ワンポイント・アドバイス



   1)  M5の場合、しばらくお使いにならない場合は巻き上げレバ−を7〜8分目まで
      巻き上げておいて下さい。また、バッテリーも必ず外しておいて下さい。
      バッテリーに関しては、M6、MRメーター、R型、フレックス等にも言えます。

   2) カメラ全般に言えることですが、あまり乾燥させますと皮の部分が硬化して
      ボロボロになってしまいます。皮の部分だけは手の油がつくくらいで丁度良
      いです。 また 光学系についてはバルサム、メッキ部分がはがれやすくなっ
      てしまいます。

   3) レンズ全般に言えることですが、ヘリコイド部のグリースを最低でも3〜4年
      に一度の割合でグリース交換して下さい。特にエルマー3.5/50などヘリコイド
      ねじ部が外側に露出している物は、グリースの交換を毎年行って下さい。
      ヘリコイド部にガタが出てきますと、距離計で、∞にしたとき、だんだん行き
      足りなくなってきます。そうなってからではもう手遅れです。
      ヘリコイドグリースの定期交換をお忘れなく。

   4) カメラは機械物ですからあまりしまい込んでますと、だんだん調子が悪く
      なってしまいます。なるべく表に出してどんどん使用して下さい。また、
      オーバーホールのサイクルは7〜8年に一度の割合で行って下さい。尚、
      使用状況、保存状態、により変化します。(コレクションされている方は、
      このサイクルがもっと短くなってしまいます。)

   5) M3の初期型は遮光の対策がまだ甘い時期ですから、天気の良い日や、
      雪山、海岸などではレンズキャップをお忘れなく。
      写真を撮っているときではなく、ぶらぶら移動している時にレンズから
      光をもらってしまいます。

   6) M3の1回巻きのタイプは2回でも3回でも巻き上げが出来ますが、なるべく
      1回で巻き上げて下さい。1回巻きのタイプを小刻みで巻き上げますと、
      ラチェットギア部が破損する可能性が大きいです。2〜3回で巻き上げる癖の
      ある方は最初から2回巻きタイプを購入しておいた方が良いかと思います。

   7) アイレットに取付けるストラップの先端のリングは、丸リングで、サイズが約
      18mm経位の物を出来れば使用して下さい。丸リングが付いていれば、
      後のストラップの部分は、皮でも布でも。アイレットの部分は、ビスやナッツ 
      で締まっている訳ではありません。ただ、カシメ ているだけです。したがって、
      無理な抵抗が加わると、回ってしまいます。そして、そのままにしておくと、
      アイレットがカメラから外れて、最悪の場合、カメラが落下してしまいます。
      そうなってからでは、後の祭です。注意してください。もう既に、落下させて
      しまった方が大勢いらしゃいます。

   8)  M5の巻き上げレバーを7〜8分目まで巻き上げておく理由。(保存時)
      まず、シャッターを切ったままの状態では、ブレーキ部分に、負荷が100%
      かかったままです。そのうちに、だんだんブレーキが効かなくなり、
      メインローラーに、負荷がかり出します。そのうちに、メインローラーが破損
      してしまいますと、巻き上げも、何も出来なくなってしまいます。
      そうなってからでは、高額な修理となってしまいますので、十分に注意を
      して下さい。<最近、どうもシャッター音がうるさくなって来たな〜>
      と感じた場合、手遅れにならないうちに、メンテナンスをして下さい。

   9)  最近、バルナック型を使用されている方で、フイルム装填時に、テレフォンカード
      等を差し込んで、装填されている方が多く見うけられますが、これがかなり
      くせもので、カメラを壊している方が増えてきています。フイルムをカットせずに、
      カード等を差し込んでから、フイルムを装填しますと、(確かに便利ですが)
      装填時にフイルムが切れて、その破片がカメラ内部に侵入して、シャッター幕を
      傷つけたり、ギアの間に挟まってしまい、巻き上げが調子悪くなったり、色々と
      トラブルが発生しています。
      (フイルムの破片の為に、何万円もの修理代がかかってしまいます。)
     暇な時に、面倒でもフイルムを長めにカットして、保存されておいては
     いかがでしょうか。・・・・・

