この手にもう一度抱けるとは、思っていなかった。
燃える炎の中、確かに君を見つけた。
余りにも酷似する懐かしいその姿。
この器が、欲しいと、思った。
流れ星のように突然に目の前に現れたそのひと…。
まるで私を守護する者のように。
寂しげな瞳に心を射抜かれた。
私を見つめるその眼差しを、信じたいと思った。
知るにつれ、辛くなる。
身も心も余りにも似過ぎている。
最適な器。それ故に傷つける事が怖い。
もう一度、心の時を戻して、やりなおせたら…。
街で偶然手にした素焼きのオカリナ。
あの人が好きなのだと知って、そっと贈った。
喜んでくれるのが、嬉しくて…。
本当に、嬉しくて。
だけど、あの人がオカリナを好きな理由は…。
全てを知った時、私は運命を嘆いた。
何故、私が先に出逢えなかったのか。
何故、私が彼女に似ていたのか。
彼の瞳の奥に映る姿…。私はレプリカ。
彼の心の瞳は、いつも違う誰かを映している。
いっそ、違う姿をしていたなら。
そう、願わずには居られなかった。
運命を呪え。そして己の姿を呪え。
狂喜の中で倒錯する俺の心。
もはや、真実などどこにも見当たらない。
お前のレプリカが目の前で微笑むだけ。
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