「今日はリュミエールさまのお誕生日だって聞いて、その…これを。」
 
わたしは、おずおずと包みをリュミエールさまに差し出した。
さっき散々持って頂いたのに、また渡すなんてちょっぴり変な気分だけれど。
 
「ああ!これはさっきの。わたくしの誕生日をご存知だったのですね。」
 
リュミエールさまは、そう言いながら包みを手に取った。
 
「ありがとうございます。あなたから贈り物を戴けるなんて、とても、嬉しいのですよ。」
 
満面の笑みで、大切そうに包みを抱きしめているリュミエールさま。
こちらまで、嬉しくなってしまう。それと同時に緊張もする。
果たして、中身は気に入って頂けるのだろうか?
 
「…いま、開けてよろしいのでしょうか?」
 
リュミエールさまは、期待を込めた眼差しでわたしを見ている。
わたしは、最後の悪戯を思いついた。
 
「いえ。明日、わたしと会うときに着て来て下さい。それはお洋服ですから。」
 
一瞬驚いたような表情をしていたリュミエールさま。
当然、今開けてよいと言われるものだと思っていたのだろう。
でも、すぐににっこりと微笑んだ。
 
「了解致しました。明日、必ず。」
 

 
そうして、幸運にも日の曜日の翌日が訪れた。
リュミエールさまとは、わたしが私邸にお伺いするという事でお約束をしてあった。
うふふ。
リュミエールさまが、ちゃんと着ていて下さるか、とても楽しみ。
リュミエールさまの事だもの。
きっと、ビックリなさって、それからくすっと笑って、着てくださるに違いない。
 
呼び鈴を鳴らす。
お約束の時間より、ちょっぴり早いけれどいいでしょう?
だって、はやくお会いしたいから。
 
扉はすぐに開いた。
リュミエールさまが直々に出て下さった。
でも。
リュミエールさま、顔がちょっぴり桜色?
 
えーっ!!
 
一瞬の後、わたしの顔も、きっとリュミエールさまに負けないくらい桜色に染まっていたと思う。
だって…
 
リュミエールさまは革のつなぎをお召しになって、その上からわたしの贈った革ジャンを羽織っている。
その、体にぴたぴたの革つなぎったら、目のやり場に困っちゃうくらい。。。
 
「…そんなに照れないで下さい。わたくしも、ちょっと恥ずかしいのですから。さあ、お入りなさい。」
 
恥ずかしいと言いながらも、リュミエールさまはわたしの手を取ると、屋敷の中に入れてくれた。
 
「リュミエールさま、そのつなぎは…?」
 
開口いちばんにわたしがそう尋ねると、リュミエールさまはリビングへの廊下をゆっくりと歩きながら話し出す。
 
「…実は、昨日あなたからこれを戴いて、明日これを着てお会いするお約束を致しましたよね?
あの後、オリヴィエがわたくしの誕生日を祝いに来て下さって、どうした事かこれを下さいました。
革ジャンに合わせるならば、と思い切って着てみたところで、あなたがお見えになったので、
着替えを考え直す余裕がなかったのです。」
 
…どうやら、ファスナーを締める余裕もなかったようで、あなたは本当に目のやり場に困った。
 
「さあ、今日は何を致しましょうか?」
 
リュミエールさまが、リビングの扉を開けながら、そう言う。
 
「魔法をかけて下さい。来年も、また2人でお誕生日をお祝いできる魔法を。。。」
 
リュミエールさまは、くるりと振り返ってわたしを見つめ、そして………
 
 
  HAPPY  BIRTHDAY !! 
…そしてどうなったのか?続きはあなたの心の中で♪
 
to チェスト
  
     因みに、ファンクラブに掲載された方には水色真珠さまが描いて下さった挿絵が付いています^^