  10) カメラ内部(マウントの中)をブロアーなどで掃除しますと、逆に、フイルムの粉、
      ゴミ等、を巻き上げてしまい、ファインダー内部が逆にゴミだらけになって
      しまう事が有りますので、ご注意下さい。(ファインダー部は、密閉されてません)
      ご自分のミスで、ファインダー内部をゴミだらけにしてしまい、ファインダー
      クリーニングの修理を出すのは、何とも、お金がもったいないことですね!

  11) バルナック型カメラをあまり長期間作動させないでおくと、いざ、シャッターを
      切ってもスリットが開かないことがあります。 これはシャッター両幕の重なりが
      くっついてしまう為です。こうなってはシャッター両幕の交換しかありません
      金額的にもかなり高額になります。くれぐれも、余り寝かせておかないように。
      後で後悔しないようにして下さい。

  12) 最近メールでのお問い合わせで多いのが、お買いになられたレンズを、カメラに
      装着して、「∞を見たらば少々行き足りない」との事ですが、これは全てレンズの
      ガタによる場合がほとんどです。これはワンポイント・アドバイスの 3) で記載
      している様に、ヘリコイドグリースを定期的(大体の場合3年に1回)に交換
      しませんと、ヘリコイド部の金属が磨耗してガタガタになり、だんだんピントが
      狂ってきます。減った金属は元には戻りませんのでご注意下さい。
      尚、レンズを何本もお持ちで、距離計の∞をどれに合わせるかという問題は、
      (全てのレンズで ∞ がピタリ・・・と言うのがベストなのですが。)
      一番長い玉に合わせるか?一番良くお使いになる玉に合わせるか
      のどちらかの選択になってしまいます。広角レンズは、目をつぶるしかありません
      もし、レンズをお買いになったらば、ヘリコイドグリースの交換だけでも、しておいた
      方が無難でしょうね。(前のオーナーがいつグリースの交換をしたか??)
      頭痛のタネをなくす為にも・・・・・



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  13) しかし、シャッター音が静かであれば良いとは言えません。
      ライカ規定のシャッター速度、そして音が静かであってこそライカなのです。
      例えば、スプリングテンションを下げれば、いくらでもシャッター音は静かに
      なり、巻き上げも軽くなります。しかし夏と冬の気温の変化によりシャッター速度
      も変化し、特に気温の低い時は正常なシャッター速度が開かなくなってしまいます。
      余り、シャッター音・巻き上げの軽さには、こだわらないで下さい。

  14) バルナック型で外観のファインダー等がホコリ・手垢等で汚れてご自分で拭かれる時、
      マウントリング側の左窓丸リングは、Xセンターになっていますので、あまり強く拭き
      ますと、距離計の上下・左右が狂ってしまう事がありますので気を付けて下さい。
      (クルクルと円を描くように強く拭きますと、狂ってしまう事があります。)

  15) M5のストラップは、縦吊りか、横吊りか、どちらが良いか?
      通常、撮影している場合は、横吊りでも構いません、しかし、上下動が激しい時、
      例えば山登り、階段等を下る時、気を付けて下さい。
      コイルを巻いたメーター本体の中心にシャフトがあり、そのシャフトの上下先端に、
      適度な力で支えている軸受けがあります。 横吊りの時、強い上下振動により軸受け
      よりシャフトが外れ、メーター作動不良になります。 ひどい時は、それだけでなく、
      コイル変形により断線することがあります。 メーターは高価なので注意して下さい。
      メーター保護の為に、出来るなら 《縦吊り》 でご使用下さい。
      その他、ライカフレックス・SL・SL−2も同じくご注意下さい。
      (1眼レフは、特に縦吊りには出来ませんので。)
      詳しい構図をご覧になりたい方は、下記の ≪構成図≫ をクリックして下さい。
 ≪構成図≫

