-
-
B型 のあなた。
-
-
リュミエール様のお誕生日が近づいてきた時に、私はこれを思いついてひとり、心浮き足だっていた。
-
普段は結構ずぼらでうっかりものの私だけれど、こと愛する人のお誕生日に関しては違う。
-
心がうきうきしてくる。何をあげようか?何が喜ぶか?
-
こんな、刺激に満ちた気分のなかで決めたもの。
-
うふふ。リュミエールさまに革ジャン。
-
一体、誰がこんなプレゼントを思い付くでしょう。
-
そう。
-
恐らくリュミエール様にこれをプレゼントする人は他には絶対居ない筈。
-
今までだってあの方がこれをもらった事…いいえ。着たことすら無い筈よ。
-
そんな贈り物を思い付いた自分に、思わず笑いがこみ上げてくる。リュミエール様は、最初驚くかも知れない。
-
でも、優しいあの方は、必ず着て下さる。しかも、すっごくカッコイイ筈。着心地はわたしの保証付だし♪
-
-
この贈り物を思い付いた時から、わたしはあれこれ計画を練っていた。どうせ渡すなら、何か効果的な演出をしたい。
-
さて。。。
-
一体どんな演出をしようかな。リュミエールさまがハッとするような…
-
-
-
「けっ!おめー、なにやってんだよ。」
-
遠く、上の方から声がする。。。
-
「?」
-
慌てて目を開けると、ゼフェル様の紅い瞳と目が合った。
-
-
。。。私ってば、寝てたみたい。。。
-
-
「オレじゃねえんだから、こんなトコで寝てんじゃねえよ。ま、ここは確かに寝るにゃあ最高の場所だよなぁ。」
-
そう。聖殿の中庭のテラス。
-
爽やかな風が吹きぬけ、日差しは柔らかく包み込む、まるで常春な場所。しかも、置いてあるロッキングチェア-の背もたれは大きくて、
-
後ろから見れば誰かが座っている事すら判らない。
-
ゼフェル様は、向かいのロッキングチェア-にどさりと体を沈めた。
-
「…もうすぐ3時のお茶の時間だぜ。ここで昼寝するなら午前中にするこったな。お茶の時間まで眠りこけてっとルヴァに見つかるぜ。」
-
ゼフェル様は、からかう様にそう言った。
-
私としては、ルヴァ様よりもリュミエール様に見つかりたくないな。
-
そう思いながら、ゼフェルさまと少しお喋りを楽しむ事にした。
-
ゼフェル様とは、なんとなく気が合うような気がする。一緒に居て楽なのだ。
-
血液型が同じな所為?
-
-
3時が近くなったようだ。こちらにやって来る、ルヴァさまとマルセルさまの姿が見える。
-
いま、私はゼフェルさまと育成の量と頻度の相関関係について、夢中で話していた。
-
日頃から、どんな育成が無駄なく楽に効果を発揮するのか、気になっていたのだ。
-
ゼフェルさまが、それについてこんなに詳しいとは思わなかった。
-
ふふ、日頃の疑問が解消しそう。。。
-
-
あきれ顔で、私達の話す内容を聞いていたランディーさまが、ふとゼフェルさまの皮手袋を手に取った。
-
「ゼフェル…これって便利なのかい?」
-
「ん?ああ、まあな。大きな工具を扱う時のすべり止めって奴だな。」
-
ゼフェルさまは、そう言うと、自分の手から皮手袋を片方外してわたしの手にはめた。
-
「細けー作業すっ時は、やっぱ素手がいちばんだけどよ。」
-
思わぬ皮手袋の、見た目と違う柔らかい手触りに、わたしは強く確信を得ていた。
-
-
…これなら、リュミエールさまもOKねっ!!
-
-
-
そうして、今私の手にはラッピングしたこげ茶色の革ジャンがある。
-
-
「リュミエールさま」
-
後姿のリュミエール様に、そっと声をかける。
-
リュミエール様はゆっくりとこちらに振り返った。
-
-
NEXT