「今日はリュミエールさまのお誕生日だって聞いて、その…これを。」
 
わたしは、昨晩一生懸命に書いたお誕生日カードを差し出した。
 
「…わたくしの誕生日をご存知だったのですね?あなたに祝って戴けるなんて、とても嬉しいです。」
 
そして、さっきのメイドさんがタイミング良くケーキを持って来た。
 
「…わたくしの周りの方々に、こうして思いやって戴けて本当にわたくしは…」
 
お渡ししたカードを大切そうに何度も何度も眺めて、リュミエールさまはにっこりと微笑んだ。
 
「今年のこの日、わたくしの目の前に舞い降りた天使に感謝致しましょう。
あなたがここにいて下さる。それが、わたくしにとってはかけがえのない贈り物なのですよ。」
 

 
「…これをお渡ししなくって、よかった。」
 
自分の部屋に戻ってからも、ドキドキは収まらない。
リュミエールさまから、あんなお言葉が聞けるなんて。
わたしは、革ジャンの入った包みをそっとチェストの上に乗せた。
 
この革ジャンは、今日の記念に自分で持っていよう。
 
緊張の糸はまだ切れそうにない。けれど、1日緊張していた所為か、思いのほかあなたは早く眠りについた。
 
そして、夢をみた。
 
 
いったいここが何処なのかは判らない。
判るのは、リュミエールさまの水のサクリアに満ち溢れた場所だ、ということだけ。
薄暗くて今まで見た事もない場所なのに、ちっとも不安じゃないのはきっとその所為だろう。
 
…?
遠くから、わたしの名を呼ぶ声が聞こえてくる。
…誰?
なんだか懐かしいような気がする。
意識をかすめる様々な人。
−遠い親戚?
−クラスメイトの男の子?
−それとも?
 
だんだん、声は近くにやって来る。
なんだか最近、この声を聞いたような。。。
 
 
突然、薄暗がりの中から愛しい人が現れる。
 
「あなたをお待ちしていました。運命の糸に導かれてここで。」
 
リュミエールさま!
わたしが用意した、革ジャンを着ているような気がした。
 
 
…そして、そこで、目が覚めた。
確かに着ていたと思う。チェストの上に乗っているあの革ジャン。
とても、似合っていた様に思う。
そして、こころがとろけてしまいそうな、あの言葉は革ジャンがもたらしてくれたような気さえする。
 
知らず、わたしは昨日陽の目を見なかったプレゼントの包みを手に取ると走り出していた。
リュミエールさまのお家に、これを渡しに………
 
  
  HAPPY  BIRTHDAY !! 
…そしてどうなったのか?続きはあなたの心の中で♪
to チェスト
  
     因みに、ファンクラブに掲載された方には水色真珠さまが描いて下さった挿絵が付いています^^