16) 第5)で記載している様に、M3初期型の「レンズから光を
    
もらってしまう」と言う件について、実例のネガを記載しました。
    (ちょっとネガに縦傷が見えて申し訳ありませんが)
    カメラによって
上の方に出たり、下の方出たり色々なパターン
    があります。
    「もしかして・・・」とお心当たりのある方がいらっしゃるのでは?
    天気の良い日に1枚写真を撮って、次の被写体を探しに長い
    時間、ぶらぶらと移動している時に、「左のネガ」の様にもらって
    しまいます。 
(撮影時ではなく、移動中にもらってしまいます)
    これは
レンズ交換の時にも同じ事が起こります。
    なるべく日差しの強い時は、
レンズキャップを。 それが面倒な
    方は、なるべくレンズを
内側(ご自分の体)の方に向けて下さい。
    大事な写真がダメになってしまいますよ。
    尚、フォーカルプレーンシャッターの場合は、ある程度は
    仕方が無い事ですが・・・・・

  17) M3の2回巻きのタイプは、2回巻上げた時に尚、巻上げようとすると「ズルズル」と
      回ってしまいます。 これは2回巻きのタイプは1回巻きのように、クラッチを使って無く
      スプリング式の為に起こる現象で、これをやってしまうともう1回巻きのタイプに交換
      しなくてはならなくなってしまいます。  (ここのパーツはもう無い為に)
      急いで、慌てて巻いたりすると「ズルッ」とやってしまう事がありますので、十分に
      気を付けて下さい。  やってしまってからでは、もう後の祭りですので。
   ※ 但し、ここの修理は、1回だけ可能な場合があります。これは実際にやって見なけれ
     分かりませんので。(2回は修理出来ませんので)

  18) M型のシャッターの押しボタンストロークをもう少し浅くしたい、と言う声をたまに聞きま
     すが、ここは規定の寸法が決まっています。多少浅くする事は出来ますが、あまり
     浅くしてしまうと、シャッターは切れるけれども、スリットが開かなくなってしまいます。
     と言う事は、写真が撮れていないと言う事ですので、あまりお勧めは出来ませんが・・・
     尚、M5の場合は特に他の機種よりもストロークは深いです。その理由は、M5の場合
     露出計が内蔵されている為です。SLボタンは当時、M5用にその為に製造された
     物です。そこの所をご理解ください。

  19) 定期的にレンズのヘリコイドグリースの交換を怠ると、「ガタが生じてしまう」事を前回
     記載しましたが、ご自分で確認をする方法として、レンズをカメラにセットして実際に
     無限大に合わせて見て下さい。 そのままファインダーを覗いた状態でレンズの 
     一番先端を下から上に指で「グゥ」っと持ち上げて見て下さい。
     合わせた無限大よりも、可動像が少々行き過ぎてしまう現象の出た方・・・・・・
     それが「ガタ」です。 この「ガタ」がひどくなると、例えば5mの距離に被写体が
     あった場合、「1m」方向からヘリコイドを回して来た時と、「無限大」方向からヘリコイド
     回して来た時とでは誤差が生じて来ます。 ガタがだんだんひどくなると、
     この差がひどくなり、「1m」方向からヘリコイドを回して来た時と、「無限大」方向から
     ヘリコイドを回して来た時の撮った写真のピントに狂いが生じてきたしまいます。
     そうなっては、せっかくの高価なレンズが台無しになってしまいますよ・・・・・
     出てしまった「ガタ」の修理は不可能ですので・・・・・(減った金属は戻せません)

  20) 広角レンズ等で、四角いフードを装着するタイプは、フードを持ってレンズを脱着すると、
     鏡胴部分が回ってしまい、レンズをカメラに装着した時に、四角いフードがカメラに対して
     真直ぐにならずに右や左に傾いてしまいますのでご注意下さい。  尚、ここの修理は
     オーナーの方の「フードを持ってレンズを脱着する癖」を直さない限り、何回でも壊して
     しまいまので、ご注意下さい。 面倒でもレンズの根元を持って脱着をする様にして
     下さい。 尚、「スーパーアンギュロン」の場合はフード自身が壊れてしまいますので。
     ご自分の「癖」を直せば、修理代がかからずに済みますので・・・・・・・

