」
2人は、店内に入ってきた守護聖達の様子を、今日も見守った。。。
るんるんな表情で、先ず店内に姿を現わしたのはオスカーだった。
彼は焼肉がこの上なく好きなのだから、まあもっともな話しだ。
では、やはり連れはジュリアス様なのだろう。そう思った2人の期待を裏切るべく、
そっと店内に入ってきたのはリュミエールだった。
前回に引き続き、これまた意外な取り合わせである。
オスカーは、つい、いつもの癖で連れの椅子を引いてあげる。
それを見て怪訝そうなリュミエール。リュミエールの表情を見て“しまった”という表情のオスカー。
オスカー「今日は俺のおごりだぜ。じゃんじゃん食べてくれよ。なぁ、リュミエール。」
リュミエール「はぁ…、ありがとうございます。」
見るからに場慣れしないリュミエールをよそに、オスカーはメニューを開いた。
「俺に任せてくれる、な?」
そう言うが早いか、オスカーはウエイターを呼び止める。
「生ビール大ジョッキ2つ。カルビ2皿、タン塩1皿、椎茸焼き1皿、海鮮盛1皿、
レバー1皿、卵スープ2皿、ライス2皿。あと、カクテキひとつ。」
オスカーのオーダーを聞いているだけで、溜息が出そうなリュミエール。どうしてオスカーはリュミエールをここに?
「焼肉屋に人を連れて来るっていうのは、案外楽しいものなんだぜ。
せっかく今回の惑星調査では、お前とパートナーを組んで成果をあげた事だし。
まあ、今夜はパーッと祝杯をあげようぜ。ハッハッハ!」
そう言っている間に、早くも生大ジョッキが2人の目の前に運ばれてきた。
ジョッキをガッシリと掴むオスカー。リュミエールもジョッキを手にしてみる。
「さあ、2人の任務の成功に、乾杯!!」
「乾杯。」
生ビールを爽快に飲み干すオスカー。いやしかし。リュミエールも案外美味しそうに飲んでいる。
「お!繊細な顔つきの割には、なかなかいい飲みっぷりじゃないですか。水の守護聖殿。」
オスカーはカラカイ半分にそう言うと、ちょっと意外そうに目の前の小皿を眺めた。
何時の間にやら小皿には、焼肉のタレにたっぷりのニンニク。加えて辛味まで乗せてあったのだ。
同じ皿はリュミエールの前にもある。
「お前、焼肉屋にはよく来るのか?」
「いいえ。これが初めてですけれど?」
何故そんな事を聞くのか、不思議そうな表情のリュミエールを前に、
オスカーは一瞬、もっと不思議そうな表情をした。
しかし、細かい事にはこだわらない性格のオスカー。まあいいかと受け流す。
だが、その傍からリュミエールは突如、片手を挙げてウエイターを呼び止めた。
「あ、すみません…生ビールのおかわりを2つお願い致します。」
オスカーは、自慢じゃないがどんな店でも手際よく振舞う自信があった。
常に同伴者をエスコートする。それがオスカーのモットーだったから。
しかし、何だか今日は、自分が連れてきた筈のリュミエールの世話になりっぱなしだ。
オスカーは、リュミエールに対してちょっと戦闘意欲が沸いてきた。
…絶対、俺がエスコートしてみせる!!!!
かくて、聖地の伊達男オスカーは、水の守護聖相手に焼肉奉行と化すのであった…。
そうこうしているうちに、タン塩とカクテキとライスがやって来た。
「リュミエール、先ずはこれ…」
オスカーがタン塩を焼こうと箸を伸ばすと、何故だか鉄板の上にタン塩を乗せているリュミエールが視界に入る。
先程のオスカーの決心なぞ知る由も無く、至極当然のように、である。
まあ、焼くものがそれしかないのだ。オスカーもそう自分を納得させた。
しかし、リュミエールの行動は何故か素早い。
何とかタン塩をひっくり返す事ができてほっとしたオスカーの目の前で
今度は、嬉しそうにカクテキを頬張っている。
そしてスープと海鮮盛りとレバーとカルビが来た。オスカーは勇んで海鮮盛りを鉄板に乗せた。
「オスカー、タン塩が良い頃合のようですよ。」
オスカーの目の前のレモンダレの小皿には、たった今リュミエールが置いた
いい焼き加減のタン塩が1枚置いてある。
“しまったぁぁぁぁ”
またしても、リュミエールに先を越されてしまったオスカーは心で叫んだ。せめて…
「これも焼けたようだぜ。さあ。」
そう言って、なんとかリュミエールの小皿にタン塩を置く。
「ありがとうございます。」
にっこりと微笑むリュミエール。それに返すオスカーの笑顔は結構引きつっている様だった。
「では、オスカー。椎茸も美味しそうに焼けましたから貴方にはこれを。」
「椎茸?いつ来たんだ?」
「え?今さっき運ばれてきましたけど???」
タン塩をリュミエールに渡すのに必死になっていたオスカーは、椎茸の存在に気が付かなかった。
またしても失点。
こうして、何故か始めて来たのにも拘らず要領の良いリュミエールに、
オスカーはエスコートをしてやるのを諦めた。元来世話は焼かれる方が性に合っている。
「さあ、オスカー。このカルビはひっくり返したらすぐ食べちゃって下さいね。」
「ああ、ありがとう。」
「では、それまでこれをどうぞ。」
「…海老か?」
「よく焼けていますよ。はい。」
…これじゃあ、まるで夫婦の食卓ではないか。しかし、役割分担と言うか適材適所というか、
実に二人とも嬉しそうである。
世話を焼かずに居られない性分のリュミエール。
お世話されるのが大好きな、親分肌のオスカー。
同じ店内に居る、パスハとサラの焼肉風景と寸分違わないカップルがここに…(爆)
今回の焼肉奉行の称号は、リュミエール様に決定(笑)
さて、次回はどなたの法則が飛び出るやら(汗)
〜次回に続く〜(多分)←本当?
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