■池田元久 略 歴

1940年 12月20日に神奈川県で生まれ
1959年 神奈川県立湘南高校卒業
1964年 早稲田大学政治経済学部卒業
1964年 NHKに放送記者として入社
1990年 衆議院総選挙にて初当選(旧神奈川4区)
1994年 神奈川大学経営学部国際経営学科講師
2006年 現在当選5回
The Democratic Party of Japan  Member of the House of Representatives   Motohisa Ikeda official web site
 
 

2月20日 衆議院本会議
所得税法改正案に関連し首相の認識を質する

2月20日の衆議院本会議での、内閣提出の所得税法等の一部を改正する法律案並びに公債の発行の特例等に関する法律案に関する趣旨説明に対して、池田元久議員が質問に立ち、安倍内閣の格差社会に対する不認識、不作為等を厳しく質した。

 安倍総理の格差に関する現状認識は極めて楽天的といわざるを得ない。「経済が成長すれば、雇用の拡大と、非正規雇用者に正規雇用者への道が開かれ、また経済を下支えしている人たちの基盤を強化して上昇させていく」という図式がもし正しければ、いま格差社会がここまでひどく顕在化することはなかったはずである。問題を正確に把握してこそ対策を立てることが可能なのであって、池田議員は、深刻な現状のなかで、なお楽観的な言説を繰り返す安倍総理に対して、「経済が成長すれば格差は解決できると幻想を振りまいてはいけない」と強く批判した。

池田議員はさらに、大規模な減税を実行したものの成長率は期待した程に上がらず財政再建どころか財政赤字を拡大させてしまったレーガノミクスの失敗例を引きつつ、いまの安倍政権の方向性に疑問を呈した。また、「成長戦略」「上げ潮路線」などと言葉ばかりが踊る安倍政権の政策について、抽象的な表現ではなく、わかりやすく政策の道筋を示し、実現の可能性について説明するよう求めたが、安倍総理はパートタイム労働者の待遇改善、最低賃金の見直しなどを列挙するにとどまった。

所得税、住民税の定率減税が廃止されて、ことし6月から1.7兆円の負担増、増税が行われる一方、提出された法案では、減価償却制度や同族会社向け税制の見直しなど、それだけで今年度5500億円余りの企業優遇の減税を行うという。池田議員は、ここ数年来、企業収益が上昇する一方、雇用者の報酬は総じて減少傾向にある状況が続いている点を指摘したうえで、「自公政権がサラリーマンに増税し、企業に減税するというのは租税対策としてはあべこべ、格差是正に逆行する」と批判。また同時に、政府税調が答申で法人税の実効税率の引き下げを真っ先に謳う一方、与党税調は大綱で07年度をメドに消費税を含む抜本改革に取り組む、としている点を取り上げた。この動きに関連して、日本経団連の御手洗会長が法人税の実効税率を10%程度引下げる一方で財政再建のため消費税を2%引き上げると提言していることについて、「金額にすれば、法人税の減税に必要な財源も消費税の増収額も4兆円余りで、ほぼ同額」だと池田議員は分析して見せ、法人税の引下げを国民負担増で賄おうとしている実態を浮き彫りにした。

 池田議員は続いて個別の問題についても次々と問題点を指摘した。

 上場株式の配当と譲渡益の軽減税率が1年延長されるという軽減措置については、延長する理由がいまやほとんどないことから廃止すべきとした。

 減価償却制度の見直しでは、その効果の見通しを問う一方、ベンチャー企業への投資に対する優遇税制、いわゆるエンジェル税制の大幅な拡充を提案した。

 寄附金控除の控除対象限度額引き上げに関連した点では、認定NPO法人制度について、認定法人が少ない理由を質すとともに、認定のハードルを下げ、NPOの公益性を十分に検討できるような国税庁以外の機関に認定権限を持たせるべきだとの考えを示した。

 年金保険料を、年金の事務費にも充てることを恒久化するための国民年金法改正にも、池田議員は強い疑問を示した。年金保険料は年金給付にしか充当しない、というこれまでの原則からの逸脱に対して、財政が改善すればもとの原則に戻るのかどうか、また事務費の節減状況はどうなっているのかを明らかにするよう政府に要求した。

 道路特定財源の見直しも、年内に具体案をまとめるとされていたものが先送りにされたこと、政府・与党の合意について揮発油税の見直しも明示できず全くの骨抜き状態であることと批判しつつ、また、道路特定財源の大半を占める揮発油税の一般財源化についての今後の方向性を示すよう、安倍総理に求めた。

 最後に、安倍内閣においては、にわかづくりのプロジェクトチームや政策会議など、役割もあまり整理がつかない乱立状態にあるのでは、と指摘。教育問題では、政府の規制改革会議と教育再生会議が、文部科学省の教育委員会に対する権限をめぐって真っ向から対立しているのを見るに、安倍内閣の政権担当能力に大いなる疑問を呈した。

 平成19年度予算案は、3月3日未明、前日から延長された衆議院本会議において通過、論戦の主舞台は参議院に移行したが、なんとか自然成立を回避できたことは、与党の横暴と格差是正への無策を明白にしていく上で、今後に繋がるものと思われる。

それにしても、近年の与党の国会運営は過去に例を見ない横暴なものであり、国民生活に直結する大事な法案が、ごく僅かの審議時間で通過してしまう。今国会においては、予算、財務金融、総務の三委員会とも、委員長の職権で開会され、かつ野党には質問時間も与えられないまま採決に至るという有様。与野党が合意した重要広範議案についても、過去20時間以上の審議を経て採決されていたものが、今般の財務金融委員会では5時間、総務委員会では3時間というあまりに短い審議時間で可決、という法案まであった。議論自体が成立しないのでは、民主主義、国会の存在意義自体が失われたに等しい。立法府としての責務を放棄する自殺行為に及ぶ与党の国会運営は、国会議員に重責を付託している国民を愚弄していると言わざるを得ない。衆議院の予算通過に至る一連の過程で、支持率低迷に喘ぐ安倍政権の、国民不在の本質がいよいよ剥き出しになったと見る向きが強い。民主党は野党第一党として、しっかりとその重責を果たしてゆかなくてはならない。

 

 

 

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