水色の長い髪

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宮殿から森の湖までは、普段なら軽い散歩コースになる程の距離がある。
鬱蒼と覆う木々の葉の隙間からこぼれる木漏れ日の輝きが、前を行くリュミエール様の水色の髪に不思議な虹をかける。
そんな様子をうっとりと眺めていると、たまにリュミエール様が気遣わしげにこちらを振り返り、私を慌てさせる。
些細なことの全てがいとおしい。そんな一時。
でも、リュミエール様と一緒に歩いていると、まるで時間に羽根が生えたかの様に、あっという間に目的地に到着してしまった。
 
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森の湖は、いつ来ても静かで美しい。
湖面には眩しい光がラメの装飾を施し、鳥のさえずりは赤ちゃんの笑い声の様に心を甘い幸福で満たしてくれる。
ここに、あの人と2人きり。。。
 
「さあ、着きましたよ。」
リュミエールさまは、湖のほとりに立ち止まって微笑んでこちらを向く。
それは、私にとって湖面に反射する光より、眩しい気がした。

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次回へ続く
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