CLANNAD
(Key)
<ストーリー>
四月。
複雑な家庭環境に翻弄され、無気力に怠惰な日々を送っていた高校三年生、岡崎朋也は、
長い坂の続く校門で、ひとりの女生徒と出会う。
何かにためらうように立ち尽くす彼女に、つい声をかける朋也。
朋也の声に背中を押されるように、その少女、古河渚は歩き出す。
…幻想と現実の狭間で織り成す、人と町の物語は、ここから始まる…。
さて、待ちに待って待たされまくったKeyブランド最新作の登場です。
一時は製作中止になったんじゃないかと思っていたくらいで、半分あきらめていました。
でも、発売されて本当によかったよかった。
なんで開発期間がこんなに長引いたのかは知りませんが(業界ゴシップなんて別に興味ありませんし)、
作品が面白ければそれでいい、ということで。
そして何よりも嬉しかったのが、この作品が18禁ではないということ。
KanonやAIRでも散々言われていたことですが、こういう内容のストーリーにHシーンなど必要ないと私は思います。
て言うか、ハッキリ言って邪魔です。
私はそれほど多くの18禁ゲームをしてきたわけではないですが(エロゲソングは集めまくってますが)、
ストーリー中心型の18禁ゲームで
画像付きで見なければならないほど
必然性のあるHシーンなんて
見たことがありません。
どれもこれも、とってつけたようなHシーンばかりで、
ハッキリ言ってストーリーを味わう上でウザイ思いしかしたことがありません。
この作品が18禁でないことにずいぶん多くの批判もあったようですが(不買運動サイトまでありました)、
「Hシーンがないから駄作」なんて評価は、いくらなんでも極端すぎると思います。
Hシーンがあろうがなかろうが、面白い作品は面白いし、つまらない作品はつまらない。
ただそれだけのことでしょう。
いいかげん、この「18禁にあらずんばパソゲーにあらず」って感じの論調、なんとかならないものでしょうか。
(一応言っておきますが、私は決して18禁を否定しているわけではありません。わりと好きです(^^;
「18禁じゃなきゃダメ」っていう考え方が私個人として許容できないだけです)
なんにせよ、CLANNADを最初から18禁でなくして発売したことは、英断と言うべきでしょう。
風子シナリオやことみシナリオや藤林姉妹シナリオなどでHシーンなんぞ見せられたら、
一気にシラケていたでしょうから。
…などと偉そうに「ゲーム批評」みたいなことをのたまってしまいましたが、
やっぱり買ってよかったッ!!
絶妙にギャグとシリアスを織り交ぜ、いつの間にかクライマックスに引き込む一連の流れ…「Keyコンボ」は健在です。
個性的を通り越して変人の域に達している登場人物達のボケツッコミは見てて楽しいです。
ただ、テキスト量が増えた分、ちょっとくどいかなと感じられることもありましたが…。
個人的には、古河秋生パパと古河早苗ママの夫婦ボケがお気に入り。
特に秋生さん、あんた最高。
ちなみに、タイトルの「CLANNAD」とはアイルランド語で「家族」という意味だそうです。
どこからこんなマイナー言語(と私が勝手に思い込んでるだけかもしれませんが)を引っ張り出してきたのかは知りませんが、
さすがいいセンスしてます。
これが英語だったらタイトルは「HOME」とか「FAMILY」だったんでしょうか?
…印象薄すぎですね(^^;
パッケージにも「ありふれた学園生活から始まる、人と町の物語」って書いてありますし、
すべてのシナリオをクリアするとわかるのですが、この作品は「人と人との繋がり」というものを非常に大事にして描いています。
恋愛シナリオってのは、たいてい主人公とヒロインだけに描写が集中し、他の人物はほとんど背景同様の扱いをされることが多いですが、
この作品では、常に多くの人との繋がりを描いているため(藤林姉妹シナリオ除く)、
他の作品にありがちな「主人公とそのシナリオのヒロイン以外は適当な扱いになってしまう」印象が薄くて好感が持てました。
まさにタイトル通りの内容の作品です、これは。
また、この作品は格段に登場人物が多く、シナリオも複雑なため、
選択肢もエンディングもケタ違いに増えています。
ついでにバッドエンドもケタ違いに多いです。
正直言って、自力ですべてのシナリオのトゥルーエンドを迎えるのは大変です。
選択肢つぶしの作業を繰り返すのはハッキリ言ってしんどいです。
ですが、それだけの苦労の価値はあります。
本当に最後の最後の最後までやりこむべきです。
すべての人々の想いを、その手の中に集めた時…
奇跡は、起こるでしょう。
そして、相変わらずKeyの作品はBGMが素晴らしいです。
毎度の事ながら、イイ曲が揃ってます。
個人的には、渚BGMの「渚」、風子BGMの「は〜りぃすたーふぃっしゅ」、
ことみシナリオで、絶妙のタイミングで流れる「同じ高みへ」、
クライマックスによく流れる「空に光る」などがお気に入り。
また、オープニングテーマ「メグメル」とエンディングテーマ「影二つ」もそつなくまとまった良曲です。
そして挿入…いや、なんでもありません。
ってバレバレですな。
…で、結論としては、かなり楽しめる作品だと思います。
少なくとも、金返せと言いたくなる内容ではありませんでした。
様々なお遊びやおまけシナリオも用意されていますし、サービス精神旺盛な作品です。
そして、本当に最後のストーリーを見終わった時、思いました。
俺、もっと真面目に働かなきゃなと。
…こんなこと考えるの、俺だけ(笑)?
おまけ:登場人物紹介
(重ねて注意!豪快にネタバレです)