D’ark
(姫屋ソフト)


タイトルは「ディー・アーク」と読みます。
私はこのゲーム、「悪の美学」というキャッチコピーに惹かれて購入しました。

 

 

このゲーム、ゲームシステム面では何も評価すべき点はありません。
まんま「ウィザードリィ」な3D視点移動画面と戦闘モードのオーソドックスなファンタジーRPGスタイルですが、
別にパーティーを組むこともなく、レアアイテムも何もなく、ただひたすら戦闘あるのみという、全く面白みのないシステム。
ハッキリ言ってつまんないです。

 

 

ですが、このゲームの最大の魅力である
悪の魅力満載のストーリーの前では、
そんなことはもはやどうでもよく感じられます。

 

 

このゲームの舞台は、過去何百年にも渡り、光(人間側)と闇(魔物側)の戦いが繰り広げられてきた、とある島。
時には光が島を支配し、また、時には闇が支配することもありましたが、どちらの支配も長くは続かず、
必ず敗れた側は復活し、争いを繰り返すという歴史を重ねてきました。
そして、現在では、光の支配による人間たちの平和が保たれていましたが、ここに一人の闇が出現します。
彼の名はダルディーク…「悪の美学」を体現する男。
彼は、この島を再び闇のものにせんとの野望を胸に、闇の勢力を結集し、闘いを始めます…。

 

 

主人公が悪事の限りを尽くすストーリーなんてのは、それこそ鬼畜系エロゲーなどに山のようにありますが、
このゲームの主人公、ダルディーク大先生(あえて先生と呼ばせていただきます)は、
そんなチンケな小悪党とは格が違う、スケールのでかい悪党です。
このゲームでは、ダルディーク大先生があらゆる手を使って闇の勢力を伸ばし、
騎士とか白魔道士とか司祭とか勇者を次々と血祭りにあげる姿がムチャクチャかっこいいのです。

 

 

自らが闇軍の主導権を握るために、かつて闇軍のリーダーだった老人をあっさりぶち殺し、
(ダルディーク名言1:「裏切る?その言葉は多少なりとも信頼した奴に対して言うことだ。
      私は貴様に信頼を寄せたことなど一度たりともない」)

 

闇軍最強の戦士「四龍の騎士」の封印を解くために、封印を守る女白魔道士(美人)を何の遠慮もなく切り殺し、
(ダルディーク名言2:「四龍の騎士よ…私がお前達に望むことはただひとつ。
私に逆らうな。これだけだ」)

 

先ほどの「四龍の騎士」の一人、黒龍ザーシュが光軍最強の勇者フェルナスに苦戦しているところに
いきなり現れて勇者様を背後から斬りつけ、

 

制圧した国の王族を見せしめとして女子供に至るまで磔にし、

 

「おまえたち闇軍の手に落ちるぐらいなら、自ら命を絶ちます!」とけなげに勇気を振り絞るお姫様に対して
平然と「手間が省けて助かる。早く死ね」(ダルディーク名言3)と言い放ち、

 

勇者様の姉を誘拐して洗脳し、勇者様を殺させようとしたり、
(姉は洗脳に逆らって自害、勇者様慟哭…と、まさに黄金パターン)

 

腹心の部下を敵中に置き去りにして囮にし、敵将を闇討ちしたり…。
(しかもその後、必死に生還した部下(黒龍ザーシュ)に対していけしゃあしゃあと「ご苦労だったな。よくやった」とねぎらいます)

 

 

挙げていけばキリがありませんが、とにかくダルディーク大先生ご一行は、
普通のRPGの主人公は絶対にやらないような悪行
なんのためらいもなく次から次へとやらかしていきます。
しかし、それでいてその行動は(倫理を抜きにして)合理的であるため、
別に大量殺戮に酔いしれている訳でも変質者的なサディストでもない、というところが、
ダルディーク大先生を単なる悪役とは一線を画した魅力的な悪役に見せているのでしょう。

 

 

そして、何よりもダルディーク大先生を大先生たらしめている最大の要因。
それは過去のどんな大魔王も成し遂げなかった偉業を達成したことです。
それは…

 

 

RPGクライマックス戦闘シーンお約束の
「亡き戦友達の愛&友情パワーを込めた
勇者様の怒りの一撃」

という悪役絶対敗北パターン超必殺技をその身に受けながらも
見事にそれをはねのけ
勇者様をブチ殺す
という前代未聞の歴史的偉業を達成したことです。

 

 

最高です、ダルディーク大先生!
だからエンディングで言った「次は世界を取る!」というセリフを実現してください!
求む、続編(絶叫)!

 

おまけ:D'ark登場人物紹介


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