  21) バルナック型のカメラで巻上げる時、ひとさし指だけで「スー」と引き、滑るように
     巻上げる方がいらしゃいますが、確かにかっこは良いですが、そこに落とし穴
     あります。 巻上げノップの根元は、ベアリングを使用している訳ではなく、メタル方式
     ですので、変形した減り方、つまり一方方向にだけ力が掛かってしまい変磨耗をして
     ガタガタになってしまいます。 (直ぐに磨耗する訳では有りませんが・・・)
     特に、Vf・Vg 等などは巻上げ根元部分が アルミ(ボディー側)対真鍮(ノップ側)
     ですので。 又、バルナック型の前期の物(V・Va・・・・)はスプリング方式で、
     真鍮(ボディー側)対真鍮(ノップ側)になっていますが、それでも磨耗は致します。
     磨耗による不具合も、多少、出始めていますので、あまりお奨めは出来ませんが。
     きちんと、2本の指で巻上げになられた方が、良いのでは?
     便利さを取るか? 耐久性を取るか? はオーナー様のご自由ですが・・・・・

  22) バルナック型の中で古いタイプの物は、シャッターボタンの押し方1つで、露出が変化
     する場合がありますのでご注意を。  特に高速シャッター側はシビアですので写真
     影響が出る場合があります。例えば、シャッターボタンを腫れ物を触る様に「ソロ〜」
     押した場合と、通常に「カシャ」と押した場合とでは、露出に差がある物が有ります。
     静かに「ソロ〜」と押した場合、通常の押し方よりも露出がアンダー気味になる場合
     有りますので気を付けて下さい。 大事な写真がダメになってしまう事があります。
     これは故障ではなく、構造上の問題ですので、ある程度は古い物は仕方がありません。
     ご自分のカメラが如何なのか、 テストしてみてはいかがですか? 特に高速側で・・・・

  23) バルナック型で特に高速側で撮った写真に横筋が沢山入る場合がありますが、これは
      バルナック型のシャッター幕(先幕と後幕の重なり合っている部分の各幕の先端部分)
     凸凹になっている為、通常よりも露出がアンダーになると、その横筋が出現してきます
     又、低温の状態で使用した場合も、高速側で発生する場合もあります。
     M型はこの問題を解消する為に、先幕と後幕の重なりの部分を金属にして、凸凹を無く
     し、この現象を解消しています。この横筋が写真に出現した場合は、露出がアンダーに
     なったと思って下さい。 単なる露出計の計り間違えの場合か、カメラのシャッター不良 
      の場合か、低温時の影響か、以上が考えられますので注意をしていて下さい。
      特に、気温の低い場所で撮影をされる方、高速シャッター側の露出にご注意を・・・・・

  24) メガネ付きレンズのメガネの部分は衝撃に非常に弱く、一寸ぶつけただけで、距離計
      上下・左右が狂ってしまう事があります。 修理は可能ですが、結構高額な修理と 
      なってしまいますので、十分ご注意を・・・・尚、大体皆さん、運搬中(バック等に入れて)
      知らないうちに、「ゴツン」とぶつけているみたいですので、せめて、運搬中はハード
      ケース等に入れるなり、何かご自分で工夫して、衝撃からメガネ部分を守って下さい。 
      例え、狂ってしまい修理をされても、再度ぶつけて距離計が狂ってしまえば、何回でも
      入院しなくてはならなくなってしまいますので、その都度、高額なお金を払うのは・・・・
      ご自分の注意一つで、お財布が軽くなるのを防げるのでは・・・・・・・・・・

 ※ このワンポイント、アドバイスは少しづつ追加していきます。
たまに、更新して下さい。

※ 使用上の注意について、何かご質問がございましたら、
どうぞお気軽に、お問い合わせ下さい。


 
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