『Forever』
1999.10.20 from 皐月
 青い空から穏やかな日の光が湖面に映り、それはキラキラ螺旋となって彼に降り注ぐ。
 さわさわと木の葉を揺らす風の音が耳に届くと同時に、水色の髪がふわりと踊った。
 時折、岸に咲く馨しい花の香りに誘われて、小鳥やリスもここを訪れているようで、鳴き声が響いている。
 森の湖の最奥にあるこの小さな東屋は、水の守護聖の館から程近い場所にあった。
 彼が飛空都市に来てからすぐに見つけたもので、長く時を過ごしてもその静寂が破られたことがないことから、
 おそらく他の守護聖や住民もまだ気付いていないらしかった。
 しかしある時、金の光を宿した少女が、まるで幻想世界からの来訪者のように姿を現したのだ。
 それ以来、ここは二人の秘密の場所になった。
「あの・・・」
「はい、何でしょう?」
「いいえ、何でも・・・」
 最初はためらいがちに。
「今日、夢を見たんです。守護聖様方が出てらっしゃって」
「私は出てきましたか?」
「はい!夢の中でも、リュミエール様とってもお優しかったです!!」
 そんな他愛のない会話。
「私でよければ、何でも話してくださいね」
「ありがとうございます、リュミエール様」
「いいえ、あなたのためなら・・・」
 言葉の端々に紡ぐ想い。
 ───いつの間にか、あなたが来るのを待っている私がいる・・・。
 そんな日々をくり返すうち、リュミエールが自らの中に生まれつつある感情に気づくまで、時間はかからなかった。
 気がつくとつい東屋に足を向けてしまう。金の軌跡を、面影をだどってしまう。
 そうして彼女が来た時に向ける自分の微笑みは、子供のように純粋であるだろうと、想像したりもした。
「それじゃ、リュミエール様・・・」
 楽しい時は瞬く間に過ぎて行く。
 夕暮れが空を染めるころ、二人は別々の館へと戻らなければならなかった。
「また・・・お会いしましょう」
「はい!きっと、また」
 最後に交わされる挨拶は、もう一度ここで会う約束。
 それが明日か明後日かなどわからないが、僅かな胸の温かさと期待を感じた。
 あなたを想うのは罪でしょうか。
 職務をまっとうすることすらできず───いいえ、もしかしたら、守護聖としての私自身さえ否定する想いなのかもしれません。
 何よりも、あなたの目指すもの、あなたの夢を奪うとしたら・・・。
 私の中にある水のサクリア───優しさを司るというこのサクリアに、何の意味がありましょう。
 なのに、いっそ忘れてしまおうと思うほど、あなたに囚われてしまう。
 その笑顔の輝きに魅せられて。
「愛して・・・います・・・」
 口に出すと、ひどく現実味があるような気がする。
 同じ言葉が返ってくることを願ってしまうのは、恋故に・・・。
 永遠はありえない。
 このままの時が続くことを願っても、彼女が女王になってしまえば、それも儚い夢と消える。
 それでも、願う。永遠を願う。
 もはや抑えることができないほどの、狂おしい胸の痛みに耐えながら───。
 愛は、時に残酷に。


 〜FIN〜


〜皐月より〜<br>

あああ、もう、すいません(T_T)記念日に遅れただけでなく、こんなわけのわからないもの送りつけちゃって(^^;)

ふっと頭に浮かんだんですぅ、ホントに突然に・・・。

結局リュミ様ってば何を言いたかったのか、さっぱり(爆)ホントにすいませんーm(__)m

ではでは、ayarinさん、HP一周年おめでとうございます!

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